黄斑円孔網膜剥離 とは 硝子体 手術 内境界膜

黄斑円孔網膜剥離 とは

黄斑円孔網膜剥離の要点
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病態の中心は「近視眼の牽引×接着低下」

後部ぶどう腫などで後極が引き伸ばされ、黄斑円孔(裂け目)形成と、網膜下液の貯留による剥離が連動します。

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標準は「硝子体切除+内境界膜(ILM)処理+タンポナーデ」

牽引を解除し、黄斑部の構造を再建し、ガス等で内側から支持します。

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術式は「円孔サイズ」と「剥離範囲(丈)」で変える

inverted ILM flap、ILM insertion、黄斑プロンベ(黄斑バックル)などを病状に応じて使い分け、再発やフラップ脱落リスクも見ます。


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黄斑円孔網膜剥離 とは 定義と病態

 

黄斑円孔網膜剥離とは、黄斑部に「全層性の円孔(穴)」が形成され、その部位を契機に後極部を中心とした網膜剥離(網膜下液の貯留を伴う神経網膜の浮き上がり)が生じる状態を指します。

臨床的には、病的近視(強度近視)に後部ぶどう腫を合併した眼で起こりやすく、黄斑部の視機能が直撃されるため視力低下が高度になり得ます。

「裂孔原性網膜剥離(周辺網膜の裂孔)」と異なり、病態の主戦場が後極(黄斑)である点が、症状の重さと治療戦略の難しさに直結します。

黄斑円孔ができるだけなら黄斑円孔ですが、そこに網膜剥離が加わると、網膜の“位置”と“形”の両方が破綻します。

つまり、手術のゴールは単なる復位(再接着)ではなく、黄斑円孔の閉鎖・牽引解除・網膜下液のコントロールを同時に達成することになります。pmc.ncbi.nlm.nih+1​

黄斑円孔網膜剥離 とは 原因と後部ぶどう腫

発症機序として重要なのは、強度近視に伴う眼軸長延長と後部ぶどう腫による「後極網膜の伸展・菲薄化」、そして残存硝子体皮質や黄斑上膜などによる牽引です。

日眼会誌の検討でも、発症機序として眼軸長延長に加えて残存硝子体皮質や黄斑上膜の牽引が挙げられ、後部ぶどう腫により後極網膜が伸展し薄くなる背景が整理されています。

牽引は前後方向だけでなく、接線方向の牽引(膜の収縮)が網膜分離~網膜剥離~円孔形成へと波及する、と理解しておくと術式選択の説明が一段ラクになります。

意外に見落とされがちなのは「網膜色素上皮(RPE)の側の問題」です。

病的近視では脈絡膜・RPE萎縮が進み、接着力の低下や、網膜下液の吸収能(ポンプ機能)の相対的な低下が疑われ、単に“引っ張りを取れば治る”ではない症例が混ざります。

このため、円孔が閉じても視機能の改善が限定的になり得る、という説明は術前同意で重要です。

黄斑円孔網膜剥離 とは 硝子体切除 内境界膜 手術

治療の中心は硝子体手術で、硝子体切除後に内境界膜(ILM)剥離などの黄斑部の膜処理を行い、ガス等でタンポナーデする流れが基本になります。

歴史的には硝子体内ガス注入のみが選択される時期もありましたが、長期では再剥離が問題になり得ることが日眼会誌の長期検討で示され、初回術式としては課題が残るとされています。

同検討では初回復位率が、硝子体内ガス注入群より硝子体切除+ILM剥離を併用した群で高かったことが示され、ILM剥離が復位率向上に寄与する可能性が述べられています。

さらに近年は、通常のILM剥離だけでは閉鎖しにくい(近視眼で円孔が大きい等)症例に対し、inverted ILM flap法(翻転法)やILM insertion法(挿入法)を用いて閉鎖率・復位率を上げる工夫が報告されています。

臨床の勘所は、「円孔のサイズ」と「網膜剥離の範囲・丈(網膜下液量)」で、フラップが術後にズレる/残るリスクが変わる点です。

手術中の細かい点では、ICG等でILMを染色して剥離を行う運用が文献・臨床で一般化しており、黄斑円孔網膜剥離でもILM処理は“牽引解除の最後のひと押し”になり得ます。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9232562/

ただしICG染色自体の扱い(希釈、接触時間など)は施設ごとに流儀があり、手技の標準化と教育がアウトカムに影響し得る領域です。

参考:黄斑円孔網膜剥離の病態要因(後部ぶどう腫・牽引・ILM)と、inverted ILM flap/ILM insertionなど術式選択の考え方

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黄斑円孔網膜剥離 とは ガスタンポナーデ 体位 予後

硝子体手術ではガスなどのタンポナーデ物質を用い、術後はガスの位置関係で黄斑部を支持する必要があるため、体位(うつ伏せ等)の指示が治療の一部になります。

黄斑円孔網膜剥離は後極病変であり、タンポナーデで黄斑部に適切に当てる発想は合理的ですが、病的近視眼では円孔が大きい・剥離が広いなどで“標準手順が効きにくい層”が一定数います。

そのため、術後うつ伏せに伴う網膜下液の流動でILMフラップが外れるリスクがあり得る、という指摘は実臨床で重要です。

予後の語り方としては、「網膜復位(解剖学的成功)」と「視機能(BCVA、変視)」を分けるのが安全です。

黄斑円孔網膜剥離は重篤な視機能低下を来し得て、復位や閉鎖が得られても改善が限定的なことがある、と臨床記事でも述べられています。

医療従事者向けには、術前OCTで外層障害が強い症例ほど術後視力が伸びにくい、といった一般的理解を踏まえつつ、患者説明では“期待値調整”を明確に置く運用が現実的です(※本稿では一般論の範囲に留め、施設プロトコルに合わせて補正してください)。

黄斑円孔網膜剥離 とは 黄斑光凝固 atrophic creep 独自視点

黄斑円孔網膜剥離の治療史を振り返ると、硝子体手術に加えて黄斑光凝固が併用されることがありましたが、長期的な視機能の観点では注意点があります。

日眼会誌の検討では、黄斑光凝固の合併症として凝固斑が徐々に拡大する「atrophic creep」が挙げられ、近視眼で高率にみられ、年余にわたり拡大し続けることもあると述べられています。

この“atrophic creep”は検索上位の一般向け解説では触れられにくい一方、病的近視眼が母集団になりやすい黄斑円孔網膜剥離では、長期の視野・中心暗点・視力への影響を見据えた意思決定材料になり得ます。

独自視点として強調したいのは、手術の成否だけでなく「将来の追加治療の自由度」を残す発想です。

たとえば黄斑バックル(黄斑プロンベ)では、材質によってはMRIの制約が話題になり得ることがあり、日眼会誌でも針金埋入型ではMRIに制限があり得る一方、チタン製なら問題になりにくい旨が述べられています。

眼科以外の診療科と連携する現場では、“眼のための治療が全身検査を縛る”状況が患者体験の負担になり得るため、デバイス選択・説明は眼科内だけの最適化で終わらせない、という観点が実務的に効いてきます。

(ここから先は、施設の術式プロトコル、使用ガス濃度、体位指示、説明文書のテンプレートに合わせて加筆・調整してください。)


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