中心性網膜炎と原因と症状と検査と治療

中心性網膜炎と原因と症状と検査と治療

中心性網膜炎:臨床で押さえる要点
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まず疑うべき状況

30〜40歳台の男性に多く、変視症・小視症・中心暗点が手がかりになります。OCTで漿液性網膜剥離を確認し、必要に応じて蛍光眼底造影で漏出点を同定します。

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原因(誘因)の説明

真の原因は未解明ですが、ストレスが関与する可能性が示されます。ステロイド内服・外用・吸入など使用状況の確認は、問診で必ず行います。

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治療方針の基本

自然軽快が多い一方、長期化・再発では視機能低下が残り得ます。中心窩との位置関係や経過で、経過観察かレーザー等の介入を検討します。


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中心性網膜炎の原因とストレスとステロイド

 

中心性網膜炎(臨床では中心性漿液性脈絡網膜症として扱われることが多い)は、真の原因は不明とされつつ、発症にはストレスが関与しているとも考えられています。

医療従事者が最初に押さえたいのは、「ストレスはあくまで関連因子として説明する」姿勢で、患者の自己責任感を強めない言い回しに調整する点です(例:「忙しさが続く時期に起こりやすいことが知られています」)。

また、ステロイド使用は誘因になり得るため、内服だけでなく吸入、点鼻、外用、関節内注射、皮膚科処方の長期外用など“全ルート”を棚卸しするのが実務的です。fujimuraganka+1​

紹介元(内科・皮膚科・整形外科など)と連携する場合は、「中止の可否は原疾患のリスクとトレードオフである」ことを前提に、眼科所見(OCTでの漿液性網膜剥離の有無、再発性、慢性化兆候)を情報提供書に具体的に書くと合意形成が速くなります。kamimoto-ganka+1​

臨床の“意外な落とし穴”として、患者が「ステロイド=飲み薬だけ」と理解しているケースが多く、吸入ステロイドや外用ステロイドを申告しないまま経過観察が長引くことがあります。tsuchiyagankaclinic+1​

問診票に「吸入・点鼻・外用も含む」と明記し、具体例(喘息吸入、花粉症点鼻、湿疹の塗り薬など)を一行添えるだけで回収率が上がります。

参考)中心性漿液性網脈絡膜症(CSC)とは?

中心性網膜炎の症状と視力低下と変視症

中心性網膜炎では、変視症(歪んで見える)、小視症(小さく見える)、中心暗点(真ん中が暗い)などの自覚症状が手がかりになります。

視力低下は軽い場合が多い一方で、網膜剥離が治っても「何らかの見にくさが残ることが多い」とされ、患者説明では“視力表だけが全てではない”点を先に共有しておくことが重要です。

症状の訴えは「文字が波打つ」「直線が曲がる」「中心が薄暗い」「片目だけピントが合いにくい」など、生活文脈の表現で出てくるため、医療者側で変視症・中心暗点に翻訳して記録します。

参考)ICUにおけるリハビリテーション医療に必要な鎮静・鎮痛に対す…

片眼性が多いと言われるため、反対眼の見え方で代償され、受診が遅れることがあります。

参考)中心性漿液性網脈絡膜症

外来で使える工夫として、簡易アムスラーチャート(紙でもスマホでも可)で「どこが歪むか」を可視化すると、患者が病態を理解しやすく、再診時の比較にも役立ちます。

参考)中心性漿液性脈絡網膜症 – 横浜けいあい眼科 – 専門医が多…

ただし“歪み”は加齢黄斑変性などでも起こり得るため、自己判断で様子見を続けないよう注意喚起し、OCTでの確認が必要であることを一文で添えます。

参考)中心性漿液性脈絡網膜症

慢性化・再発を繰り返す例では視力低下が進むことがあるため、「最初は軽くても、長引く場合は放置しない」というメッセージ設計が安全です。

参考)中心性漿液性脈絡網膜症のレーザー網膜光凝固治療|かみもと眼科

医療従事者向けには、症状が軽くてもOCTで網膜下液が残るケースがある点(自覚と所見の乖離)を“よくあること”として共有しておくと、フォロー脱落を減らせます。

中心性網膜炎の検査とOCTと蛍光眼底造影

診断は眼底検査とOCT(光干渉断層計)で漿液性網膜剥離を明瞭に観察でき、外来で比較的スムーズに病態把握が可能です。

さらに蛍光眼底造影では、網膜色素上皮から水が漏れ出る箇所(漏出点)を1個から数個観察でき、治療適応(レーザーなど)を検討する際の重要情報になります。

実務上のポイントは、「OCTで網膜下液がある=中心性網膜炎」と短絡せず、滲出型加齢黄斑変性など鑑別が必要な状況を常に意識することです。

特に高齢者では臨床像が似ることがあり、必要に応じてOCT angiography(OCTA)や造影検査の追加を考慮します。fujimuraganka+1​

検査説明では、患者が不安になりやすいのは「造影剤」「レーザー」「失明」の3語なので、蛍光眼底造影は“漏れの場所を地図のように確認する検査”であること、目的が治療選択の精度向上にあることを端的に伝えると同意が得られやすいです。kamimoto-ganka+1​

また、経過観察を選ぶ場合でもOCTの比較が軸になるため、同一条件での撮像・保存・説明(前回との差)を標準化するとチーム診療が安定します。

参考リンク(症状の典型・残存症状の説明に有用)

日本眼科医会:中心性漿液性脈絡網膜症(症状の具体例、経過後に見にくさが残る可能性)

参考リンク(検査の位置づけ・病態の説明に有用)

関西医科大学附属病院:中心性漿液性脈絡網膜症(OCT・蛍光眼底造影、病態と自然治癒)

中心性網膜炎の治療と経過観察とレーザー

中心性網膜炎は、1〜数か月で自然治癒することも多く、視力予後は比較的良好とされるため、まず経過観察が選ばれる場面が多い疾患です。

一方で、網膜剥離が長い期間続いたり再発を繰り返したりすると視力が低下してしまうことがあるため、「治ることが多い」だけで終わらせず、フォローの必要性をセットで説明します。

短期間に治す目的で、水が漏れている箇所(漏出点)が黄斑部の中心窩を外している時はレーザー光凝固を行い、漏れを止める治療が検討されます。

慢性化して症状が続き視力が悪くなる症例では、レーザー光凝固などの治療を積極的に考慮する、と大学病院レベルの解説でも明記されています。

医療連携の観点では、初期対応で重要なのは「いつまで経過観察でよいか」を患者と共有することです。

実務的には、(1)自覚症状、(2)OCTでの網膜下液の残存、(3)再発回数、(4)職業上の視機能要求(運転・精密作業など)を並列で評価し、治療介入の必要性を再判定する運用が安全です。

治療説明での注意点として、「中心性網膜炎」という呼称は炎症性疾患を想起させますが、病態説明は“脈絡膜循環障害→網膜色素上皮の関門障害→網膜下に液が貯留→漿液性網膜剥離”の流れで整理すると誤解が減ります。

患者が自己判断で市販の点眼やステロイド外用を継続するリスクもあるため、「自己判断でステロイド系は増やさない」を明確に伝えると再発予防の観点で合理的です。oji-eyeclinic+1​

中心性網膜炎の独自視点と問診と生活

中心性網膜炎の外来では、検査や治療だけでなく「問診設計」が予後と満足度に直結しやすい点が、現場での独自の重要論点になります。

理由は、ストレスやステロイドの関与が示唆される一方で、患者自身が“原因探し”に偏ると不安が増幅し、睡眠や服薬行動が崩れやすいからです。

医療従事者向けの実装例として、初診時に次のチェックを短い箇条書きで聞き取ると漏れが減ります。fujimuraganka+1​

  • 🧾 ステロイド:内服/吸入/点鼻/外用/注射の有無(開始時期・用量・自己中断の有無)。oji-eyeclinic+1​
  • 💤 睡眠:直近1〜2か月の睡眠時間と中途覚醒(交代勤務・夜更かしも含む)。​
  • ☕ 嗜好:カフェイン・エナジードリンク・アルコールの増減(忙しい時期に増えることが多い)。​
  • 👁️ 片眼性の自覚:反対眼で代償していないか、左右別に見え方を確認。​

生活指導は「休め」だけだと実行困難なので、患者が選べる行動に落とし込みます(例:就寝前のスマホ時間を15分減らす、週2回はカフェインを夕方以降控える、ステロイドは主治医と相談して整理する)。tsuchiyagankaclinic+1​

さらに、経過観察中に“症状が軽いから”と自己都合で中断しやすいため、「OCTで水が消えるまでが一区切り」というゴール設定を伝えると通院継続率が上がります。

最後に、紹介・再受診のトリガーを明文化して渡すと安全性が上がります。

  • 🚨 変視症や中心暗点が急に増悪した。
  • 🚨 片眼だけでなく両眼でも見え方の異常を感じる。

    参考)中心性漿液性網膜脈絡膜症(CSC)とステロイド治療との関連性…

  • 🚨 眼底・OCTでの所見が長引く、または再発を繰り返す。​
  • 🚨 ステロイド治療中で、見え方の異常が出た(自己中断せず、眼科と原疾患主治医へ同時連絡)。hyo-med+1​


中心性網膜炎とその治療 (1975年) (新臨床医学文庫)