廃用性内斜視と視力低下の診断と治療

廃用性内斜視と診断と治療

廃用性内斜視:臨床で迷わない要点
🧠

本質は「感覚入力低下→両眼視破綻」

片眼(または両眼)の視力低下で両眼視機能が失われ、眼位を同方向に保ちにくくなる状態を軸に整理する。

🔍

まず原因疾患の同定が最優先

「斜視の治療」より先に、視力障害の原因(前眼部・眼底・視神経など)を確実に評価する。

🧩

治療は屈折矯正・プリズム・手術を組み合わせ

原因治療+日常生活上の困りごと(複視・整容)に合わせ、段階的に選択する。


<% index %>

廃用性内斜視の原因と視力低下

廃用性内斜視は、視力障害に伴って両眼視機能が失われ、両眼を同じ方向に保つことが難しくなることで生じる「感覚性斜視(廃用性斜視)」の一表現として理解すると整理しやすいです。

感覚性斜視(廃用性斜視)を引き起こす視力障害の原因は幅広く、先天白内障・角膜疾患・網膜疾患・視神経疾患など、前眼部から眼底・視神経まで多岐にわたるため、「斜視の角度」より先に原因疾患の棚卸しが重要です。

また、視力障害が生後早期(両眼視機能の完成前)に起こると内斜視になりやすく、年長児や成人では外斜視になりやすい、という年齢依存性が知られており、廃用性内斜視を疑う際は「いつから見えにくいか」を病歴で丁寧に回収します。

臨床上の落とし穴は、患者が「見えにくさ」ではなく「眼位の見た目」や「疲れ」を主訴に来院し、背景の視力低下(例えば片眼の高度白内障や黄斑疾患)が見逃されることなので、眼位検査と同じ重みで視力・屈折・前眼部・眼底をルーチン化します。

廃用性内斜視の診断と眼位検査

感覚性斜視(廃用性斜視)の診断では、斜視の種類と眼位ずれの程度を調べる眼位検査に加え、まず視力障害の原因疾患を調べることが基本とされ、前眼部検査(角膜・水晶体)と眼底検査(網膜)など通常の眼科的検査を行い、必要に応じてMRI検査を行うこともあります。

「内斜視」という病名の枠だけで考えると、遠視による調節性内斜視、急性内斜視、脳疾患を伴う内斜視など鑑別が広く、後天内斜視では原因検索が大切で、MRIなどの検査が必要になる場合がある点が明記されています。

したがって廃用性内斜視を疑う場面では、(1)視力左右差(または両眼の視機能低下)の有無、(2)眼位の変動性、(3)眼球運動制限(麻痺性・機械性の示唆)、(4)急性発症か緩徐進行か、を同日にセットで評価し、「感覚入力低下が主因か」「運動系の異常が主因か」を切り分けます。

検査設計の実務としては、視力測定・屈折検査(可能なら調節麻痺下)を先に行い、原因疾患の当たりをつけてから斜視角(遠見/近見)を測ると、患者説明も治療同意も一貫します。

廃用性内斜視の治療と手術

感覚性斜視(廃用性斜視)の治療・管理は、原因疾患の治療が一であり、その上で必要に応じて斜視手術を行う、という優先順位が明確です。

「内斜視」全体の治療原則としても、まず遠視がないか確認し、眼鏡で治らない場合はずれの量に基づいて手術をする、と整理されているため、廃用性内斜視でも屈折矯正で改善余地がないかを確認してから外科に進む流れが安全です。

ただし廃用性内斜視では、根本の視機能が十分でないため「両眼視機能の回復」よりも、(1)整容(眼位の見た目)、(2)代償頭位の軽減、(3)まれに残存する複視の軽減、(4)介護・コミュニケーション上のQOL、をゴールに据えると、術後評価のミスマッチが減ります。

また、患者側が「手術で視力も戻る」と誤解していることがあるため、原因疾患治療(白内障手術や網膜治療など)と斜視手術の役割分担を、診断時点で明確に言語化しておくことが実務上の重要ポイントです。

廃用性内斜視と複視とMRI

成人の後天内斜視では、突然発症する急性内斜視で複視を訴えることがあり、原因不明のこともある一方で器質的疾患を伴うことがあるためMRIなどで検査が必要、とされています。

廃用性内斜視は「視力低下による両眼視機能の破綻」という流れが典型ですが、外眼筋麻痺・甲状腺眼症・眼窩病変など別経路の内斜視が紛れ込むと、治療戦略が根本から変わるため、「複視の有無」「眼球運動制限」「疼痛」「急性発症」を赤旗として扱います。

MRIはすべての症例で必須ではないものの、原因疾患検索の一環としてMRIが挙げられており、眼位だけで説明がつかない場合や中枢・眼窩病変の可能性がある場合に、診断の段階で検討する位置づけになります。

現場では「廃用性」とラベルを貼って安心してしまうのが最も危険で、廃用性内斜視を“最終診断”ではなく“病態仮説”として扱い、必要な除外診断が終わって初めて確定させる、という姿勢が安全です。

廃用性内斜視の独自視点:両眼視機能の説明と患者コミュニケーション

感覚性斜視(廃用性斜視)は「視力が極端に落ちる→両眼視機能が失われる→眼位を揃えにくい」という説明が公式に整理されているため、患者には“筋肉が壊れた”ではなく“両眼で合わせる仕組みが働きにくい”と伝えると受容されやすいです。

同じ「内斜視」でも、遠視と調節過剰が主体の調節性内斜視は眼鏡で改善し得る一方、廃用性内斜視は原因疾患治療が第一という優先順位が異なるので、「眼鏡の目的(視力改善/眼位補正)」「手術の目的(眼位整容/QOL)」を分けて説明すると納得度が上がります。

意外に見落とされがちなのは、家族や介護者が「目が寄ってきた=脳の病気では」と強い不安を抱くケースで、このとき“視力低下が先行しているか”を時系列で丁寧に確認し、必要ならMRIを含む検査計画を提示するだけで医療不信を大きく減らせます。

医療従事者向けの工夫として、カルテ記載に「廃用性内斜視(感覚性斜視)疑い:原因疾患(前眼部/眼底/視神経)評価→必要時MRI→眼位検査→治療方針(原因治療±斜視手術)」の順番をテンプレ化すると、見落としと説明のブレが同時に減ります。

原因・診断の考え方が体系的:感覚性斜視(廃用性斜視)の定義、原因、診断、治療の優先順位がまとまっている

日本弱視斜視学会:特殊型の斜視(感覚性斜視/廃用性斜視)

内斜視の鑑別・MRIの位置づけ:後天内斜視(急性内斜視を含む)の原因検索とMRIの必要性に触れている

日本弱視斜視学会:内斜視(後天内斜視・急性内斜視)