鎌状網膜剥離の牽引と診断と手術治療

鎌状網膜剥離と診断と手術

鎌状網膜剥離:医療従事者向け要点
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本態は「鎌状の網膜ひだ+牽引」

眼底で視神経乳頭から周辺へ伸びる線維増殖組織(索状・膜様)が収縮し、牽引性網膜剥離を作るのが中核です。

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分類の鍵は「無血管帯」

無血管帯の有無で、成熟児の未熟児網膜症様の群とposterior PHPV(PFV)群に分けて考えると整理しやすくなります。

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治療は強膜バックルや硝子体手術が軸

裂孔原性と異なり「牽引の解除・形態の安定化」が主目的になり、症例により術式選択と目標設定が変わります。


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鎌状網膜剥離の牽引性網膜剥離と網膜ひだ

鎌状網膜剥離は、眼底で視神経乳頭から周辺部へ鎌状に伸びる線維増殖組織(retinal fold)が目立ち、その収縮により牽引性網膜剥離を呈する病態として理解すると臨床像が一致しやすいです。

2008年の症例報告でも「網膜裂孔はなく、視神経乳頭から周辺部網膜へ鎌状に伸びる線維増殖組織が確認され、その収縮による牽引性網膜剝離がみられた」と記載されています。

医療従事者向けの実務として重要なのは、「裂孔が見当たらない=剥離ではない」ではなく、「裂孔がない剥離=牽引性の可能性」を早期に立てる姿勢です。

参考)http://www.hyread.com.tw/doi/10.53106/181020932025032301004

一方で、一般に網膜剥離の治療として語られる裂孔閉鎖(レーザー/凍結)や強膜内陥、気体網膜復位、硝子体手術といった枠組み自体は共通の手札として理解しておくと、紹介先での説明が通りやすくなります。

参考)網膜剥離 – 17. 眼疾患 – MSDマニュアル プロフェ…

鎌状網膜剥離と無血管帯とposterior PHPV

「先天性鎌状剥離(falciform retinal folds)」は、無血管帯(avascularized retina)の有無で臨床的に2群に分類して検討されており、前者は成熟児の未熟児網膜症様、後者はposterior PHPV(PFV)様の群として整理されています。

同報告では、無血管帯を伴う群は両眼性が多く、foldが耳側〜下耳側に多い一方、無血管帯を伴わない群は片眼性が多く、foldの位置が不定で家族性発生はみられない、という対比が示されています。

この「無血管帯」の視点は、成人で偶然見つかるケースや、紹介状の情報が乏しいケースでも、鑑別の方向性(ROP関連の末梢血管発達異常か、PFV/PHPV関連か)を素早く決める助けになります。

参考)302 Found

さらに、PHPV(PFV)側の理解として、「かつて鎌状網膜剥離と呼ばれた病態はposterior PHPVに属する」という整理が文献上示されています。

参考)第一次硝子体過形成遺残 (臨床眼科 54巻2号)

鎌状網膜剥離の診断と眼底検査とOCT

鎌状網膜剥離では、眼底検査で「乳頭から周辺へ伸びる索状/膜様の増殖組織」と「それに伴う牽引性の隆起(剥離)」を、裂孔の有無とあわせて丁寧に記載することが診療連携の質を左右します。

実際の症例では、無散瞳眼底カメラとパノラマ合成で、線維増殖組織が血管を巻き込んで牽引し周辺網膜に癒着している様子を捉える工夫が述べられています。

OCTは網膜の断層を可視化し、網膜疾患(網膜剥離を含む)の診断・方針決定・経過観察に有効とされています。

ただし鎌状網膜剥離は「形態異常(fold)+牽引」という三次元構造が主役になりやすく、OCT単独で完結させず、広角眼底観察(可能なら周辺部の評価)とセットで情報統合するのが安全です。jstage.jst+1​

鎌状網膜剥離の手術と強膜バックルと硝子体手術

鎌状網膜剥離の治療は、裂孔原性網膜剥離のように「裂孔閉鎖」をゴールに置くより、「牽引の影響下にある網膜の安定化」を優先して術式を選ぶ発想が重要です。

2008年の報告では、鎌状網膜剥離と診断し、強膜バックルを用いた網膜剥離復位術を行い、その後も経過観察されていました。

術後25年経過時点でも再発がない一方、視力は低下しているという長期経過が示され、解剖学的成功と機能予後が一致しにくい可能性を患者説明に織り込む必要があります。

一般論として網膜剥離手術には強膜内陥術や硝子体切除術などがあり、施設により硝子体手術の選択が多いこともあるため、紹介時は「牽引病態である」点が伝わる紹介状が有用です。

参考)網膜剥離の手術(硝子体手術・網膜復位術)|茨城県水戸市の小沢…

鎌状網膜剥離の独自視点:説明と長期フォローの設計

検索上位の解説は「網膜剥離=緊急手術」型の一般論に寄りがちですが、鎌状網膜剥離では“見た目の剥離”と“介入の緊急度”を短絡させると、患者説明が破綻しやすい点が現場の落とし穴です。

症例報告で示されるように、解剖学的に再発がなくても視力が長期的に低下し得るため、「手術の目的(再発予防・形態安定・合併症回避)」を明確化し、視機能の上限を適切に共有するコミュニケーション設計が重要になります。

また、無血管帯の有無で病態背景が異なり得るため、家族歴や両眼性/片眼性、周辺部血管所見の情報をフォロー計画(再診間隔、画像記録、必要に応じた遺伝・小児/周産期情報の確認)に組み込むと、医療者間の“検査のやり直し”を減らせます。

意外に見落とされる実務ポイントとして、成人例でも「先天性・発達異常を基盤とする牽引病態」という言語化ができると、患者が自己責任(生活習慣や仕事)に原因を求めて不必要に不安化するのを抑えやすく、治療への納得が得られやすいです。webview.isho+1​

(鎌状網膜剥離の典型像と長期経過・術式の一例:強膜バックル、25年フォローの要点)

医書.jp「鎌状網膜剝離(臨床眼科)」文献概要

(無血管帯の有無での分類、両眼性/片眼性、foldの好発部位など“病態整理”に使える)

医書.jp「先天性鎌状剥離の臨床」文献概要

(網膜剥離治療の標準的な選択肢の整理:裂孔閉鎖、強膜内陥、気体網膜復位、硝子体切除)

MSDマニュアル プロフェッショナル版「網膜剥離」