中心輪紋状脈絡膜ジストロフィーのOCT検査と鑑別診断と遺伝子

中心輪紋状脈絡膜ジストロフィーと鑑別診断

中心輪紋状脈絡膜ジストロフィー:臨床の要点
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まず押さえる像

黄斑を中心とした地図状萎縮と、その内部で脈絡膜中大血管が透見される所見が核になります。

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検査の組み立て

眼底・自発蛍光(リング状変化)・OCT(外層/RPE菲薄化)を軸に、必要時にFAやERGで裏取りします。

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説明の難所

遺伝性(黄斑ジストロフィーの一型)としての位置づけと、AMDなど後天性疾患との違いを患者・家族へ整理して伝えることが重要です。


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中心輪紋状脈絡膜ジストロフィーの症状と経過

 

中心輪紋状脈絡膜ジストロフィー(CACD)は、黄斑部を含む円形領域で進行性の萎縮を呈する「黄斑ジストロフィー」の代表的病型の一つとして扱われます。

黄斑が主座であるため、患者の訴えは「見たいところが見えない」「文字の中心が抜ける」「ゆがむ」といった中心視野障害から始まり、両眼性にゆっくり進む点が臨床では重要です。

一方で周辺視野は比較的保たれやすく、完全な失明に至りにくいという説明は、患者の不安を現実的に整えるうえで役立ちます。

医療従事者向けに強調したいのは、「中心が落ちる」訴えがあっても、初期は眼底所見が軽微で、一般外来では加齢黄斑変性中心性漿液性脈絡網膜症などの別診断で経過観察されやすい点です。jstage.jst+1​

また、黄斑ジストロフィー全体の枠組みとしては、自覚症状の出現時期が幼児期から中高年まで幅広いことがあり、年齢だけで除外しにくいことも落とし穴になります。

参考)https://www.semanticscholar.org/paper/710100c12cb3ed2017ae7ab4a947096a05d4b0de

こうした背景から、病歴(緩徐進行・左右差・家族歴)と画像所見を「同じ言葉で」繰り返し確認し、診断の確度を段階的に上げる戦略が実務的です。jstage.jst+1​

中心輪紋状脈絡膜ジストロフィーの眼底写真と自発蛍光の所見

厚労省資料(黄斑ジストロフィー診断基準の資料内)では、中心性輪紋状脈絡膜ジストロフィーの典型として、眼底写真で「地図状萎縮病巣内に脈絡膜中大血管が透見される」所見が明記されています。

初期は黄斑あるいは傍黄斑に顆粒状の網膜色素上皮(RPE)萎縮が出現し、進行するとRPE萎縮病巣内に地図状萎縮が形成されて拡大し、典型像へ移行するとされています。

この“初期→進行期”の連続性を意識すると、単発の写真読影ではなく、経時変化で「輪紋状にまとまっていく萎縮」を追う姿勢が取りやすくなります。

眼底自発蛍光(FAF)は、黄斑部が境界鮮明な低蛍光となり、その辺縁にリング状の過蛍光を伴う所見が特徴として挙げられています。

このリング状過蛍光は、臨床では「活動性の境界」あるいは「これから変化が及び得る縁取り」として説明しやすく、患者教育にも使える情報です。

蛍光眼底造影(FA)についても、初期はwindow defect、進行期には境界鮮明な低蛍光内に脈絡膜中大血管像がみられる、と整理されています。

中心輪紋状脈絡膜ジストロフィーのOCTとERGのポイント

OCTでは、萎縮病巣に一致して網膜外層と網膜色素上皮(RPE)の菲薄化がみられることが、中心性輪紋状脈絡膜ジストロフィーの所見として明確に記載されています。

さらに資料では、萎縮部では脈絡膜が高反射に観察される点も示されており、外層/RPEの消失により深部からの反射が強調される状況を想起すると読み解きやすくなります。

実務上は、OCTを「診断補助」ではなく、病巣の層構造(外層・RPE)にフォーカスして“萎縮疾患か、滲出/剥離疾患か”の分岐に使うのが有効です。

電気生理としては、中心性輪紋状脈絡膜ジストロフィーではERG・EOGが多くの場合正常とされ、黄斑局所の障害が主体で全視野反応が温存され得る点が示唆されます。

この特徴は、錐体-杆体ジストロフィーのように全視野ERGで錐体系の反応減弱が前景に出る病型との切り分けにもつながります。jstage.jst+1​

つまり「中心の訴えが強いのに全視野ERGが保たれる」状況は、CACDを含む黄斑限局型の遺伝性疾患を再考するサインになり得ます。

中心輪紋状脈絡膜ジストロフィーと加齢黄斑変性などの鑑別診断

黄斑ジストロフィー診断基準の資料では、鑑別として後天性網脈絡膜疾患(CSC、AZOOR、MEWDS等)や、萎縮型加齢黄斑変性(地図状萎縮)などが列挙されています。

特に萎縮型加齢黄斑変性の地図状萎縮は、境界鮮明で脈絡膜中大血管が透見され得るなど、形態が似る局面があるため、年齢・両眼対称性・家族歴・進行様式を含めた統合判断が必要になります。

臨床の手順としては「まず滲出を除外(液体や漏出が主かを確認)→次に萎縮の分布(輪紋状か、典型AMDのパターンか)→最後に遺伝背景を検討」という順番が、説明の混乱を減らします。

また、黄斑ジストロフィーは薬剤性(クロロキン等)や外傷性/近視性網脈絡膜萎縮、先天異常なども鑑別に入るため、問診テンプレートに「薬歴」「近視度数」「外傷歴」を固定項目として入れておくと抜けが減ります。

患者対応では、遺伝性疾患の話題が出た時点で家族の不安が跳ねやすいので、「遺伝形式はいくつもあり、必ず子に遺伝するとは限らない」という一般論を先に置くのが実務的です。

参考)302 Found

黄斑ジストロフィーの枠内でも、常染色体顕性・潜性・X連鎖など多様であることが示されており、遺伝形式の断定を急がない姿勢が安全です。

中心輪紋状脈絡膜ジストロフィーの独自視点:説明設計と難病制度

検索上位の医学解説は「所見」「遺伝子」「治療がない」を中心にまとめがちですが、現場では“説明の設計”こそが再受診率・通院継続・ロービジョン導入の成否を左右します。

黄斑ジストロフィーは現時点で治療法がない、という記載があり、患者の受け止めは「じゃあ通う意味がない」に傾きやすいため、「経過観察で何を見て、何が起きたら対症療法が必要になるのか」を最初に具体化して伝えるのが重要です。

例えば、同じ黄斑ジストロフィー群でも病型により合併症(出血/新生血管など)への対症療法が話題になることがあり、症状変化のセルフモニタリングを指導するだけでも医療介入価値が生まれます。

さらに、指定難病(黄斑ジストロフィー:301)としての医療費助成は「良好な方の眼の矯正視力が0.3未満」など重症度要件が資料に明記されており、早期から制度の存在だけでも共有しておくと、将来の生活設計の助けになります。jstage.jst+1​

ここは意外と知られていない実務ポイントで、患者が視力低下後に初めて制度を知ると「もっと早く教えてほしかった」という不信につながりやすい領域です。

治療が未確立であっても、遮光(サングラス等)・補助具(ルーペ、拡大読書器、タブレット等)・ロービジョン外来の活用が推奨されているため、“治療がない=支援がない”ではないことを言語化しておくと、患者満足度と実効性が上がります。

黄斑ジストロフィー(指定難病301)の診断基準と、中心性輪紋状脈絡膜ジストロフィーの眼底・FAF・OCT所見の根拠。

厚生労働省「301 黄斑ジストロフィー」PDF

患者説明(遺伝形式の多様性、治療が未確立でも遮光・補助具・ロービジョン支援が重要、難病制度の考え方)の整理に使える。

難病情報センター「黄斑ジストロフィー(指定難病301)」

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