裂孔原性網膜剥離と症状と治療
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裂孔原性網膜剥離の症状:飛蚊症と光視症と視野異常
裂孔原性網膜剥離の代表的な自覚症状は、飛蚊症・光視症・視野の異常(暗くなる、欠ける)で、病態が進むほど視野異常がはっきりしてきます。
一方で、網膜裂孔そのものは痛みを伴わず、裂孔だけの段階では自覚症状が乏しいことがあるため、「症状が軽い=安全」とは言い切れません。
飛蚊症は、裂孔部で血管が切れて軽度出血が起こると目立つことがあり、「急に増えた」「大きい」「濃い」などの訴えは受診動機になりやすいポイントです。
光視症は硝子体牽引など網膜への機械刺激で起こり得て、患者は左右どちらの目かを正確に区別できないことがあるため、問診だけで片眼と決め打ちせず両眼評価を前提に説明すると混乱が減ります。
・現場での説明フレーズ例(患者向けに言い換え)。
- 「黒い点が急に増えた」「光が走る」「見える範囲がカーテンみたいに欠ける」は、網膜のトラブルのサインです。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10587644/
- 「痛みがないのに危険なことがある」のが網膜裂孔~網膜剥離の怖さです。
裂孔原性網膜剥離の原因:網膜裂孔と後部硝子体剥離と硝子体牽引
裂孔原性網膜剥離は、網膜に孔(網膜裂孔)ができ、その孔を通って眼内の水の成分が網膜下に回り、壁(眼球壁)から網膜が剥がれてくる病態です。
網膜裂孔の背景として重要なのが、加齢などで起こる後部硝子体剥離と、病的な網膜硝子体癒着がある部位での硝子体牽引で、牽引が強いと網膜が裂けて裂孔になります。
外傷も原因になり得ますが、外傷性網膜裂孔は「よく知られている割には原因のごく一部」とされ、日常診療では加齢性変化や素因を踏まえた評価が実際的です。
また、若年者では「網膜が薄くなっている部分に擦り切れたような穴」が原因となる割合が高くなるとされ、同じ裂孔原性でも年齢で病態の顔つきが変わります。
・意外と伝わりやすい比喩(説明の補助)。
- 日本眼科学会は、網膜が裂ける機序を「セロテープを剝がすと下の紙がベリッと破れる」イメージで説明しており、牽引の理解に役立ちます。
裂孔原性網膜剥離の治療:網膜裂孔閉鎖とレーザー網膜光凝固と冷凍凝固
裂孔原性網膜剥離の治療の大原則は「網膜裂孔の閉鎖」で、裂孔を塞いで水の成分が網膜下へ回り込むのを止められれば、網膜下の液は吸収され、網膜は元の位置へ戻っていきます(網膜復位)。
裂孔が再び開放しないように、裂孔周囲をレーザー網膜光凝固や網膜冷凍凝固で“固定(癒着)”させるのが一般的で、修理した壁紙を糊付けして剥がれないようにする発想に近いです。
癒着が十分に安定するまで「最低2週間以上」必要と考えられている、という整理は、術後説明や生活指導の根拠として共有しやすいポイントです。
日本眼科学会の解説では、レーザー後に凝固が固まるまで1週間~10日かかり、その間は「視線を動かさない」「振動を与えない」などの注意が必要で、読書やPC作業は視線が固定するのでむしろ良い、とされています。
・医療者向け実務メモ(説明の粒度をそろえる)。
- 「裂孔だけ」か「剥離まで進んでいるか」で治療のスピード感と侵襲が変わる、という軸で整理するとチーム内での言語化が統一しやすいです。jstage.jst+1
裂孔原性網膜剥離の手術:硝子体手術と強膜バックリングと気体注入法
気体注入法は、眼内に空気や特殊ガスを入れて“気体で裂孔を押さえる”方法で、裂孔の位置(上方など)と、患者が姿勢を維持できることが成立条件になります。
硝子体手術は、硝子体牽引を解除/減弱し、網膜下液を処理しつつ空気で復位させ、裂孔周囲の凝固を行う流れで、難治例(増殖膜など)にも対応しやすい特性があります。
一方で、硝子体手術は万能ではなく、専門施設でも初回復位率が91~93%程度に留まることが多い、という説明は医療者間の期待値調整として重要です。
強膜バックリングは、眼球壁を外側から(または壁内に)バックルで押し込み、裂孔部を“内側へ変形”させて復位方向の力を作る治療で、適切に行われれば95%以上の初回復位率が得られるとする研究もある、とされています。
また強膜バックリングは、術後の特定の姿勢維持が不要ないし短期間で済むことが多い一方、近視や乱視が強くなる、疼痛・充血・違和感が続くなどの課題も整理されています。
・術式説明での絵文字付き要点(患者/家族に配布するメモ想定)。
- 🧩「裂孔を塞ぐ」:レーザー/冷凍で固定する。
- 🎈「内側から押さえる」:ガスで裂孔に圧着し、体位が重要。
- 🧊「外側から形を変える」:バックルで眼球壁を押し込み、体位負担が小さいことが多い。
裂孔原性網膜剥離の独自視点:術後体位と仕事復帰と免許と長期フォロー
裂孔原性網膜剥離では、治療後しばらくしてから網膜再剥離が起こり得るため、定期的な経過観察が必要で、飛蚊症の増加・急激な見え方の悪化・視野異常・持続する疼痛などがあれば早期受診が推奨されています。
半年~1年に1度程度の長期フォローを「できる限り長期に」行うと安全、というスタンスは、術後の安心材料としてだけでなく、再発や遅発合併症の拾い上げの観点でも実務的です。
術式選択の説明では、病態だけでなく「腰が悪くて体位維持ができない」「重要な取引がある」「大型/2種免許を維持したい」など生活背景が意思決定に入る点が明示されており、医療者側が“医学的に最適”だけで完結させない姿勢が求められます。
さらに、仕事は多くの場合で術後早期から許可されることが多い一方、一定の矯正視力や立体視が必要な職種、体位維持が困難になる職種では制限され得るため、手術前から相談する流れを作るのが安全です。
・「検索上位に埋もれがちだが現場で効く」観点(チーム共有向け)。
- “治療の緊急性”は一枚岩ではなく、黄斑への影響や体制(不十分な体制での緊急手術を戒める見解がある)も含めた判断になる、という含みを持たせた説明がトラブル予防になります。
- 体位保持は「どの位の期間で十分かが実はまだよく解っていない」とされ、緩い制限で不十分と判明して追加ガス注入や厳しい姿勢が必要になることもある、という不確実性の共有がインフォームド・コンセントの質を上げます。
手術全般の基礎解説(病態・治療原則・術式の特徴がまとまっている)。
日本網膜硝子体学会:網膜剥離(裂孔原性網膜剥離)患者向け解説PDF
網膜裂孔の前駆症状、レーザー後の注意(運転・スポーツ制限など)の説明に使える。
