交代性内斜視と治療
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交代性内斜視の原因と症状の整理
交代性内斜視は「どちらの眼でも固視が交代できる」内斜視の病態として臨床上扱われ、片眼優位が固定するタイプと比べると、典型的には斜視弱視のリスクは相対的に下がる一方、両眼視機能(立体視)が十分に育っているかは別に評価が必要です。
小児の内斜視では、遠視に伴い過剰な調節(ピント合わせ)が働き、輻湊が誘発されて内斜視が出る「調節性内斜視」が重要で、初期には近見で目立ちやすく、経過とともに遠見でも出現しうる点が説明の要です。
一方、乳児期早期に発症する乳児内斜視の文脈では、斜視角が大きいこともあり、交代固視が成立していても「眼位がずれていること自体」や合併所見が視機能の獲得を難しくし得るため、症状(見た目・頭位・疲労時の増悪など)だけでなく発症時期の情報が診療の質を左右します。
交代性内斜視の診断と検査と鑑別
診断では、斜視角の大きさと変動、固視交代の可否、外転制限の有無、眼振(とくに遮閉で誘発される潜伏眼振の関与)などを系統立てて確認し、同じ「内斜視」でも病型(乳児内斜視、調節性内斜視、後天性など)を分けて考えることが基本になります。
乳児例では、発症時期の見極めのために「生後早期の写真」を持参してもらう実務的な工夫が推奨され、受診時年齢が上がるほど発症時期が曖昧になりやすい点は見落としやすいポイントです。
鑑別では、屈折(遠視)の関与を評価して調節性内斜視を見落とさないことが重要で、遠視矯正で眼位が改善するか(完全/部分調節性など)という治療反応が病型理解に直結します。
交代性内斜視の治療:眼鏡と遮閉と視能訓練
治療の選択肢は大枠として手術・眼鏡(プリズム含む)・遮閉(アイパッチ)などがあり、どれか一つで完結するというより、原因と視機能に応じて組み合わせる設計になります。
調節性内斜視では、遠視を矯正する眼鏡装用が治療の柱で、調節の必要量を減らすことで内斜視が出にくくなるため、まず「適切な屈折矯正」を入れることが実務上の第一歩です。
プリズム眼鏡は斜視そのものを“治す”というより、両眼で同じ視標を捉えやすい条件を作り、生活上の見え方や両眼視機能の確保を補助する目的で使われる、という位置づけを共有すると治療期待のズレを減らせます。
遮閉は弱視治療の基本手段として位置づけられ、固視交代が崩れて片眼優位になった場合や視力差がある場合に、視力発達の窓を意識して計画的に行います。
視能訓練は、抑制や両眼視機能の課題に対して追加されることがあり、長期経過で両眼視機能が改善する例がある点は、フォローを続ける動機づけとしても有用です。
交代性内斜視の治療:手術と時期と術後管理
内斜視の外科治療は眼位を整える重要な手段で、乳児内斜視では積極的に手術が行われることがある一方、症例によっては斜視角が小さい・眼位が動揺するなどの理由で経過観察を優先すべきケースがある、という「同じ診断名でも戦略が割れる」点が臨床の難所です。
施設方針として、乳児内斜視の手術時期を「2歳前後」とする考え方が示されており、早期に眼位が整っても立体視が必ずしも十分に得られるわけではない、という現実的な説明が求められます。
術後は眼位の安定化や両眼視機能の底上げのために視能訓練やプリズムなどが追加され得て、短期の整容面だけでなく中長期の視機能ゴール(立体視、抑制、眼位の安定)を共有しておくとフォローの質が上がります。
交代性内斜視と交代性上斜位と潜伏眼振:見落としやすい関連
独自視点として強調したいのは、交代性内斜視を「水平偏位だけの問題」として閉じず、交代性上斜位(DVD)や潜伏眼振、下斜筋過動など“セットで出てくる所見”を最初から想定して診ると、説明・検査・治療計画が一段整理される点です。
日本弱視斜視学会の解説では、交代性上斜位は交互遮閉で遮閉眼が上転する特異な運動で、原因不明ながら乳児内斜視などに合併し、潜伏眼振や水平・回旋方向の眼位ずれを伴うことがあるとされています。
潜伏眼振については、遮蔽眼を変えると急速相の方向が逆転する特徴が述べられ、乳児内斜視やDVDを合併しやすいという臨床的な関連が整理されているため、遮閉試験の観察所見をカルテに具体的に残すとチーム医療が回りやすくなります。
また、DVDを伴うと水平斜視角が動揺しやすいという指摘もあり、「測るたびに角度が違う」状況を単なる測定誤差で片づけず、病態として説明する視点が役立ちます。
参考:内斜視の分類(原因・症状・診断の実務ポイント、写真で発症時期を推定するコツ)
参考:交代性上斜位(DVD)の定義、合併(潜伏眼振・水平/回旋ずれ)
参考:内斜視の治療選択肢(手術・眼鏡(プリズム)・遮閉)