化膿性網膜炎と診断と治療
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化膿性網膜炎の原因と眼内炎
化膿性網膜炎は、網膜・脈絡膜に感染が及び、しばしば硝子体炎を伴って視機能を急速に障害しうる病態として捉えると実務上の判断が早くなります。感染が眼内腔(硝子体や前房)に波及した状態は感染性眼内炎の枠組みで整理でき、外因性(術後・外傷・注射など)と内因性(菌血症・真菌血症からの血行播種)に大別されます。
内因性(転移性)眼内炎は眼球外に原発巣があり、血行性に眼内へ播種する点が本質で、両眼性となることもあるため「片眼の炎症」として閉じない視点が必要です。
微生物は細菌・真菌が中心で、真菌性ではCandidaが代表的であることが複数のレビューで繰り返し示されており、中心静脈カテーテルや入院・糖尿病など背景の聞き取りが診療の初手になります。
化膿性網膜炎の診断とPCRと培養
感染性眼内炎(化膿性網膜炎を含む後眼部感染が疑わしい状況)の確定に近づくには、臨床所見に加えて前房水採取や硝子体タップでのPCR検査・培養検査が不可欠とされ、検体採取の意思決定が「診断」そのものになります。
内因性では眼痛が出ない症例が多い(約6割で眼痛が出現とされ、逆に言えば無痛例も相当数ある)ため、疼痛の有無だけで重症度や感染性を否定しない姿勢が重要です。
実務では、採取した検体で起炎菌同定を狙いつつ、同定前に経験的治療を開始し、結果に応じて抗微生物薬を最適化する「並行設計」が安全です。
化膿性網膜炎の治療と抗菌薬と硝子体手術
感染性眼内炎の治療は、原因に応じた抗微生物薬投与に加えて、炎症を抑える目的で副腎皮質ステロイドを用いることがあり、さらに硝子体手術で原因微生物の除去と網膜剥離の予防/治療を行う、という柱で説明されています。
硝子体手術は、眼内の細菌や炎症産物の除去と同時に抗菌薬硝子体内注射を行う、という治療戦略が提示されており、薬物治療単独で押し切らない判断が求められます。
外因性・内因性いずれでも「視力低下+硝子体混濁+前房炎症(時に前房蓄膿)」の組合せを見たら、手術適応の検討と採取検体の質確保(量・タイミング・培養/PCR提出)を同じフレームで進めると治療の遅れが減ります。
化膿性網膜炎の鑑別とぶどう膜炎とOCT
ぶどう膜炎の診療では、OCT(光干渉断層計)で黄斑浮腫や滲出性網膜剥離などを把握できるとされ、後眼部炎症の「形」を客観化するのに有用です。
ぶどう膜炎の検査としてOCT、細隙灯顕微鏡、眼底検査、必要に応じて蛍光眼底造影や血液検査などが挙げられており、感染性(化膿性網膜炎)か非感染性かを詰めるには、眼局所評価と全身評価を同時に組むのが現実的です。
注意点として、ステロイドはぶどう膜炎の治療で中心的役割を持つ一方、感染性が混在・未除外の段階での安易な使用はリスクになり得るため、「感染の可能性をどこまで潰せたか」をチームで共有して投与設計を決めるのが安全です。
化膿性網膜炎の独自視点とカンジダと眼底検査
意外に見落とされやすいのは、「眼底検査が初回で正常でも、治療中に眼病変が出現する」点で、カンジダ血症では眼内炎合併が問題になり、可能な限り眼底検査が推奨される、と症例ベースでも強調されています。
つまり化膿性網膜炎を“眼科だけのイベント”として閉じず、感染症科・内科と「再評価のタイミング(再診の眼底/OCT)」をセットで決めておくと、遅発例の拾い上げに繋がります。
また、内因性真菌性眼内炎の主要原因としてCandidaが中心である、という情報は複数ソースで繰り返し示されており、中心静脈カテーテル管理、糖尿病、免疫抑制、最近の入院歴などの背景をテンプレ問診に組み込む価値があります。
日本眼科学会の「感染性眼内炎」解説(治療の柱:抗微生物薬+ステロイド+硝子体手術の考え方)。
内因性(転移性)眼内炎の臨床像(眼痛がない例、PCR/培養の重要性などの実務ポイント)。
カンジダ血症と眼病変(初回眼底が正常でも治療中に発症しうる、眼底検査推奨の根拠の一例)。
https://www.bdj.co.jp/micro/ketsubai/hkdqj200000vmca2-att/CaseReport05.pdf