網膜静脈周囲炎と診断と治療

網膜静脈周囲炎と診断と治療

この記事で押さえる要点
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「所見」から「病名」へ

網膜静脈周囲炎は単独疾患名ではなく、網膜血管炎の表現型として背景疾患(サルコイドーシス、結核など)を見抜く視点が重要です。

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検査はFA・OCTを軸に組む

蛍光眼底造影で漏出と無灌流、OCTで黄斑浮腫や硝子体混濁の影響を評価し、治療の優先順位を決めます。

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治療は「炎症」と「虚血」を分ける

炎症優位ならステロイド中心、虚血・無灌流優位なら光凝固(PRP)など網膜虚血対策を早めに検討します。


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網膜静脈周囲炎の所見と鑑別

 

網膜静脈周囲炎は、眼底で静脈の周囲に白い鞘状変化(いわゆる血管の白鞘化/血管周囲の炎症所見)として観察され、網膜血管炎の一つの表現型として捉えるのが臨床的に実用的です。

特に注意したいのは「網膜静脈周囲炎=Eales病」と短絡しないことです。Eales病は網膜血管の白線化、無灌流領域、網膜静脈周囲炎などを来し、原因不明で若年男性に多く、両眼性が多いとされますが、診断は除外診断の要素が強く、他疾患を丁寧に外す必要があります。

実臨床で頻度・重要度の両面から意識したい鑑別は次のとおりです。

  • サルコイドーシスぶどう膜炎に加えて網膜血管の炎症(網膜静脈炎)を来し得るため、眼所見だけで完結させず全身評価が必要です。
  • 結核関連ぶどう膜炎(TB):静脈周囲炎を起こし得るため、既往・曝露歴・検査所見を踏まえて検討します。
  • その他の感染性/非感染性ぶどう膜炎:臨床経過、硝子体炎症の程度、再発パターン、画像所見を合わせて層別化します。

また、Eales病は網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)と誤診されることがある点も実務上重要です。動静脈交差部に関係なく血管途絶がみられることが鑑別点として挙げられています。

網膜静脈周囲炎の検査と画像

診療の流れは「眼内評価で活動性をつかむ」→「全身検索で原因に迫る」→「失明リスク(虚血・新生血管・黄斑浮腫)に先回りする」の順に組み立てると破綻しにくくなります。

眼科的検査は、蛍光眼底造影(FA)とOCTを軸にすると意思決定が速くなります。サルコイドーシスの解説でも、蛍光眼底造影やOCTが一般的な眼科検査として挙げられており、網膜血管炎・黄斑浮腫の評価に直結します。

臨床で役に立つ観察ポイントを、検査ごとに整理します。

  • 眼底検査:静脈の周囲炎、出血、白鞘化、周辺部の虚血を見落とさない(散瞳+周辺部観察が重要)。
  • FA:血管壁からの漏出(活動性)、無灌流領域(虚血の広がり)、新生血管の存在を可視化し、治療(ステロイド/光凝固)の優先順位を決める材料にします。
  • OCT:黄斑浮腫の有無、網膜構造の障害、硝子体混濁による視力低下要因の切り分けに使います。

全身検索は「鑑別の上位」を先に押さえるのが現実的です。サルコイドーシスでは、血液検査、ツベルクリン検査、胸部X線、心電図などの全身検査が必要とされ、胸部CTや気管支鏡検査、病理検査まで進むこともあると説明されています。

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つまり、網膜静脈周囲炎を見た時点で、眼科内で完結させるのではなく呼吸器内科などとの連携を前提に検査設計することが、結果的に最短距離になります。

網膜静脈周囲炎の治療の考え方

治療は「炎症を抑える」と「虚血合併症を防ぐ」の2本立てで考えると、迷いが減ります。

炎症主体(ぶどう膜炎・網膜血管炎の活動性が高い)であれば、ステロイド治療が基本線になります。サルコイドーシスの眼病変では、軽い場合はステロイド点眼や散瞳薬点眼、眼底炎症が強い場合や視神経炎症、硝子体混濁が強い場合はステロイド内服が必要になることがある、と整理されています。

一方で、網膜虚血が主体(無灌流領域が広い/新生血管が出ている/硝子体出血を繰り返す)なら、炎症コントロールだけでは視機能を守れません。Eales病の解説では、治療の一選択は光凝固であり、硝子体出血を起こした場合には硝子体手術が行われるとされています。

参考)https://www.semanticscholar.org/paper/e1f898e6cc811742a474fefe29d0d6c8e14b6ac2

この「第一選択が光凝固」というメッセージは、Eales病の文脈に限らず、虚血主体の網膜血管炎(周辺虚血→新生血管→硝子体出血)という流れを想定したときに、臨床の意思決定を後押しします。

治療選択の実務的な目安(例)を挙げます。

  • 炎症優位:ステロイド(局所→必要に応じて全身)を中心に、再燃しやすい場合は通院間隔と全身評価を調整する。
  • 虚血優位:無灌流領域に対する光凝固(PRP)を早めに検討し、硝子体出血や牽引性変化が強い場合は硝子体手術も視野に入れる。
  • 合併症対応:黄斑浮腫、緑内障白内障、網膜剥離など、視力に直結する合併症は並行して治療計画に入れる。

網膜静脈周囲炎と予後

予後を分けるのは、静脈周囲炎そのものよりも「虚血の広さ」と「新生血管イベント(硝子体出血、増殖膜、牽引)」に早く気づけるかです。Eales病では無灌流に伴う新生血管により硝子体出血を繰り返すことがある、と説明されており、ここが長期視機能の分岐点になります。

またサルコイドーシスの眼病変では、炎症が強い/長く続くと黄斑が腫れて網膜障害が起こり得ること、緑内障や白内障などの合併で視力が著しく低下することがある点が示されています。

現場で役に立つ「悪化サイン(見逃すと取り返しがつきにくい)」を整理します。

  • 飛蚊症の増加+視力低下:硝子体出血や炎症増悪の可能性。
  • FAで無灌流領域が拡大:新生血管リスク上昇。
  • OCTで黄斑浮腫が遷延:視力予後に影響しやすい。

サルコイドーシスでは、症状が軽くなっても再発や慢性化があり得るため、定期通院が必要とされています。

「落ち着いたから終了」ではなく、再燃・虚血進展・合併症の監視を前提にしたフォロー設計が、医療安全の観点でも重要です。

網膜静脈周囲炎の独自視点

網膜静脈周囲炎の診療で、検索上位では語られにくいのが「所見名としての曖昧さが、診療の手戻りを生む」という点です。

例えば、静脈周囲炎を見た瞬間に「炎症=ステロイド」で走ると、虚血が主体のケース(周辺無灌流が広いEales病様の病態など)では、新生血管→硝子体出血というイベントを止めきれず、結果として手術適応に早く到達してしまうことがあります。Eales病では無灌流に伴う新生血管で硝子体出血を繰り返し得ること、治療の第一選択が光凝固であることが示されており、「炎症だけを追わない」重要性を裏づけます。

逆に、虚血所見(無灌流や血管途絶)ばかりに意識が向くと、サルコイドーシスのように全身病変を伴い得る疾患の拾い上げが遅れ、眼以外の臓器評価が後手に回るリスクもあります。サルコイドーシスは肺や皮膚、心臓など多臓器に病変を形成し得て、眼病変ではぶどう膜炎や網膜血管炎が起こり得るため全身検査が必要、と説明されています。

そこで、実務としては次のように「ラベルの二重化」を推奨します。

  • 眼内ラベル:炎症優位型/虚血優位型/混合型(FA・OCTで更新)
  • 原因ラベル:感染性疑い/非感染性疑い/原因不明(全身検査の進捗で更新)

この二軸でカルテ・紹介状・カンファの言語を揃えると、眼科内でも他科連携でも方針がぶれにくくなります。サルコイドーシスでは胸部CTや呼吸器内科での気管支鏡検査、病理検査に進むことがあるなど、連携を前提にした診療が想定されているため、初動の整理が効きます。

日本語の参考リンク(眼所見と全身評価・治療方針の整理に有用)

https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=20

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