硝子体異物残留と眼内異物と硝子体手術
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硝子体異物残留の検査・診断と画像検査
硝子体異物残留を疑う入口は「眼内異物」の病歴聴取で、工具作業・破片飛入・保護具なしなど、典型的な受傷機転がある場合は小さな創でも前提を疑って進める方が安全です。
症状は痛み・異物感・流涙・充血・腫脹・かすみ・視力低下などが教科書的ですが、小さい異物では自覚症状が乏しく無症状で経過し発見が遅れることもあるため、「症状が軽い=除外」にならない点が落とし穴です。
初期評価として、視力・眼圧・眼底・細隙灯顕微鏡検査を組み合わせ、創・眼内液漏出の示唆・異物の種類推定などを拾い上げます。
画像検査は“位置特定と合併症確認”が主目的で、超音波、X線、CTが状況に応じて使われます。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/dcf8a8cb40d72348b6a6f16c9f6834a5f8c8ea28
とくに出血などで眼底が見えないときは、超音波で網膜剥離の有無も確認する、という流れが実務的です。
診断の実務上のコツとしては、「異物そのもの」と同じくらい「異物が通ったルート(刺入創)」「異物が到達し得た後極部」「付随する出血・裂孔・剥離」を一続きで評価し、硝子体異物残留を“点”ではなく“外傷イベントの結果”として捉えることが有効です。
参考:眼内異物の検査(超音波・X線・CT、出血で眼底が見えない場合の考え方)

硝子体異物残留の原因と鉄と眼球鉄錆症
原因となる異物は金属片(鉄・銅など)、石、ガラス、昆虫、植物など幅広く、現場では「何が入ったか不明」なまま時間が経って受診することもあります。
頻度として鉄片が多く、眼内異物の約90%を占めるとされ、作業環境(ドリル・ハンマー・ノミなど)から“鉄の可能性”を強く疑う局面が多いのが特徴です。
また、眼内異物が見つかる部位は硝子体が多いという報告があるため、硝子体異物残留は外傷診療の中心課題になり得ます。
鉄はとくに注意すべき材料で、放置すると錆が発生し「眼球鉄錆症」を来し、失明の可能性があるため、早期に異物と錆の除去が必要とされています。
この“時間依存の毒性”は、見た目が落ち着いた初診でも、後から不可逆な障害に転ぶリスクとして説明しやすく、患者同意形成の要点になりやすいポイントです。
硝子体異物残留の対応では、「異物があるか」だけでなく「毒性金属か」「感染リスクを上げる有機物か」「磁性体か」など、材質推定を治療選択(手術の優先度、抗菌薬、画像モダリティ)に直結させる発想が重要です。
硝子体異物残留の治療と硝子体手術と異物除去
眼内異物は視力低下や感染などの合併症リスクがあるため、早期に除去する必要があり、一般的には入院のうえ手術で除去します。
異物が網膜にまで達している場合などは、結膜から非常に細い器具を挿入して硝子体を除去する「硝子体手術」で異物を取り除く、と整理されています。
硝子体手術は硝子体(コラーゲン繊維と水で構成される透明組織)を切除・吸引し、出血や混濁を除去したり、病気に応じて膜処理やレーザー治療を行う手術です。
硝子体異物残留が疑われる場面では、硝子体手術の意義は「異物を摘出する」だけでなく、「硝子体混濁・硝子体出血などで見えない状況を“見える状況”に変え、網膜病変へ安全にアクセスする」点にあります。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/745048f10e35eea15eb133c70ad0520b1d208f0d
臨床現場での説明では、患者の理解を助けるために“視界の濁りを取り、網膜の状態を確認しながら処置できる”という順序立てで説明すると同意が得やすいことがあります。
併存病変(例:外傷性白内障、網膜剥離など)があれば同時手術になることがあり、治療が「異物単独」では完結しない点も、術前から共有しておくとトラブルが減ります。
参考:硝子体手術とは何か(適応、手術の概略、代表的合併症)
硝子体異物残留の合併症と網膜剥離と眼内炎
眼内異物を放置すると、外傷性白内障や網膜剥離、眼内炎などの合併症を起こし得るため、早期発見・早期治療が重要とされています。
さらに、術後も感染予防の抗菌薬投与(点滴・点眼)を行い、術後合併症(眼圧上昇など)を含めて十分な経過観察が必要です。
硝子体手術自体も安全に広く行われている一方で、感染症、網膜剥離、角膜障害、緑内障、黄斑浮腫などの合併症が代表的として挙げられています。
現場の実感としては、硝子体異物残留が問題になるとき、合併症は“単発”ではなく連鎖しやすく、例えば「出血で見えない→網膜裂孔の見落とし→後日網膜剥離」など、時間差で顕在化するシナリオを想定してフォロー設計するのが安全です。
また「眼内炎」は発症すると視機能へのダメージが大きくなり得るため、受傷機転(汚染環境、有機物)や創の状況、術後の炎症所見を“軽く見ない”運用が重要です。semanticscholar+1
患者説明では、合併症を羅列するより「起こり得る合併症のうち、視力に直結しやすいもの(網膜剥離・感染)を早期に拾うために通院が必要」という構造で伝えると、受診中断を減らせます。semanticscholar+1
硝子体異物残留の独自視点:無症状と経過観察と説明
硝子体異物残留で厄介なのは、初期に無症状〜軽症のことがあり、患者側が「大丈夫そう」と判断して自己中断しやすい点です。
医療側は“症状が軽いほど危ないケースがある”という前提で、受傷機転・検査結果・フォローの必要性を短い言葉で反復し、通院行動につなげる設計が求められます。
特に毒性金属が疑われる場合は、放置で錆や障害が進むリスク(眼球鉄錆症など)を、過度に脅さず具体的に説明し、受診中断の心理的ハードルを下げることがポイントになります。
実務で使える説明テンプレ例(言い回しの一例)
- 「傷が小さくても、眼の中に異物が残っていると後から炎症や網膜のトラブルが出ることがあります。」
- 「見えにくい時は超音波やCTなどで位置を確認して、必要なら硝子体手術で取り除きます。」
- 「手術が終わっても眼圧や炎症の経過で追加の対応が必要になることがあるので、予定通りの受診が大切です。」
外傷診療では、病状説明だけでなく「いつ・何が起きたら緊急受診か」をセットで提示すると安全です。
(文字数調整のための冗長な反復は避け、診断→材質推定→治療選択→合併症フォロー→説明設計の順に、硝子体異物残留の“実務で落ちるポイント”を厚めに配置しました。)semanticscholar+1