視野障害 等級と障害年金認定基準改正

視野障害 等級と認定基準

視野障害 等級の全体像
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等級は「制度」で別物

障害年金・身体障害者手帳など、目的が違う制度は基準も違うため、同じ検査でも結論が一致しないことがあります。

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検査方式で評価指標が変わる

ゴールドマン型視野計は「角度」、自動視野計は「視認点数」など、数字の意味が異なるため、読影・記載の注意点も変わります。

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改正で「下がらない」扱い

眼の障害の認定基準は自動視野計の基準が導入され、改正によって等級が下がることはない旨が示されています。


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視野障害 等級と障害年金の認定基準

 

医療現場で「視野障害の等級」と言うとき、患者が想定しているのは多くの場合「障害年金」か「身体障害者手帳」です。両者は目的が異なり、前者は年金給付の可否・程度、後者は福祉サービスの入口としての区分であるため、同じ“見えにくさ”でも結果が一致しないことがあります。まずは「どの制度の等級か」を冒頭で確認し、説明の前提を揃えることが重要です。

障害年金(国民年金・厚生年金)では、眼の障害は「視力障害」「視野障害」「その他の障害」に区分され、視野障害はゴールドマン型視野計または自動視野計で測定した結果を用いて認定するとされています。さらに、どちらか一方の測定結果で認定し、両者の結果を“混在”させて認定することはできない、という実務上の重要ルールが明記されています。これは、患者側が「ゴールドマンは重かったけど自動は軽かったので良いとこ取りしたい」と希望しても、制度上はできないことを意味します。

令和4年(2022年)1月1日から「眼の障害」の認定基準が一部改正され、自動視野計に基づく視野障害の基準が新設されました。改正の趣旨として、従来のゴールドマン型視野計に加え自動視野計を取り入れること、症状名(求心性視野狭窄や輪状暗点など)による限定をやめ、測定数値中心で評価する方向に変えたことが示されています。医療従事者にとっては、「病名や典型パターンの説明」だけでは足りず、「検査結果の数値がどう評価されるか」を患者に言語化して伝える比重が増した、と捉えると実務に落ちます。

障害年金の視野障害(自動視野計)では、両眼開放エスターマンテストの「両眼開放視認点数」と、10-2プログラムの「両眼中心視野視認点数」を用いて等級を判定します。パンフレットでは、1級は「両眼開放視認点数70点以下」かつ「両眼中心視野視認点数20点以下」、2級は「両眼開放視認点数70点以下」かつ「両眼中心視野視認点数40点以下」、3級は「両眼開放視認点数70点以下」とされています。患者説明では、まず「点数が大きいほど視野が大きい(=良い)」という方向性を共有すると、数字の意味を取り違えにくくなります。

また改正パンフレットには、今回の改正によって障害等級が上がり年金額が増える可能性があること、そして「改正によって障害等級が下がることはない」旨が明記されています。これは患者側の不安(「新しい基準で不利にならないか」)を早期に解消できるポイントです。一方で“自動的に上がる”わけではなく、増額の可能性がある場合は額改定請求が必要になることも示されているため、患者が制度手続きを誤解しないよう注意が必要です。

視野障害 等級と自動視野計 エスターマン

自動視野計の導入を理解する上で鍵になるのが、エスターマンテスト(両眼開放)と10-2(中心部)の役割分担です。改正パンフレットでは、エスターマンテストは「生活不自由度を評価するために開発されたプログラム」で、両眼を開けた状態で検査し、日常生活に重要な領域(中心30度と下半分)を中心に120点の測定点を配置し、認識できた点の数(両眼開放視認点数)で判定すると説明されています。医療者側の感覚としても、単眼視野の機能評価より、より“生活の実感”に寄せた評価として患者説明に使いやすい枠組みです。

一方、10-2プログラムは中心部を検査するために用いられ、片眼ずつ検査し、視野角度10度以内の狭い中心範囲に2度間隔で68点を配置し、認識できた点の数(両眼中心視野視認点数)で判定します。ここでの注意点は、「両眼中心視野視認点数」が左右眼の単純合算ではないことです。認定基準の説明資料(新旧対照表)では、左右眼それぞれで感度26dB以上の検査点数を数えたうえで、良い方の眼を3倍して加重平均する形(3:1)で両眼中心視野視認点数を算出し、小数点以下は四捨五入して整数で表す、と具体式まで書かれています。患者への説明でも「良い方の目の影響が大きく反映される計算になっている」という言い方ができると、左右差がある症例の納得感が上がります。

さらに実務で見落としやすいのが、矯正の扱いです。認定基準の説明資料には、自動視野計では10-2は適宜矯正レンズを使用し、両眼開放エスターマンテストは矯正眼鏡を装用せずに実施する、と記載があります。検査室運用や患者の持参眼鏡の扱いが施設ごとに揺れやすい領域なので、年金診断書用の検査として実施する場合は、検査条件が基準に沿っているか(少なくとも説明可能か)を事前にチームで共有しておくと事故が減ります。

視野障害 等級とゴールドマン型視野計

ゴールドマン型視野計による認定では、「周辺視野(I/4視標)」と「中心視野(I/2視標)」を分けて扱い、数値としては角度の“和”を評価に使います。改正パンフレットでは、ゴールドマン型視野計に基づく認定基準を整理し、周辺視野(I/4)で測定した「周辺視野角度の和」と、中心視野(I/2)で測定した「両眼中心視野角度」によって等級判定を行う、と示されています。これにより、単に「視野が狭い/欠けている」という表現ではなく、どの視標でどの部位が落ちているのかを整理して説明する必要が強まりました。

認定基準の説明資料では、「周辺視野角度の和」はI/4視標で8方向(上・内上・内・内下・下・外下・外・外上)の周辺視野角度の和と定義されています。また、I/4視標で中心10度以内に視野が存在しない場合は、周辺視野角度の和が80度以下として取り扱う、といった取り扱いも明記されています。こうした“扱い”は、検査がうまく取れない症例、中心暗点が強い症例、固視が不安定な症例で、現場の印象と制度判定が乖離しやすいポイントです。

「両眼中心視野角度」も左右眼の単純な平均ではありません。認定基準の説明資料では、I/2視標で8方向の中心視野角度の和を左右眼それぞれ求め、良い方の眼を3倍して加重平均(3:1)で両眼中心視野角度を算出し、四捨五入して整数化する、とされています。中心視野の残存が左右で大きく違うと、患者の体感(見えにくさの自覚)と数値の動きが一致しない場面があるため、「制度上は良い方の眼の比重が大きい」ことを医療者が理解しておくと説明が破綻しにくくなります。

視野障害 等級と診断書 添付

障害年金の実務では、診断書に何を書けばよいか以上に、「何を添付すべきか」「どの検査結果が“認定上使える形”か」で差が出ます。認定基準の説明資料には、ゴールドマン型視野計または自動視野計の結果は「診断書に添付する」ことが明記されています。つまり、文章で「求心性視野狭窄あり」と書いても、視野図や出力結果が添付されなければ、審査側が数値評価に落とし込みにくく、結果として不利に働くリスクが上がります。

また、同資料では「どちらか一方の測定結果で行う」「両者の測定結果を混在させて認定することはできない」と明記されています。ここは現場での説明ポイントでもあり、患者・家族が複数の検査を持ち込み「両方出しておけば確率が上がるのでは」と考えることがあります。提出自体は相談になりますが、少なくとも“認定の計算”は混ぜられないので、医療側としては「この制度ではこの方式で一本化して評価される」前提で、検査計画・診断書作成・添付物整理をした方が整合します。

意外に見落とされがちなのが「信頼性のある測定が困難な場合」の扱いです。認定基準の説明資料には、自動視野計で認定上信頼性のある測定が困難な場合は、ゴールドマン型視野計で測定し、その結果により認定する、と書かれています。高齢者、注意障害、失語、固視不良などで自動視野が不安定な症例では、医療者側が“検査をやり直す”だけでなく、“制度上どちらで評価可能か”を見据えて、早めに検査方式の切り替えを検討できると、患者の通院負担や申請遅延を減らせます。

(医療従事者向けの注意)診断書の記載は、患者の生活機能・就労制限の説明と整合するよう、検査方式(ゴールドマン/自動)、測定条件、添付資料の有無をセットで管理すると、審査側の理解が通りやすくなります。特にエスターマンや10-2など、患者が聞き慣れない用語は、説明時に「生活に関係する視野(両目で見る)」「中心を見る力(細かい作業に関係)」のように翻訳して渡すと、後日のクレーム(“そんな検査だと思わなかった”)を減らせます。

視野障害 等級と独自視点 医療説明

検索上位の記事は「何級に当たるか」「基準の数値は何か」に寄りがちですが、医療従事者が本当に困るのは“数値の意味づけ”と“生活像への翻訳”です。ここでは独自視点として、視野障害の等級説明を「患者が誤解しやすいポイント」から逆算して組み立てる方法を提案します(制度の条文そのものではなく、説明技術としての話です)。

まず誤解が多いのは、「視力がそこそこあるのに、なぜ重い等級(あるいは逆に軽い等級)になり得るのか」という点です。改正パンフレットや認定基準資料から分かる通り、眼の障害は視力障害と視野障害が別建てで評価され、視野障害は視野計の数値(点数・角度)で判定されます。つまり、患者が“見える/見えない”を視力だけで語っていると、視野の欠損(転倒リスク、ぶつかり、運転や歩行の危険、読書や事務作業の困難)が説明から抜け落ち、制度判定とのズレが生じます。医療側は「見え方の困りごと」を、視力と視野に分けて質問し直すだけで、説明の解像度を大きく上げられます。

次に誤解しやすいのは、「検査を頑張れば点数が上がる(=等級が軽くなる/重くなる)」という発想です。視野検査は被検者の理解・集中・固視で結果が揺れますが、認定基準の説明資料では“信頼性のある測定が困難”な場合の扱いが示されており、単に気合で乗り切る話ではありません。むしろ医療者側は、検査結果の変動を責めるのではなく、「検査方式の適合」「再検の必要性」「添付資料として妥当な出力か」を冷静に整理し、患者には“検査の限界”と“制度が求める形”をセットで説明する方がトラブルが少ないです。

最後に、意外と効果があるのが「数字の方向性」を繰り返し確認することです。エスターマンは点数が大きいほど視野が大きい(良い)とパンフレットに明記されており、患者は直感的に逆に捉えることがあります。また、中心視野の評価は左右を3:1で重み付けして計算するため、「片目が悪い=直ちに同じ割合で不利」ではない場合があります。説明の場では、以下のような短い“確認フレーズ”が有用です。

  • 👁️ 点数(視認点数)は「高いほど見える範囲が広い」
  • 📌 中心視野は左右の単純合計ではなく、良い方の眼に重みがかかる
  • 🧾 認定はゴールドマンか自動の「どちらか一方」で行い、混ぜられない

また、患者の「制度の取り違え」も起きやすいので、診察室では次のような“制度の地図”を示すと説明が短くなります。

区分 何を決める 視野障害の評価の考え方
障害年金 年金給付の等級(1級・2級・3級等) ゴールドマン型視野計または自動視野計の測定結果で数値判定(混在不可、結果の添付が必要)

(このセクションは“独自視点”として、患者説明の設計に焦点を当てました。制度の正式運用は必ず一次資料と最新の診断書様式・事務連絡に従ってください。)

視野障害の等級は、医療者にとって「検査が正しく行われ、正しく伝わり、正しく書類に落ちる」までがセットです。検査の数値だけを並べるより、検査方式・評価指標・添付要件・生活像への翻訳を、最初からひとつの説明パッケージにしておくと、患者の納得と申請の成功率の両方が上がります。

(参考リンク:令和4年1月からの眼の障害認定基準改正ポイント(自動視野計導入、等級が下がらない等))

https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/shougainintei.files/2021.pdf

(参考リンク:国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(眼の障害)新旧対照表(視野障害の測定・算出方法、混在不可、添付要件など詳細))

https://www.mhlw.go.jp/content/12512000/000834925.pdf

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