電気性眼振 検査 意義 ENG 温度刺激

電気性眼振 検査 原理 臨床的意義

電気性眼振とENG・温度刺激検査の要点
👁️

電気性眼振の基礎

電気刺激による前庭系賦活で生じる電気性眼振のメカニズムと、生理的眼振との違いを整理します。

🧪

ENGと温度眼振検査

角膜網膜電位を用いる電気眼振図と、カロリックテストによる半規管機能評価のポイントを解説します。

🧠

電気性眼振の臨床応用

末梢前庭障害と中枢障害の鑑別、研究的応用など、電気性眼振の臨床的な読み取り方を紹介します。


<% index %>

電気性眼振 の定義と前庭反応としての特徴

電気性眼振は、耳後部など前庭神経近傍への弱い直流電気刺激(galvanic stimulation)によって誘発される眼振であり、内耳有毛細胞を直接刺激するのではなく前庭神経の発火頻度変化を主とする反応と考えられています。

電気刺激により左右前庭神経の活動バランスが人為的に崩されることで、あたかも一側前庭機能亢進が起きたかのような虚偽信号が中枢に伝わり、代償性の眼球運動として眼振が出現します。

自発眼振や温度眼振と異なり、刺激のオン・オフで比較的急峻に立ち上がり・減衰するのが特徴で、刺激強度と眼振緩徐相速度が一定範囲で相関する点が実験的評価に適しています。

電気性眼振 とENG:角膜網膜電位を用いた記録の実際

ENG(electro-nystagmography/電気眼振図)は、角膜が網膜よりもプラスに帯電している角膜網膜電位を利用し、顔面皮膚上の電極で眼球運動に伴う電位変化を連続記録する方法です。

水平・垂直方向の眼球運動成分を定量化できるため、電気性眼振のような比較的規則的な眼振では緩徐相速度や頻度の解析が容易で、前庭神経刺激に対する応答性の客観的評価に向いています。

近年は赤外線カメラを用いるVOG(video-oculography)が普及しつつありますが、角膜網膜電位は暗所・閉瞼条件下でも検査可能であり、電気性眼振を含めた各種眼振の生理試験では依然としてENGが参照標準として扱われています。

電気性眼振 と温度刺激検査:半規管機能評価との違いと補完関係

温度刺激検査(カロリックテスト)は、外耳道に体温と異なる水や空気を注入し、生じた内リンパ対流や有毛細胞自発放電変化を介して温度眼振を誘発し、外側半規管由来の前庭眼反射を半定量的に評価する検査です。

一方、電気性眼振は半規管や内リンパ自体を物理的に変化させるのではなく、前庭神経の電気的興奮性を直接変調するため、耳の形態や半規管配向の影響を受けにくく「神経レベル」の機能評価に近い指標となります。

温度眼振では3つの半規管のうち外側半規管の寄与が優位であるのに対し、電気性眼振は両側前庭神経への「一様刺激」として作用するため、左右差の評価よりも全体の反応性や中枢での統合機構の異常検出に応用される点が補完的です。

電気性眼振 の臨床的意義と中枢前庭機能評価への応用

電気性眼振を伴う電気刺激検査は、末梢前庭障害と中枢障害が混在する症例において、半規管・耳石器レベルの刺激(温度検査や回転椅子検査など)と前庭神経レベルの刺激を組み合わせることで、障害部位推定の精度を高める試みとして報告されています。

例えば、温度眼振が左右とも低反応だが電気性眼振は保たれている場合には、内耳障害よりも外側半規管特異的な伝達異常や頭位依存性の要因が示唆され、中枢パターンとの比較で解釈する必要があります。

逆に、電気性眼振の誘発が弱いあるいは異常方向を示す一方で、温度眼振や視運動性眼振が比較的保たれる場合には、前庭神経核や小脳を含む前庭中枢の統合機構に選択的障害が及んでいる可能性が指摘されており、ENG上の視性抑制低下や過反応所見と合わせて読影されます。

電気性眼振 と海馬・高次機能:知られざる実験的知見と将来の展望

前庭入力は脳幹・小脳だけでなく海馬や頭頂連合野にも投射しており、動物実験では海馬電気刺激により視運動性眼振パターンが変化し、刺激中止後に眼振が出現するなど、高次中枢が眼球運動制御に影響することが報告されています。

このような高次前庭ネットワークを背景に、電気性眼振を単なる末梢反射としてではなく、「自己運動感覚」と空間記憶の接点として捉え直す研究も進みつつあり、将来的には認知機能障害や空間失認を伴う症例に対して、電気刺激とENG・VOG解析を組み合わせた新しい診断プロトコルが構想されています。

さらに、携帯型電気生理・筋電図デバイスがまぶしさ評価や顔面筋反応解析に応用され始めており、同様の技術を用いた在宅ベースの前庭電気刺激と眼球運動モニタリングにより、めまい慢性化症例の遠隔評価が現実味を帯びてきています。

ENG(電気眼振図)と温度刺激検査の基本的な概要と、電気性眼振を含む前庭機能検査の位置づけを整理する際に有用です。

横浜市立医療センター 検査部:電気眼振図検査・温度刺激検査の解説

参考)電気眼振図検査 横浜市

温度刺激検査とENGを用いた半規管機能評価の詳細な手技と判読基準がまとまっており、電気性眼振との比較検討の際の参照になります。

徳島大学:めまい検査を活用しよう-温度刺激検査とENG評価

参考)https://tokushima-u.repo.nii.ac.jp/record/2012006/files/entoni_288_19.pdf

電気刺激検査(Galvanic test)による電気性眼振・電気的身体動揺の原理と臨床応用が日本語で詳細に解説されています。

日本めまい平衡医学会誌:電気刺激検査 Galvanic test と電気性眼振

参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jser/80/2/80_57/_pdf/-char/ja