網膜滲出斑と硬性白斑と軟性白斑と鑑別

網膜滲出斑と鑑別

網膜滲出斑:臨床で迷わない要点
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まず「硬性白斑」か「軟性白斑」か

境界が明瞭で黄白色なら硬性白斑、境界不鮮明で綿花状なら軟性白斑(綿花様白斑)をまず想定します。

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背景疾患の優先順位を決める

糖尿病網膜症・高血圧性網膜症・網膜静脈閉塞症など「頻度が高く見落とすと危険」なものから鑑別を進めます。

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OCTで「層」を見て説明する

OCTを併用すると、滲出の位置や黄斑浮腫の有無が整理でき、紹介・緊急度判断がしやすくなります。


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網膜滲出斑の硬性白斑と軟性白斑

網膜滲出斑(白斑)は、眼底に「白い病変」として見える所見の総称として扱われることが多く、実務では硬性白斑(hard exudates)と軟性白斑(soft exudates=綿花様白斑)を分けて考えるのが出発点になります。

硬性白斑は、血管から漏れ出た血漿成分(たんぱく質・脂質など)が網膜に沈着してできると説明され、境界が比較的明瞭な黄白色の斑点として捉えられます。

軟性白斑(綿花様白斑)は、網膜神経線維層の虚血や神経線維の浮腫に関連する所見として説明され、境界が不鮮明で綿花状に見える点が特徴です。

医療従事者向けに言語化するなら、「硬性白斑=漏出の結果」「軟性白斑=虚血のサイン」という整理が臨床コミュニケーションに強いです。kateinoigaku+1​

ただし“硬性/軟性”は病名ではなく病態の表現なので、必ず「なぜ漏れる(血管透過性亢進・血管壁障害)」「なぜ詰まる(前毛細血管細動脈の閉塞・循環障害)」を背景疾患に結び付けます。tomoda-ganka+1​

網膜滲出斑と糖尿病網膜症

糖尿病網膜症では、長期の高血糖に伴う網膜毛細血管障害から、出血や白斑(硬性白斑・軟性白斑)などの眼底所見が出現すると説明されています。

硬性白斑は、血漿成分の漏出・沈着として位置付けられ、初期(単純網膜症)でも見られ得る所見として解説されることがあります。

軟性白斑(綿花様白斑)は虚血を反映し、糖尿病網膜症が進行して網膜虚血が目立つ段階(増殖前など)で見られる、という整理が臨床的には有用です。

現場の落とし穴は、「自覚症状が乏しいまま所見だけ進む」点で、患者説明では“見え方”より“血管の障害が進行しているサイン”として伝えると治療継続に結びつきやすくなります。kyo-eye+1​

また、視機能に直結するのは滲出斑そのものより、黄斑部に硬性白斑が集積する状況や、黄斑浮腫の合併であるため、OCTで黄斑のむくみ(網膜肥厚)を確認する流れが重要になります。matsubara-eye-clinic+1​

糖尿病網膜症診療の実務では、眼底所見(出血、白斑、血管異常)と、OCTでの黄斑浮腫評価をセットで記録しておくと、紹介時の情報価値が上がります。sugawara-eye+1​

網膜滲出斑と高血圧性網膜症

高血圧網膜症では、血圧上昇に伴う細動脈の狭細化や硬化などの変化が進むと、循環障害から出血や白斑が現れる、という流れで説明されます。

一般向け解説でも、循環障害が進んだ局面で硬性白斑・軟性白斑が出現し得ることが述べられており、眼底所見が全身管理(降圧)の必要性を示す“臓器障害の窓”になります。

また高血圧性網膜症は、黄斑部に浮腫や出血がなければ視力低下などの自覚症状が乏しいことがあるため、「症状がない=軽症」と決めつけない声かけが実務上重要です。

医療従事者の現場では、白斑を見たら眼科紹介だけでなく、血圧測定・服薬状況・腎機能や心血管リスクの確認につなげる設計が安全です。tomoda-ganka+1​

眼底所見の記載では、「出血斑・滲出斑(白斑)・網膜浮腫」などを並列に書くだけでなく、硬性白斑か軟性白斑かを一言入れると、病態(漏出優位か虚血優位か)のニュアンスが伝わります。kobe-kishida-clinic+1​

網膜滲出斑とOCT

眼底写真(あるいは直像鏡・倒像鏡)で白斑を見つけた時点で、OCTを追加する価値が高いのは「黄斑浮腫の有無」と「病変がどの層に関連していそうか」を整理できるからです。

実地の眼底検査解説でも、硬性滲出斑は血漿成分の漏出による明るい黄色の斑点として示され、軟性滲出斑(綿花様白斑)は神経線維の浮腫による白色斑点として整理されています。

OCTの説明資料では、黄斑浮腫が「網膜がむくみ、厚みが増加」し、滲出液が貯留する、といった形で理解できるよう提示されており、患者説明にも転用しやすい表現です。

ここでのコツは、「白斑=点」ではなく「黄斑中心窩との距離」「浮腫の合併」「(虚血疑いなら)軟性白斑が複数か」をセットで評価することです。me-times+1​

特に綿花様白斑は虚血のサインとして重要である、という教育資料の位置付けがあり、OCT/OCTAなどの画像と合わせて虚血性変化を疑う視点は、紹介の緊急度判断に直結します。matsubara-eye-clinic+1​

参考:糖尿病網膜症の標準的な考え方(病期、治療・フォローの枠組み)

日本眼科学会「糖尿病網膜症診療ガイドライン(第1版)」PDF

網膜滲出斑とベーチェット病

網膜滲出斑は、糖尿病や高血圧の“生活習慣病系”だけでなく、炎症性疾患でも重要な所見になり得ます。

ベーチェット病の眼病変では、網膜静脈周囲炎や網脈絡膜滲出斑(candle wax dripping)などが述べられており、滲出斑が単なる漏出ではなく炎症性の網脈絡膜病変として扱われる文脈があります。

そのため、白斑(滲出斑)を見た際に、口腔内アフタ、皮膚症状、関節症状など全身の炎症エピソードを問診で拾えると、鑑別の見通しが一段上がります。

参考:ベーチェット病の病態・眼底所見(candle wax dripping の説明を含む)

難病情報センター関連PDF「ベーチェット病の病態」

参考)https://www.nanbyou.or.jp/wp-content/uploads/upload_files/Bechet2014_1.pdf