律動性眼振と注視眼振と小脳脳幹

律動性眼振と注視眼振

律動性眼振の臨床での使いどころ
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「緩徐相」と「急速相」をまず言語化

律動性の往復運動を、緩徐相(漂う)と急速相(戻る)として切り分けると、所見共有と病巣推定が安定します。

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末梢前庭 vs 小脳・脳幹を早く疑う

後天性の眼振は、耳の病気だけでなく脳梗塞や小脳変性疾患など中枢疾患でも起こり得るため、危険なめまいの見落としを減らせます。

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OKNを診察・遠隔に応用

視運動性眼振(OKN)はスマホ動画等で誘発でき、脳幹・小脳・視覚路障害のスクリーニングや機能性の評価にも応用できます。


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律動性眼振の定義と緩徐相と急速相

律動性眼振は、意思と無関係に生じる「律動的に反復する眼球運動」で、臨床では“リズム”があること自体が重要な所見になります。

眼振は大きく、緩徐相と急速相を反復する衝動性眼振と、緩徐相と急速相の区別がはっきりしない振子様眼振に分類され、まずどちらに近いかを観察で言語化するとチーム内共有が速くなります。

衝動性眼振は急速相の向きで水平性・垂直性・回旋性に分けられるため、「急速相の向き」「眼位」「誘発条件(注視・頭位など)」をセットで記載すると、後から所見を再利用できます。

観察のコツとして、次の順で見ると抜けが減ります。

・👁️ 眼位:正面視/右注視/左注視で増悪するか(注視眼振の評価)

参考)膀胱全摘・尿管皮膚瘻造設術後に,尿管皮膚瘻によって絞扼性腸閉…


・🧭 方向:水平・垂直・回旋のどれが主体か(混合も含む)​
・🧪 誘発:頭位眼振、体位変換眼振など“刺激で出るか”​
・📝 自覚症状:動揺視の訴えの有無(後天性で目立ちやすい)​

参考:眼振の分類(注視眼振・頭位眼振・体位変換眼振など)の概観

日本眼科学会:眼振の分類と原因疾患の整理(注視眼振・頭位眼振など)

律動性眼振と注視眼振と小脳脳幹

注視で誘発・増悪する注視眼振は、末梢前庭だけでなく中枢(小脳・脳幹)の関与を疑う重要な入口になり得ます。

後天性の眼振は動揺視を伴うことが多く、背景に脳梗塞、小脳変性疾患、多発性硬化症などが含まれるため、「めまい+眼振」を“耳鼻科疾患だけ”に固定しない姿勢が安全側です。

一方で、眼振は病的でない生理現象としても起こり、視運動眼振(OKN)は正常者でも出現し得るため、「出ている=病的」と短絡せず、状況と整合するかを評価します。

臨床での危険サイン(紹介・緊急度を上げる目安)を、所見ベースで整理します。

・🧠 後天性で強い動揺視、歩行失調など中枢症状を伴う​
・⬆️⬇️ 垂直性要素が目立つ(水平だけで説明しにくい)​
・👁️ 注視で明らかに増悪し、誘発条件が中枢の眼球運動制御を示唆する​

律動性眼振のめまいと眼科耳鼻科

眼振は、耳の障害だけでなく脳の障害、薬物中毒など多様な背景で起こり得るため、初期対応では「眼科/耳鼻科/神経内科」のどこが主戦場かを眼振所見から逆算します。

日本眼科学会の一般向け整理でも、後天性眼振はめまい、脳梗塞、小脳変性疾患、多発性硬化症などで生じ得て、診療科連携が必要になり得ると述べられています。

そのため、救急・一般外来では「末梢前庭らしさが強い」場合でも、“説明しきれない所見”が混じるときは中枢鑑別に寄せて評価計画(追加診察・紹介)を組むのが実務的です。

実装しやすいフローチャート風の運用例です(施設事情に合わせて改変)。

・🚑 激しいめまい+新規の神経症状(構音障害、四肢失調など)→ 神経内科/脳卒中ルートを優先​
・👂 回転性めまいが主で、頭位・体位変換で誘発される眼振が中心 → 耳鼻科評価を並走(ただし例外を常に意識)​
・👁️ 視力・眼位異常、先天性疾患の疑い、弱視・斜視などの文脈 → 眼科での精査も早めに検討​

律動性眼振と視運動性眼振と遠隔

視運動性眼振(OKN)は健康な人にも認められる生理的眼振で、近年はスマホアプリや動画でも誘発しやすく、診察の補助として活用しやすい眼球運動テストです。

OKNが一方向にしか見られない、特定方向の追従が減速する、といった所見は脳幹・小脳・視覚路の障害を示唆し得るため、眼振を“病巣推定の言語”として扱う入口になります。

またOKNは、機能性視力低下が疑われるケースで「反応が正常なら、ある程度の視力があることを示す」など、鑑別の補助にもなると解説されています。

ここは検索上位でも語られやすい一般論より一歩踏み込み、現場での“運用”を意識します。

・📱 遠隔・救急の撮影:眼と眉間が入る距離で、正面→左右注視→可能なら頭位変換の順に短い動画を残す(記録の再現性が上がる)

参考)https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jja2.12895


・🧩 OKNの位置づけ:OKNそのものは生理的だが、「左右差」「誘発され方の偏り」が臨床的意味を持つ、という理解で使う​
・🧠 “真の眼振”との混同回避:輻輳後退眼振は「真の眼振ではなく」、輻輳を伴い眼球が律動的に後退して見える眼球運動である、と明確に区別しておく(記載ミスの予防)​

参考:OKNを神経診察・遠隔に活かす具体例(輻輳後退眼振の注意点も含む)

岐阜大学神経内科コラム:視運動性眼振(OKN)の実践的な使い方

律動性眼振の独自視点と記載テンプレ

律動性眼振の診療で見落とされやすいのは、所見そのものではなく「所見の書き方が人によって揺れて再現不能になる」ことで、結果として病巣推定や紹介判断がブレる点です。

日本眼科学会の整理が示す通り、眼振は方向(水平・垂直・回旋)や誘発条件(注視眼振、頭位眼振、体位変換眼振)で整理できるため、記載テンプレを固定するとチーム医療での価値が跳ね上がります。

さらに、OKNに関する神経診察の解説では、動画やアプリを用いて誘発・評価できる実務が述べられており、“記録して共有する”運用と相性がよい領域です。

すぐ使える「カルテ記載テンプレ(例)」です。施設のカルテ文化に合わせて短縮してください。

・📝 眼振:衝動性/振子様(可能なら)​
・📝 方向:水平/垂直/回旋(混合なら主成分→副成分)​
・📝 条件:正面視、右注視、左注視、頭位、体位変換での有無​
・📝 症状:動揺視、めまい、悪心、歩行の安定性​
・📝 参考動画:撮影条件(距離、注視指示、頭位)とファイル保存先(院内ルール準拠)​

このテンプレの狙いは、「誰が見ても同じ臨床像を再構成できる」ことです。

眼振は“見た目の印象”で語りがちですが、分類語彙(注視・頭位・体位変換、方向、衝動性/振子様)に落とすだけで、鑑別と連携が一段階進みます。