高血圧性網膜症と眼底検査と分類と治療

高血圧性網膜症と眼底検査

高血圧性網膜症と眼底検査:臨床での要点
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眼底は全身血管の“窓”

無散瞳眼底写真でも循環器リスクに関わる所見(狭細・交叉現象・出血・白斑・乳頭浮腫)を拾えるため、健診〜臨床まで有用です。

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分類は「重症度」と「連携」を決める

Keith-Wagener分類(慶大変法)やScheie分類、さらにWong-Mitchell分類の考え方を押さえると、要経過観察か要精査かの判断が明確になります。

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治療は降圧が中心

眼科的処置よりも血圧管理(生活習慣の修正/非薬物療法+必要時の薬物療法)が本体で、所見は全身合併症リスク評価に直結します。


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高血圧性網膜症の眼底所見と症状

 

高血圧性網膜症は、網膜細動脈の狭細化や口径不同、動静脈交叉現象、反射亢進などの血管変化から、出血・綿花状白斑・網膜浮腫・視神経乳頭浮腫といった「網膜症所見」へ進展し得る病態として整理されます。

軽度〜中等度では自覚症状に乏しい一方、出血や浮腫、乳頭浮腫を伴う段階では視力低下などを来し得るため、「症状がない=軽い」とは限らない点が実務上の落とし穴です。

医療従事者として重要なのは、眼症状の訴えが少ない患者でも、眼底写真で狭細や交叉現象などの所見があれば、脳卒中・冠動脈疾患など循環器イベントの危険上昇と関連する“サイン”として扱う視点です。

また、健診の現場では「軟性白斑(綿花状白斑)」や「網膜出血(点状・斑状・火炎状)」のように、写真1枚で比較的拾いやすい所見が、要精査(D2)に直結する扱いになっている点が実務的に重要です。

参考)https://www.semanticscholar.org/paper/9e0c58d3bf0424a080a1b8b138738116c73bd829

一方で、白内障など中間透光体混濁で判定困難になることがあり、その場合も要精査(D2)とする運用が推奨されているため、撮影条件や再撮影可否の確認が品質管理になります。

参考:人間ドック眼底での判定区分、Keith-Wagener分類(慶大変法)やWong-Mitchell分類の位置づけ(循環器リスクとの対応)がまとまっています。

眼底健診判定マニュアル(日本人間ドック学会・日本眼科学会)

高血圧性網膜症の分類とScheie分類とKeith-Wagener分類

眼底所見の整理では、従来からScheie分類(硬化性変化Sと高血圧性変化H)と、Keith-Wagener分類を基にした慶大変法が、健診・臨床の共通言語として使われてきました。

Scheie分類では、例えば高血圧性変化(H)で「びまん性狭細化」「限局性狭細」「口径不同」に加えて「出血・白斑」が出ると重症度が上がり、乳頭浮腫が加わればさらに重い段階として整理されます。

Keith-Wagener(慶大変法)では、I群(軽度狭細/硬化)→II群(硬化が明らか、狭細が増強)→III群(網膜浮腫・綿花状白斑・出血を伴う高血圧性網膜症)→IV群(III群+乳頭浮腫)という流れで、「血管内の変化」から「血管外へ波及した網膜症」へ進む構図が明確です。

ここで実務上のポイントは、II群までは「高血圧性眼底」と表現されることが多い一方、III群以上は明確に「高血圧性網膜症」として扱われ、要精査(D2)相当になりやすいことです。

同じ“高血圧関連の眼底異常”でも、所見が網膜症(出血・白斑・浮腫)へ到達しているかどうかで、内科的緊急度・連携の強さが変わります。

高血圧性網膜症とWong-Mitchell分類とリスク

近年は、軽症所見の解釈が曖昧になりやすいという批判を背景に、眼底所見の程度を循環器疾患リスクと対応させるWong-Mitchell分類の考え方が提示されています。

この枠組みでは、狭細化・交叉現象・反射亢進などは「軽度」とされ、脳卒中や冠動脈疾患、循環器死亡の危険上昇(オッズ比1〜2)と関連し得る所見として位置づけられています。

出血・綿花状白斑などの網膜症所見は「中等度」とされ、脳卒中や認知低下、循環器死亡の危険がより高い(オッズ比2以上)と整理され、健診判定でも要精査(D2)相当として扱われます。

さらに、網膜症所見に乳頭浮腫が加わる「重度」は循環器死亡の危険が高いカテゴリーとして整理され、即時性のある連携(眼科・内科/循環器)が必要になる“赤信号”です。

意外に見落とされがちなのは、血圧が「正常高値」〜「高値血圧」に見える受診者でも、眼底所見が揃っている場合は将来の高血圧や循環器疾患と血圧とは独立した関連が示唆される、という注意書きがある点です。

つまり、眼底所見は“その時点の血圧値”の補助ではなく、慢性的な血管負荷の履歴を反映する別軸の情報として扱うと、説明と行動がブレにくくなります。

高血圧性網膜症の治療と血圧管理

高血圧の管理では、生活習慣の修正/非薬物療法と薬物療法を組み合わせ、脳心血管病の発症・進展・再発やQOL低下を抑制することが基本方針として示されています。

初診時は「血圧が持続して高いことの確認」「二次性高血圧の除外」「予後影響因子(危険因子、臓器障害/脳心血管病)の評価」を行うことが推奨され、その予後影響因子の一つに高血圧性網膜症が含まれます。

JSH2019の解説資料でも、リスク層別化に用いる予後影響因子の“眼底”として高血圧性網膜症が明記され、循環器リスクの評価に組み込まれています。

実務では「眼底で高血圧性網膜症がある=臓器障害がある可能性が高い」ため、生活指導のみで様子見にせず、家庭血圧・24時間血圧、腎機能(eGFR/蛋白尿)、心電図/心エコーなどと合わせて全身評価を前倒しにする判断が合理的です。

参考)https://www.semanticscholar.org/paper/4de2c120d489a858157a92107bbe27c048778091

また、眼底健診判定マニュアルでは、正常高値血圧(130–139/85–89mmHg相当)でも高血圧性網膜症が存在すれば、生活習慣の修正に加えて直ちに降圧薬治療を考慮する、という考え方が提示されており、眼底所見が治療強度を押し上げ得る点が“現場で使える”ポイントです。

参考:高血圧の層別化、降圧目標、予後影響因子(眼底:高血圧性網膜症を含む)がまとまっています。

『高血圧治療ガイドライン2019』解説冊子(日本高血圧学会)

高血圧性網膜症の独自視点と眼底写真

独自視点として強調したいのは、「眼底写真の品質管理」そのものが、高血圧性網膜症の見逃し率を左右し、結果として循環器ハイリスク者の同定精度に直結する点です。

眼底健診判定マニュアルでは、撮影範囲(乳頭と黄斑中心窩を結ぶ線の中心を意識し、上下の血管が入るよう撮る)や、撮影直後にフォーカス・明るさ・部位の適否を確認し不鮮明なら再撮影することが望ましい、と具体的に述べられています。

さらに、片眼撮影では多くの眼科疾患を見逃す可能性があるため両眼撮影が必須とされ、暗室/暗幕の活用や撮影間隔の工夫まで言及されており、現場オペレーションがエビデンスの“入口”であることが明示されています。

この観点を診療フローに落とすなら、次のように「撮影→所見→連携」を標準化すると強いです。


・👁️撮影:両眼、判定に耐える画質、必要なら再撮影(判定困難はD2扱い)​
・🧾所見整理:狭細/交叉現象/反射亢進=軽度、出血/綿花状白斑/浮腫=中等度、乳頭浮腫=重度​

・🏥連携:中等度以上は内科評価を前倒しし、血圧だけでなく腎・心・脳リスクも同時に詰めるsemanticscholar+1​

また意外に実務的な“盲点”として、軽症所見(KW 1–2度相当)のエビデンスが乏しいという批判があったこと自体が、現場で説明がブレる原因になり得ます。

そのギャップを埋めるために、Wong-Mitchellのように循環器リスクと対応させた整理が提示されている、という背景をチーム内で共有しておくと、健診後フォローの優先度付けが揃いやすくなります。



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