回旋斜視 検査
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回旋斜視 検査の基本:自覚的検査と他覚的検査
回旋斜視(回旋偏位)の評価は、患者が感じる「傾き(回旋複視の傾き)」を扱う自覚的検査と、眼球の回旋を推定する他覚的検査を分けて考えると整理しやすいです。
古典的には、回旋偏位の自覚的検査としてMaddox double rod test(ダブルマドックスロッド)や大型弱視鏡などが挙げられており、他覚的検査として眼底写真法などが列挙されています。
臨床でハマりやすいのは「自覚的に傾いていない=回旋がない」と短絡することですが、回旋には感覚適応(cycloadaptation)が関与し得るため、自覚所見が小さく見える症例があり得ます。
実務上のおすすめは、最初に「自覚的に傾きがあるか」「日常で困っているか」を拾い、その後に他覚的(眼底など)で方向と程度の整合性を見に行く流れです。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10311250/
ただし上下斜視に合併する回旋偏位は、同じ“回旋”でも原因筋や視線方向で現れ方が変わるため、単一の検査だけで病態を決め打ちしない姿勢が重要です。
最後に、術前後比較や紹介状の品質を上げるためにも、検査名だけでなく「どの条件で測ったか」をセットで残す運用が有効です。
- 押さえる観点:自覚(傾き)と他覚(眼球回旋)の一致/不一致を必ず確認する。
- 記録の観点:距離、遮閉、融像条件、視標、眼鏡の有無を同時に記載する。
- 解釈の観点:適応(cycloadaptation)があると自覚所見が小さく見える。
回旋斜視 検査の自覚的検査:Maddox double rod testの要点
回旋複視のスクリーニングとして実用性が高いのが、赤白のマドックス杆を用いるマドックスダブルロッドテストで、回旋複視では左右の線が平行ではなく傾きとして自覚されます。
このテストの利点は、患者の主訴(傾いて見える)に直結し、短時間で「回旋成分の有無」と「主観的な角度」を取りやすい点です。
一方で、自覚的検査の宿命として抑制や対応異常があると成立しにくく、斜視症例では「測れない/安定しない」こと自体が重要な情報になる場合があります。
また、回旋の“向き”の解釈は混乱しやすいので、テスト結果は「患者が見た傾き(線の傾き)」をそのまま記録し、病態推定(内方回旋偏位・外方回旋偏位など)は別欄で整理するとミスが減ります。
参考)マドックスMaddoxダブルロッドテスト &#8211; 目…
上下複視と回旋複視が同時にある場合、患者は「傾き」より「上下のズレ」を強く訴えることがあり、先に上下成分を補正すると回旋の訴えが表面化することもあります(順序の工夫)。
さらに、同一患者でも疲労・融像状態で回答が揺れることがあるため、測定値は“1回で確定”ではなく複数回の一致を確認して採用する運用が安全です。
- 記載例:DMRT(遠見/近見)、赤線の傾き○度、白線の傾き○度、回答安定性(良/不良)。
- 落とし穴:抑制があると「傾きなし」に見えても回旋が否定できない。
- 工夫:上下成分が強いときは上下のプリズム補正後に再評価すると訴えが整理される場合がある。
回旋斜視 検査の他覚的検査:眼底写真の見方と限界
他覚的評価として眼底写真を使う発想は古くからあり、乳頭と中心窩の位置関係(乳頭中心窩線など)を用いて回旋偏位を定量しようとする研究が進められてきました。
特に、両眼同時に眼底を観察・撮影して相対角で評価する方法では、頭位の傾きによる影響を減らしやすい、という考え方が示されています。
一方で、眼底写真は「回旋の客観評価に便利」でも、優位眼や運動適応・感覚適応の影響で、麻痺眼に必ずしも病的回旋が出ないケースがあることが指摘されており、単純な法則での断定は危険です。
臨床の現場では“眼底写真で外旋だから上斜筋麻痺”のように短絡しがちですが、上斜筋麻痺で病的外方回旋が半数程度にしか出ないとする報告の紹介もあり、眼底のみで病態を固定しない姿勢が求められます。
また、同じ回旋でも「自覚的回旋(傾き)」と「他覚的回旋(眼底)」が一致しないことが十分に確立されている、とされるため、臨床では“不一致”を前提に組み立てるのが現実的です。
そのため、眼底写真は「回旋の方向・量を補助線として把握し、他の検査(DMRT、大型弱視鏡、眼位検査)と統合して解釈する」位置づけが適切です。
- 眼底写真の強み:客観的に残り、術前後比較・紹介状添付に向く。
- 眼底写真の弱み:優位眼・適応の影響で“麻痺眼=回旋大”にならないことがある。
- 運用のコツ:撮影条件(頭位、固視、瞳孔径、撮影機種)を固定し、比較可能性を上げる。
回旋の研究・測定法(眼底写真、回旋眼位の考え方、cycloadaptationなど)の背景を深く確認する部分の参考。
https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/JJOS_PDF/91_1119.pdf
回旋斜視 検査に関係する大型弱視鏡:測定の使いどころ
回旋偏位の評価ツールとして、大型弱視鏡(major amblyoscope)は主観的なねじれ角の評価手段の一つとして挙げられています。
回旋は水平・垂直のずれと比べて「運動性の回旋融像は微量で、感覚性融像が主体」という整理が示されており、検査で見えているものが“運動”なのか“感覚”なのかを意識すると解釈が安定します。
さらに、回旋は上下斜視に合併することが多い一方で、水平斜視でも回旋ずれを含む例がある、という指摘があり、水平・上下・回旋を切り分けずに同時に評価する設計が有用です。
実務上、大型弱視鏡は「回旋だけ測る器械」というより、上下・水平・回旋の全体を見た上で、回旋成分を定量化して記録に残すための装置として使うと価値が出ます。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10686399/
DMRTで訴えがはっきりしている患者では、大型弱視鏡の値が“治療前後の比較指標”として機能しやすく、術後の説明(傾きが何度改善したか)に繋げやすいです。
逆に、抑制が強い・回答が不安定な患者では測定値が暴れやすいので、結果の数字よりも「成立条件(抑制、融像可否)」を所見として残す運用が安全です。
- 使いどころ:術前後比較、プリズム適合の評価、説明用の数値化。
- 注意点:回旋は感覚適応の影響を受けやすく、数字が“病態そのもの”を直接表していない可能性がある。
- 記録の工夫:同時視/融像/立体視の成立可否を併記する。
回旋斜視 検査の独自視点:cycloadaptationと優位眼で所見が変わる
回旋偏位で意外に盲点になりやすいのが、回旋斜視では感覚適応(cycloadaptation)が比較的起こりやすい、という整理です。
発症が乳幼児期に近いほど適応が強い可能性が示されており、「他覚的には回旋があるのに、本人は傾きを訴えない」パターンを説明しやすくなります。
さらに、麻痺性斜視などで“傾いて見える像”を訴える眼が必ずしも麻痺眼とは限らず、優位眼・非優位眼との関係が絡む、という指摘は臨床での誤解を減らす重要ポイントです。
この視点を取り入れると、検査で「DMRTは小さいが眼底は回旋がある」「本人は傾きを訴えないのに他覚所見がある」といった不一致が、単なる誤差ではなく“適応の結果”として理解できます。
また、問診で「いつからか(先天/後天)」「日常で傾きに気づくか」「疲労で悪化するか」を丁寧に拾うと、適応の有無を推定しやすく、検査選択(自覚的を優先するか他覚的を重視するか)に繋がります。
検査担当者間のばらつきを減らすには、結果の数字だけでなく、成立条件・回答の確からしさ・患者の戦略(首を傾けて代償していないか)を定型文で残す運用が効果的です。
- 意外なポイント:回旋は“適応しやすい”ため、主観と客観が一致しないことがある。
- 臨床の安全策:回旋所見は単発の検査で断定せず、複数検査の整合性で判断する。
- チーム運用:検査条件と成立可否をテンプレ化して引き継ぎミスを減らす。
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