放射線網膜症 治療
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放射線網膜症 治療:病態生理とリスク因子
放射線網膜症(radiation retinopathy)は、放射線照射後に生じる慢性・進行性の閉塞性血管障害で、発症時期は照射開始後1か月〜15年と幅がある点が臨床上の落とし穴です。
病態のコアは、網膜微小血管の内皮障害→血管閉塞と毛細血管脱落→虚血→VEGF上昇→血管漏出(黄斑浮腫)や新生血管化、という流れで、糖尿病網膜症に似た進行をとります。
リスク因子として、糖尿病は放射線と相乗して重症化し得ること、また高血圧など他の血管障害、化学療法併用が網膜血管をより脆弱にし得ることがまとめられています。
腫瘍の後極近傍(黄斑・視神経乳頭に近い)や、照射野が広いケースは視機能障害(放射線黄斑症、放射線視神経症)に直結しやすく、治療計画の段階から「誰がハイリスクか」を共有することが重要です。
放射線網膜症 治療:抗VEGF 硝子体内注射の実際
放射線網膜症の中心的治療として、レーザー光凝固、抗VEGF、(硝子体内/周辺)ステロイドが挙げられ、特に黄斑浮腫や新生血管に対して抗VEGFが重要な位置を占めます。
抗VEGFはVEGFを介した血管透過性亢進と新生血管形成を抑えるため、黄斑浮腫の軽減、出血・綿花様白斑など臨床所見の改善、視力温存に寄与し得ます。
ただし放射線網膜症は「進行性で、抑えても病気の時間が止まるわけではない」点が重要で、長期では投与間隔短縮、薬剤変更、ステロイド併用など“治療強度の調整”が必要になり得ると議論されています。
また「やめると再燃しやすい」という性質があり、通院負担・片眼機能・患者背景(腫瘍治療の予後、他科通院)を踏まえた現実的なレジメン設計が、医療安全の観点でも重要になります。
参考:抗VEGF治療の基本(硝子体内注射の流れや位置づけ)
放射線網膜症 治療:レーザー光凝固・汎網膜光凝固の役割
レーザー光凝固(網膜光凝固)は、虚血領域が作るVEGFドライブを弱める目的で用いられ、特に増殖性変化(新生血管、硝子体出血リスク)に対して周辺網膜への光凝固が重要とされます。
ただし、黄斑近傍や腫瘍が黄斑・乳頭に近接する状況ではレーザーが適用しづらいことがあり、抗VEGFが実質的な主軸になりやすい点が臨床的に現実です。
黄斑浮腫に対しては過去にグリッド/局所レーザーが試みられてきたものの、視力改善が長期で維持されにくい報告もあり、現代では抗VEGF中心+必要時レーザーという組み立てが整理されています。
“レーザー=古い治療”ではなく、増殖性放射線網膜症の失明リスク(硝子体出血、牽引性網膜剥離、新生血管緑内障)を下げるための重要なパーツとして再評価するのが安全です。
参考:網膜光凝固術の概要(目的が「進行抑制」である点の整理に有用)
放射線網膜症 治療:ステロイド(トリアムシノロン、デキサメタゾン)と併用戦略
抗VEGFが中心であっても、放射線黄斑症では炎症性サイトカインや血液網膜関門破綻が絡むため、ステロイドが役立つ場面があり得る、と整理されています。
ステロイドはタイトジャンクション蛋白やサイトカインに関連して内側血液網膜関門の破綻を抑える方向に働く可能性が示され、抗VEGF単独で黄斑浮腫が難治なケースで併用・切替が検討されます。
一方で眼圧上昇や白内障など副作用が問題になり得るため、緑内障合併や視神経脆弱例では適応をより慎重に判断する必要がある、と注意喚起されています。
放射線網膜症では「抗VEGFで漏出を抑える」だけでなく、「虚血進行や微小血管閉塞が続く」という構造が残るため、反応不十分時の次手としてステロイドを“救済カード”として位置付けると治療設計が破綻しにくくなります。
放射線網膜症 治療:独自視点—OCT angiographyで“臨床前”を拾い、いつ介入するか
意外に見落とされやすいポイントは、放射線による微小血管障害が「眼底所見が出る前」から始まる可能性で、OCT angiography(OCTA)が毛細血管密度低下やFAZ拡大などを早期に捉え得るとまとめられています。
つまり、視力低下・眼底出血・綿花様白斑が出てから治療開始すると、抗VEGFで浮腫が引いても“残存する網膜障害”が視機能を縛るリスクがあり、早期ほど解剖学的温存と視力温存の可能性が高い、という発想になります。
さらにハイリスク眼では、臨床的網膜症の発症前から予防的に抗VEGFを定期投与する戦略が検討されてきた経緯があり、少なくとも「早期開始が有利になり得る」という方向性は一貫しています。
実務的には、腫瘍照射の線量分布(黄斑・乳頭への線量)、糖尿病など背景、OCTでの中心窩厚の左右差、OCTAでの密度低下などを組み合わせ、「どの時点で“治療開始ライン”を越えたか」をチームで共通言語化すると、紹介・逆紹介でも迷いが減ります。

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