交代性斜視とは
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交代性斜視とは:定義と交代固視
交代性斜視は、斜視をしている眼が一方に固定されず、固視(物を見る役割)を左右の眼で交代できるタイプを指します(いわゆる「交代固視」)。
小児の斜視は「視線が合わない状態」で、内斜視・外斜視・上下斜視などに分類されますが、交代性斜視という言い方は“ずれの方向”ではなく“固視の偏りが固定されていない”という臨床的な性質を表す点がポイントです。
臨床では「見た目に斜視がある」ことよりも、「どちらの眼がどの程度使えているか(固視の偏り)」が、弱視リスク評価と介入優先順位を左右します。
交代性斜視の理解で混乱しやすいのは、似た言葉として「交代性上斜位(DVD)」があることです。
参考)上下斜視
DVDは、左右を交互に遮閉すると遮閉眼が上転する特異な眼球運動で、乳児内斜視など他の斜視に合併することが多く、潜伏眼振を伴うこともあると説明されています。
つまり「交代性」という語が付いても、交代性斜視(交代固視)と交代性上斜位(DVD)は概念が別で、現場では用語を分けて記録するのが安全です。kugahara-ganka+1
交代性斜視とは:原因の考え方と鑑別
斜視の原因は、目を動かす筋肉や神経の異常、遠視、目の病気、脳の病気、全身の病気に伴うものなど幅広く、実臨床では原因を一つに決め打ちしない姿勢が重要です。
特に小児斜視では、遠視によるものや筋肉・神経の異常によるものが多いとされ、まず屈折と眼位・眼球運動の基本評価を丁寧に積み上げることが現実的です。
一方で、症例により全身検査やMRIなどが追加されることがあるため、「交代性斜視=良性」と短絡しない整理が求められます。
鑑別の視点としては、「交代できる(交代固視が成立)」こと自体は、少なくとも片眼だけが恒常的に抑制され続ける状況よりは、弱視が固定化しにくい方向に働く場合があります。
参考)斜視・弱視
実際、交代固視では弱視を生じることは“あまりない”とする臨床向けの説明もあり、固視の偏りが固定していないかを確認する意義が強調されています。nittaganka+1
ただし、交代固視があっても、不同視や屈折異常、DVD合併、潜伏眼振など別要因が視機能に影響しうるため、「交代性=弱視ゼロ」と誤解しない運用が大切です。jasa-web+1
交代性斜視とは:検査(遮閉試験・交代遮閉試験・交代プリズム)
斜視診療の基本は、遮閉試験(カバーテスト)と交代遮閉試験で、眼位ずれが顕性か潜伏か、固視がどちらに偏るかを評価することです。
交代遮閉試験は、片眼を交互に遮閉する方法で、広義の遮閉試験として説明され、必要に応じてプリズムを併用すると斜視角の定量(交代プリズム遮閉試験)にもつながります。
医療機関の患者向け説明でも、交代プリズムカバーテストで斜視の量をプリズムで測定する旨が記載されており、検査の位置づけが一般化していることが分かります。
小児では「斜視があると無意識にその目を使わなくなり弱視につながる」ため、視力検査・屈折検査・眼位検査を組み合わせ、弱視の有無とリスクを並行して見ます。
このとき交代固視が成立しているか(固視が左右で入れ替わるか)は、遮閉の反応や固視の保持から推測でき、治療目標の立て方に影響します。
また、DVDのように遮閉そのものが眼球運動を引き起こす病態もあるため、「遮閉で何が起きたか」を丁寧に観察・記録し、水平成分と垂直成分を分けて評価するのが実務的です。
交代性斜視とは:治療(弱視・眼鏡・手術)
小児斜視の治療目標は段階的で、まず両眼の視力をよくすること(弱視の改善)、次に眼位をまっすぐにすること、最後に両眼視の獲得という流れで整理されます。
眼位の是正は眼鏡で改善する場合もありますが、斜視の種類によっては手術が必要になるとされ、年齢や病型に応じて計画されます。
この「弱視→眼位→両眼視」という優先順位は、交代性斜視のように外見上は左右が似て見えても、機能評価(視力・固視の偏り)で介入が変わりうる点を示しています。
交代固視ができると弱視を生じることが“あまりない”とされる一方、固視が片側に固定されると斜視弱視につながりやすい、という臨床説明もあります。nittaganka+1
したがって治療方針を立てる際は、「交代固視が本当に成立しているか」「日常で固視がどちらに偏っていないか」を、診察室の一瞬の所見だけで決めない姿勢が重要です。
また、DVDは斜視に合併する現象として説明され、潜伏眼振や水平・回旋方向のずれを伴うこともあるため、手術を含めた総合設計では合併所見を取りこぼさないことが成績に直結します。jasa-web+1
交代性斜視とは:独自視点(医療連携と説明の落とし穴)
医療連携の現場で意外に起きやすいのは、「交代性(交代固視)」という言葉が、患者説明では“左右どちらも同じだから大丈夫”と受け取られやすい点です。
日本眼科学会の解説では、斜視があると無意識にその目を使わなくなって弱視につながる可能性が示されており、見た目より“脳がどう使っているか”が重要であることを、専門外スタッフにも共有すると誤解が減ります。
さらに、赤ちゃんでは顔立ちにより内斜視のように見える「偽斜視」もあるとされるため、紹介状やトリアージでは「いつから」「写真で増悪するか」「健診で指摘された内容」など情報を添えると評価が速くなります。
説明のコツとしては、患者・家族に対し「治療のゴールは一発で“まっすぐ”にすることだけではなく、①視力(弱視)②眼位③両眼視の順で積み上げる」と共有すると、通院・訓練・手術の位置づけが理解されやすくなります。
また、DVDのように「遮閉で目が上がる」という現象は、家族がスマホ動画で気づくこともあるため、“どんな時に、どちらの眼が、どう動いたか”の観察ポイントを渡すと診断精度が上がります。
交代性斜視の本質はラベル付けではなく、固視の偏り・弱視・合併所見を一つの線でつなげて管理することにあり、ここがチーム医療での品質差になります。
斜視の定義・治療目標(弱視→眼位→両眼視)がまとまっている(総論の参照)
交代性上斜位(DVD)の定義と合併(潜伏眼振など)の説明(交代性という語の混同防止)