上斜筋腱鞘症候群の原因と症状と診断と治療

上斜筋腱鞘症候群と診断と治療

上斜筋腱鞘症候群:臨床で最初に押さえる3点
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内上転制限が核

「内側の上を向きにくい」所見が中心で、頭位異常や上下偏位が目立つことがあります。

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ひっぱり試験で機械性を確認

麻痺ではなく“伸展しにくさ”が関与するため、眼球をつまんで動かす検査が診断の要になります。

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原因で治療が変わる

先天性は自然軽快もあり、後天性は炎症や外傷など原因治療+必要時に手術を検討します。


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上斜筋腱鞘症候群の原因と先天性と後天性

 

上斜筋腱鞘症候群(臨床ではBrown症候群として扱われることが多い)は、「上斜筋の一部が伸びにくい」ことが本態と説明されます。

原因は大きく先天性と後天性に分けられ、先天性では上斜筋腱そのものが短い・動きが悪いことが背景として挙げられます。

後天性では、眼周囲手術後、炎症性疾患(関節リウマチ甲状腺外眼筋炎など)、感染(副鼻腔感染症など)、外傷、滑車部腫瘍など、報告される原因の幅が広い点が重要です。

臨床で意外に見落とされやすいのは、「後天性=すぐ手術」ではないことです。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10629099/

原因が炎症性であれば、経過の中で軽快する可能性があり、まずは原因検索(問診・既往・直近の処置歴)を丁寧に拾うほど、過剰介入を避けられます。

上斜筋腱鞘症候群の症状と内上転制限と複視

症状の軸は、内上転制限(内側の上を向きにくい)で、これを避けるように顔を回す・顎を上げるといった頭位異常が出ることがあります。

横を向いたときに片眼だけ上下にずれて見えるなど、患者が「写真で気づく」「人に指摘される」タイプの訴えが混ざることもあります。

後天性では複視が出る場合があり、症状出現のタイミング(急性か、徐々にか)や変動性の有無が鑑別の方向性を決めます。

診察室での説明では、「麻痺で動かない」のではなく「腱が滑車付近でうまく滑らず、引っかかって上に向けにくい」という“機械的制限”のイメージを共有すると、患者の納得が得られやすいです。

また、外傷が背景にある場合には、滑車付近の癒着などで“十分に緩めない”状態が関与しうる、という整理が役立ちます。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10589380/

上斜筋腱鞘症候群の診断とひっぱり試験と画像検査

診断では眼球運動検査・眼位検査で内上転制限を確認し、上斜筋の伸展障害を確かめるために「ひっぱり試験(forced-duction test)」を行うことが重要です。

日本弱視斜視学会の解説でも、ひっぱり試験は「眼球をつまんで動かし、外眼筋の異常を調べる検査」と説明され、機械性の関与を評価する位置づけが明確です。

必要に応じて筋電図検査や画像検査も組み合わせ、総合的に診断するとされています。

鑑別で実務的に効いてくるのは、「麻痺(神経原性)」と「拘縮・癒着(機械性)」の切り分けです。

ひっぱり試験はこの切り分けに直結し、治療方針(経過観察中心か、原因治療か、手術検討か)を早期に具体化しやすくします。

上斜筋腱鞘症候群の治療と経過観察と手術

治療は原因と重症度に応じて、経過観察、原因疾患の治療、手術などを選択します。

先天性では自然軽快もあり、まずは視機能・頭位異常・日常生活支障の程度を評価しつつ、経過を追う判断が合理的です。

後天性の自然軽快は原因疾患の経過に左右されるため、炎症や外傷など背景因子の同定が治療の一部になります。

外傷性の文脈では、自然回復が相当な頻度で期待されるため、初期は経過観察とし、必要なら手術を検討するという臨床的な考え方が示されています。

さらに、外傷性滑車部障害でBrown症候群に同側の上斜筋麻痺を合併する“canine tooth syndrome”という概念が紹介されており、単純な1疾患モデルでは整理しきれないケースがある点は、臨床での「説明の幅」を広げます。

上斜筋腱鞘症候群の独自視点と患者説明とチーム医療

上斜筋腱鞘症候群は所見が独特でも、患者が困っている内容は「見え方(複視)」「見た目(上下ずれ)」「姿勢(頭位異常)」に分解できます。

この分解を先に行うと、眼科外来だけで抱え込まず、原因疾患の治療が必要な場合に内科(関節リウマチ、甲状腺関連など)や耳鼻科(副鼻腔感染症など)との連携が説明しやすくなります。

また「診断がついても治療が一択ではない」ことを最初に共有し、経過観察の医学的理由(自然軽快の可能性、原因治療優先など)を言語化すると、受診継続と不安軽減につながります。

患者説明で使いやすい比喩としては、「筋肉が弱いというより、腱が滑車でスムーズに動かず“引っかかる”」という機械的ニュアンスが、麻痺との違いを直感的に伝えやすいです。

特に後天性で複視がある場合、急性発症の複視=危険という連想が患者側に起きやすいため、神経原性の除外と機械性評価(ひっぱり試験等)をセットで説明すると、安心感が上がります。

診断(ひっぱり試験・総論)の根拠として有用。

日本弱視斜視学会「特殊型の斜視(Brown症候群)」

外傷性の病態整理(自然回復・canine tooth syndromeなど)の補足として有用。

自由が丘清澤眼科「眼窩外傷に伴う上斜筋麻痺とは(外傷性Brown症候群)」

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