インターフェロン網膜症と眼底検査
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インターフェロン網膜症の網膜出血と軟性白斑
インターフェロン網膜症で代表的にみられる眼底所見は、網膜出血(点状・斑状)と軟性白斑(いわゆる綿花様白斑)で、報告では両者が主体となって出現します。
C型慢性活動性肝炎などでインターフェロン治療を受けた患者の検討では、網膜症(網膜出血または軟性白斑)を46%に認め、出血のみ28%、軟性白斑のみ10%、両者8%という内訳が示されています。
臨床上のポイントは「ある/ない」だけでなく、投与前から糖尿病網膜症などの所見が存在する患者では、新規出現や明らかな増加をもって薬剤影響を疑う、という考え方です。
また、病変の多くは一過性に自然消退し得る一方で、軟性白斑が吸収されても神経線維束欠損が残る例があり、“消えた=無害”と決めつけない視点が必要です。
インターフェロン網膜症の発症時期と8週
前向きに頻回の眼底検査を行った報告では、インターフェロン網膜症は50例中43例(86%)と高率に認められ、発症を拾う検査頻度の影響が強く示唆されます。
同報告では、発症例の多くが投与開始後8週までに初発し、開始から8週までの眼底検査が重要だと述べています。
さらに「早期発症ほど重症化しやすい」傾向が示されており、重症型(重症度分類III群)は平均2.6週で初発するなど、初期の見逃しが後の判断を難しくします。
このため、開始前にベースラインの眼底(可能なら写真)を確保し、少なくとも初期は“症状がない前提”でスケジュールを組むのが実務的です。
インターフェロン網膜症の糖尿病と高血圧
糖尿病や高血圧は、インターフェロン網膜症の「発症」だけでなく「重症化」に関わる因子として繰り返し言及されています。
別の検討でも、糖尿病・高血圧・動脈硬化性網膜症・貧血など網膜循環に影響し得る併存疾患がある患者では網膜症の発症率が高かったと報告されています。
糖尿病患者では、投与前から網膜症がある場合に出血が著明に増加し、糖尿病網膜症の悪化として臨床的に問題になるケースが示されています。
“コントロール良好”でもリスクがゼロにならない点が厄介で、HbA1cや血圧だけでは説明できない網膜循環イベントが起こり得ることを前提に、内科側にも眼底所見のフィードバックを返す運用が重要です。
インターフェロン網膜症の眼底検査と重症度分類
頻回観察の報告では、インターフェロン網膜症を「非発症(0群)」「単数単発型(I群)」「複数頻発型(II群)」「重症型(III群)」に分類し、病変パターンでフォロー間隔や治療方針を考える枠組みを提示しています。
臨床的には、I群のように単発で消退するケースと、II群のように出現と消退を繰り返すケースでは、同じ“軽症”でも患者説明の内容(再発の可能性)や撮影の優先度が変わります。
加えて、1日投与量や連日投与週数が多いほど重症度が高い(dose dependentの傾向)とされ、投与レジメン情報は眼科側が必ず把握したい項目です。
実装例としては、紹介状テンプレに「開始日、1日投与量、連日投与週数、糖尿病・高血圧・貧血の有無」を固定項目化し、眼底所見は“枚数”ではなく“象限・後極部・乳頭周囲”など部位で記載すると、後から比較がしやすくなります。
インターフェロン網膜症の貧血と赤血球減少(独自視点)
インターフェロン治療では血球減少が起こり得ますが、ある検討では網膜症発症群で赤血球減少率が非発症群より有意に大きかったと報告され、網膜循環障害の“引き金”としての血液因子が示唆されています。
同報告では、貧血(Hb 10g/dl前後)の患者で網膜病変が高率にみられた一方、一般的に貧血網膜症はより高度の貧血で出やすいことにも触れ、単純な「貧血だから」では説明しきれない複合要因(虚血+血管内皮障害など)を考える必要があるとしています。
ここが意外に盲点で、眼底所見が軽微でも「最近Hbが落ちた」「ふらつきが増えた」「腎癌など基礎疾患で貧血が進みやすい」といった全身情報が揃うと、眼科フォローの優先順位が上がる可能性があります。
実務としては、眼科から内科へ“視力低下がなくても”血算(特にHb/RBC)の推移を確認してもらう依頼文を添えると、薬剤継続の判断が「眼底だけ」「肝機能だけ」にならず、安全側の調整がしやすくなります。
眼底検査の重要性(開始後8週の頻回観察、危険因子、重症度分類の考え方)
https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/JJOS_PDF/100_69.pdf
網膜出血・軟性白斑の頻度、糖尿病・高血圧・貧血といった背景因子、赤血球減少率との関連