赤道ぶどう腫
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赤道ぶどう腫の強膜の定義と分類
赤道ぶどう腫は「ぶどう腫(staphyloma)」のうち、眼球の赤道部付近に局在するタイプを指す表現で、診療上は「強膜のその他の障害」H15.8の同義語として整理されていることがあります。
ぶどう腫自体は、眼球壁(主に強膜)が局所的に薄くなり、外側へ袋状に突出する“形態”の異常として説明されます。
同じ「ぶどう腫」でも、後部(後極寄り)に生じる後部ぶどう腫が病的近視の文脈で頻出する一方、赤道部という部位指定は周辺部の評価(周辺網膜・硝子体牽引など)と一緒に語る必要が出てきます。
【参考リンク(赤道ぶどう腫がICD-10 H15.8の同義語として掲載され、病名整理・コード運用の根拠になります)】
標準病名マスター作業班:ICD10分類 H15.8(赤道ぶどう腫を含む)
赤道ぶどう腫と網膜剥離の関連
赤道部強膜ぶどう腫に網膜剥離を合併した症例報告があり、「本邦ではきわめてまれ」との記載があるように、頻度は高くない一方で臨床的な注意点になります。
機序は一言で固定できませんが、強膜の局所的突出=眼球形状の歪みが、周辺網膜における牽引・裂孔形成・液化硝子体の流入など、網膜剥離に至る複数経路の“土台”になり得る点が要注意です(特に強度近視背景では周辺病変が重なりやすい)。
実務では「視力低下」だけでなく、飛蚊症の増悪、光視症、視野欠損(カーテン様)など周辺網膜トラブルを疑う症状が出た場合に、赤道部を含めた周辺まで観察できる導線(散瞳・広角観察・紹介)を早期に確保するのが安全です。
【参考リンク(病的近視やぶどう腫様変形が網膜裂孔〜裂孔原性網膜剥離に関与し得る点を、学会PDFで確認できます)】
日本眼科学会PDF:難治性網膜剥離の手術治療(ぶどう腫様変形と裂孔原性網膜剥離の文脈)
赤道ぶどう腫の診断:眼底と画像の考え方
ぶどう腫は「局所的な突出」という“形状”の話なので、診断の核は形態評価であり、眼底検査に加えて断層情報(OCTなど)や超音波など、施設の得意なモダリティで“凹凸・菲薄化”を捉える方針が実務的です。
近年は高度近視眼の後部ぶどう腫について、OCTを用いた定量評価や形状理解が進んでおり、「赤道部が前後に延長する」タイプの説明も見られます(赤道部という部位概念が、眼球形状の理解に直結します)。
鑑別としては、ぶどう膜炎など炎症性疾患が背景にある場合、前房所見・硝子体混濁・網膜血管炎など別軸の所見も混在し得るため、形態(ぶどう腫)と病態(炎症・感染・近視性変化)を分けて所見を記載すると情報伝達が安定します。
【参考リンク(ぶどう膜炎の検査項目が体系化され、画像・検査の選び方の根拠として使えます)】
ぶどう膜炎診療ガイドライン 2015年(検査:OCT、蛍光眼底造影など)
赤道ぶどう腫の治療とフォロー:紹介タイミング
赤道ぶどう腫そのものに対して「ここを治す」標準治療が確立している、というよりは、合併しやすい問題(網膜剥離、黄斑合併症、脈絡膜新生血管など)を早期に拾い、適切な治療に結びつける設計が中心になります。
病的近視領域では、後部ぶどう腫に対して強膜クロスリンキングや後部強膜補強術など新規治療が検討されている一方、現時点で有効性・安全性が確立した治療はない、と整理されることがあります(患者説明では“研究段階”のニュアンスが重要です)。
紹介の実務目安は、①網膜剥離疑い症状、②眼底出血や変視症など黄斑症状、③短期間での視力低下、④所見の左右差が大きい・説明困難、のいずれかがあれば「赤道部も含めた周辺精査ができる先」へ、が安全側です。
赤道ぶどう腫:独自視点の説明と同意
赤道ぶどう腫は患者にとって馴染みが薄く、「ぶどう(果物)?」と誤解されやすいので、説明は“病名の語感”よりも「眼球の壁(強膜)が局所的に薄くなって外へふくらむ形の変化」と機械的に言い換えると通じやすいです。
さらに、赤道部という言葉は“目の真ん中(黄斑)”の話ではないため、「中心の見え方が保たれていても周辺のトラブルは別に起こり得る」という二段構えの説明が、受診中断の予防に役立ちます(網膜剥離は周辺から始まることが多く、自覚が遅れ得るためです)。
同意説明のコツは、1) 何が起こっているか(形状変化)、2) 何が困るか(剥離・出血など合併症)、3) 何をしたらよいか(症状出現時の受診、定期フォローの目的)を箇条書きで提示し、症状の“具体例”を添えることです。
| チェック項目 | 現場での言い換え | 患者向けに伝える要点 |
|---|---|---|
| 赤道ぶどう腫 | 強膜が赤道部でふくらむ形の変化 | 形の変化自体より、合併症の早期発見が大事 |
| 危険サイン | 光が走る/黒い点が急増/視野が欠ける | 網膜剥離の可能性があるので早めに受診 |
| フォロー目的 | 周辺まで含めた状態確認 | 中心が見えていても周辺病変は別に進むことがある |
- 🔔 受診を急ぐ目安:新規の光視症、飛蚊症の急増、カーテン様の視野欠損、急な視力低下
- 🧾 記載のコツ:部位(赤道部)、所見(突出・菲薄化の有無)、合併(剥離・出血の有無)を分けて書く
- 🧠 意外に重要:病名の説明で誤解が起きると通院が途切れやすいので、機械的な言い換えを定型化すると安全