色素性傍静脈脈絡膜萎縮と網膜静脈周囲
<% index %>
色素性傍静脈脈絡膜萎縮の特徴と網膜色素上皮
色素性傍静脈脈絡膜萎縮(PPCRA/PPRCA)は、網膜静脈に沿って放射状に分布する網膜色素上皮(RPE)萎縮と、静脈周囲の色素沈着(骨小体様・粗大色素塊など)を主徴とする、まれな網脈絡膜変性の表現型です。
典型例では両眼性で左右対称性が多い一方、左右差や非典型所見も報告されるため、「所見が静脈沿いに限局するか」「黄斑が巻き込まれているか」を起点に病態を整理すると理解しやすくなります。
視機能は比較的保たれることが多く、夜盲や視野障害が乏しい例も少なくないとされ、健診や別主訴の受診で偶然見つかる流れが現場では実際的です。
臨床で重要なのは「PPCRAは“診断名”というより“形態学的パターン名”として使われやすい」点です。
参考)Pigmented paravenous chorioret…
つまり、同じような静脈周囲の萎縮・色素沈着が、炎症・感染・外傷などの続発性変化でも起こり得るため、病歴と検査で“真のPPCRA”と“偽PPCRA(pseudo-PPCRA)”を分ける姿勢が必要です。semanticscholar+1
ガイドラインでも「炎症や感染などによる続発性網膜変性との鑑別が必要」と明確に触れられており、ここが医療従事者向け記事で強調すべきポイントになります。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/5d46c7250979736103fe20364d1d5974c053fab7
眼底の見え方を言語化すると、患者説明の質も上がります。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/0918672fc4be1426e6d04b62edb775df60e42ff0
例えば「血管(静脈)の周りに沿って、色素が沈着したり、色素の層が薄くなって下の血管が透けたりする」など、構造(RPEと脈絡膜)の変化として説明するのが誤解を減らします。eyewiki+1
特に“網膜色素変性(RP)っぽいと言われた”という紹介状が来た場合、静脈走行に一致した分布パターンは再評価の出発点になります。meisha+1
色素性傍静脈脈絡膜萎縮の検査とOCT
PPCRAの診断・評価では、眼底写真だけで決め切らず、OCT・FAF・視野・ERGなどの複数モダリティで「どの層がどこまで障害されているか」を揃えると、鑑別の精度が上がります。
近年は超広角(UWF)などのマルチモーダル画像で周辺部まで俯瞰でき、PPCRAの把握が容易になったという総説もあり、撮像範囲の広さ自体が診断の“見落とし防止策”になります。
実務では、初診時に「黄斑(中心窩)と血管アーケード周辺」だけでなく、静脈に沿って末梢へ連続するかどうかを確認する設計が重要です。
OCTでは、RPEの不整・菲薄化や、RPEの集簇に伴う高反射と影(シャドー)、外層網膜の菲薄化などが病変部に一致して観察されることがあるとされています。
参考)Pigmented Paravenous Retinocho…
ただし、PPCRAは“多くが無症状・軽症”とされる一方で、黄斑が巻き込まれた場合には視力低下が前景化します。pubmed.ncbi.nlm.nih+1
そのためOCT読影は「病変の存在確認」だけでなく、「視力低下の原因が黄斑上膜・嚢胞様変化・漿液性変化など合併症によるものか」を切り分ける目的が大きいです。
FAF(眼底自発蛍光)は、RPE機能低下の“地図”として使えるため、萎縮の範囲・活動性(過蛍光と低蛍光の混在など)を追うのに有用です。
造影(蛍光眼底造影)については、RP領域では侵襲の少ないOCT・FAFが普及して診断的意義が相対的に低下したという整理があり、PPCRAでも「必要な場面に絞る」意思決定が現実的です。
一方で、色素塊によるブロックや萎縮部のウインドウ欠損など、像の理屈を理解しておくと“漏出がない=炎症性活動性が高くない”など鑑別の補助になります。
色素性傍静脈脈絡膜萎縮の鑑別とERG
鑑別で最初に問うべきは、「これは本当に遺伝性・変性のPPCRAなのか、それとも続発性(炎症・感染など)の“似た形”なのか」です。
ガイドラインでも、色素性傍静脈周囲網脈絡膜萎縮は「自覚症状がほとんどない症例が多く、ERGの振幅低下も軽度のことが多い」「病変の進行も認めない症例が多い」とされつつ、続発性との鑑別が必要と記載されています。
ここから逆算すると、強い夜盲・急な進行・高度なERG低下などが前面に出る場合は、典型PPCRA像に見えても“別疾患をまず疑う”のが安全です。
ERGは、形態が似ている疾患群を“機能で切る”武器です。
PPCRAではERGが比較的保たれる例が多いとされますが、症例によっては左右差や、片眼は消失型に近い所見を示す報告もあり、「ERGが軽い=必ずPPCRA」「重い=必ずRP」という単純化は危険です。webview.isho+1
この“ズレ”は、患者の不安(「難病RPですか?」)にも直結するため、説明では「所見だけで確定せず、機能検査と経過を合わせて判断する」ことを先に共有しておくのがトラブル回避になります。
鑑別の現場で役立つチェック項目を挙げます。
- 病歴:幼少期からの夜盲の有無、感染症(先天風疹、梅毒、トキソプラズマ等)や炎症の既往、外傷歴。
- 眼底分布:静脈走行に一致した放射状か、びまん性か、左右対称性か。eyewiki+1
- 機能:視野欠損が色素沈着部位と対応するか、ERGが全体に落ちるか局所寄りか。webview.isho+1
- 合併:黄斑浮腫や黄斑上膜など、視力低下を説明できる“治療可能な合併症”があるか。
また、遺伝の可能性に触れる際は、確定的な言い方を避けつつ情報を整理します。
CRB1変異と関連した家系報告があること、KEGGでも病因遺伝子としてCRB1が挙げられていることは、医療従事者向けには“知っておくべき周辺知識”です。iovs.arvojournals+1
ただし総説でも原因は不明とされつつ遺伝的基盤の可能性が示唆される、という温度感であり、遺伝子検査の位置づけは「鑑別と説明の補助」として提示するのが適切です。pubmed.ncbi.nlm.nih+1
色素性傍静脈脈絡膜萎縮の進行と視野
PPCRAは、概ね緩徐進行または非進行の例が多い、と整理されることが多く、視機能が長く保たれるケースが少なくないとされています。
慈恵医大の専門外来の説明でも「視機能障害は比較的軽度で、夜盲は自覚せず視野も保たれる」とされ、臨床像として“重症感が薄い”ことが前提になります。
しかし、この「軽いことが多い」が油断につながり、フォローが途切れると、黄斑合併症や進行例の拾い上げが遅れる点が実務上の落とし穴です。
視野は、患者が最初に困る機能(夜間歩行・段差・人混み)を反映しやすい一方、本人が自覚しないまま欠損が進むこともあります。
ガイドラインがRPで示すように、視野は病期評価や生活指導に直結するため、PPCRAでも「色素沈着の分布と視野欠損の対応」を見る目的で定期的に測っておく価値があります。webview.isho+1
特に、視野欠損が病変部位とほぼ一致する例が報告されており、「画像だけでなく機能の地図も一致させる」ことが診療の納得感につながります。
参考)網膜電図に著明な左右差を認めた両側色素性傍静脈網脈絡膜萎縮症…
進行評価は、同じモダリティを同条件で繰り返すことが基本です。
- 眼底写真:色素沈着の広がり(静脈沿いの連続性)を記録。
- OCT:外層(エリプソイド帯相当)やRPE変化、黄斑合併症の有無を追跡。
- FAF:過蛍光/低蛍光のパターン変化でRPE機能の推移をみる。
- ERG:全体の機能低下が強まるか、左右差が拡大するかを確認。webview.isho+1
色素性傍静脈脈絡膜萎縮の独自視点と説明
独自視点として強調したいのは、PPCRAの診療では「病名の説明」よりも「患者が次に困る状況を先回りして具体化する」ほうが、結果的に医療の質(継続受診・合併症の早期発見・安全配慮)を上げやすい点です。
PPCRAは無症状のことがあるため、患者側は「放置していい=治療不要」と受け取りやすく、医療者側は「軽い=説明を短くしがち」というズレが起こります。
このズレを埋めるには、“軽いことが多い”を伝えつつ、“何を監視するのか”を明確に言語化するのが有効です。
説明の組み立て例(医療従事者向けテンプレ)を示します。
- 病態:網膜静脈の周りに沿って、色素の層(RPE)とその下の組織に萎縮が見られるタイプ。
- 予後:多くは視機能が比較的保たれ、進行が強くない例もある。semanticscholar+1
- ただし:中心(黄斑)に変化が出ると視力に影響しやすいので、OCTなどで定期チェックする。pubmed.ncbi.nlm.nih+1
- 鑑別:似た所見を作る炎症・感染などもあるため、必要な検査で整理する。pubmed.ncbi.nlm.nih+1
患者コミュニケーションでは、「RP(網膜色素変性)と同じですか?」が高頻度の質問になります。
このとき、ガイドラインが示すようにPPCRAはRPの“非定型”として分類されうる一方、続発性疾患との鑑別が必要で、視機能障害が軽い例も多いという前提を添えて説明すると、過度な不安を抑えやすくなります。
また、慈恵医大のように遺伝カウンセリングや遺伝子検査に触れる施設情報があることを踏まえ、「家族歴や希望があれば専門外来紹介も選択肢」と提示すると、医療連携の導線も作れます。semanticscholar+1
最後に、あまり知られていないが臨床的に“効く”小ネタとして、PPCRAは「所見が静脈沿い」という点が診療の省力化にも直結します。
具体的には、静脈走行に沿って病変が連なるなら、UWFがない環境でも、散瞳下で静脈の太い枝を末梢へ追う観察をルーチン化するだけで、写真の撮り漏れ・説明の漏れを減らせます。
“病変はどこに出やすいか”を眼底の解剖学(静脈走行)に紐づけて教えると、若手の教育コンテンツとしても価値が出ます。
続発性や非典型例を含めた鑑別の基本(RPガイドライン内の該当箇所、色素性傍静脈周囲網脈絡膜萎縮の位置づけ)。
https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/retinitis_pigmentosa.pdf
専門外来としての疾患説明(「視機能障害は軽度」「静脈走行に一致」などの臨床像の言語化)。
http://jikei-eye.com/for_doctor/specialty/detail/shikaku_shikikaku_01.html

【※一般の方も購入できます※】むくみに「下肢静脈の血流促進」医療用弾性ストッキング 女性用 SIMPLY COTON FIN シンプリィ コットン フィン パンティストッキング15-20mmHg <一般医療機器> (M, ブラック)