虹彩括約筋麻痺と散瞳と原因と診断と治療

虹彩括約筋麻痺と散瞳

虹彩括約筋麻痺と散瞳:臨床で迷わない要点
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まず見るべきは「対光反射」

散瞳の背景は多彩だが、対光反射低下は副交感系(括約筋)側の異常を示唆する。外傷・薬剤・神経のどれでも起こり得る。

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緊急度を決める鑑別

「動眼神経麻痺(圧迫性)」や「急性緑内障」を見逃さない。瞳孔だけでなく眼球運動・眼痛・頭痛・眼圧も同時評価する。

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治療は原因別に分岐

外傷性は経過観察+羞明対策が中心になりやすい一方、薬剤性は原因薬中止が基本。症状が強い場合は手術・遮光デバイスも選択肢。


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虹彩括約筋麻痺の原因と外傷と副交感神経

虹彩括約筋麻痺は「括約筋そのものの損傷」か「括約筋を動かす副交感神経系の障害」で起こり、いずれも散瞳(縮瞳不能)として現れます。

外傷では、打撲後に虹彩(括約筋・散大筋)や虹彩神経、毛様体が障害され、瞳孔反応低下から散瞳に移行することがある、という時間経過が実臨床で重要です。

薬剤では抗コリン作用(副交感神経遮断)により、ムスカリン受容体(M3)遮断を介して括約筋が弛緩し散瞳が生じる、という機序が基本です。

医療従事者向けの整理としては、原因を以下の3群に分けると初期対応が速くなります。

  • 外傷性:眼打撲、ボール外傷、花火外傷など(局所損傷+神経要素)yoshino-eye-clinic+1​
  • 薬剤性:抗コリン薬などによる散瞳(括約筋麻痺)

    参考)公益社団法人 福岡県薬剤師会 |質疑応答

  • 神経性:副交感線維の障害を含む動眼神経麻痺など(ただし「散瞳=必ず神経」ではない)maruoka+1​

意外に見落とされがちなのは、「散瞳」自体が“眼の症状”であると同時に“全身疾患・薬剤曝露のサイン”にもなる点です。抗コリン作用薬の内服・貼付・吸入など、患者が「目の薬ではない」と認識している曝露が背景に隠れることがあります。

虹彩括約筋麻痺の症状と対光反射と羞明

虹彩括約筋麻痺では縮瞳ができず、明所での瞳孔不同が目立ちやすく、羞明や見えにくさ(ピントが合いにくい訴え)につながります。

対光反射の減弱は、括約筋(副交感)側の機能不全を示唆するため、散瞳を見たら「大きい瞳孔が異常か」を含めて光・暗所での変化を確認します。

外傷のケースでは、毛様体の障害が絡むと痛みや調節障害(調節麻痺)を伴い得るため、視機能の訴えを「羞明だけ」と決めつけず、近見障害や眼痛の有無まで拾うのが安全です。

臨床で使える観察ポイント(外来・救急の初期評価)

ここでのコツは「散瞳=括約筋麻痺」というラベル貼りで終わらせず、症状(羞明・眼痛・霧視)の組み合わせを原因推定に使うことです。mhlw+1​

虹彩括約筋麻痺の診断と鑑別と動眼神経麻痺

散瞳を見たときの鑑別で、緊急度が高い代表は「瞳孔異常を伴う動眼神経麻痺(特に圧迫性)」で、眼瞼下垂や眼球運動障害と組み合わさるかを必ず確認します。

動眼神経では副交感線維が神経の周辺部を走行するため、外部からの圧迫で副交感線維が障害されやすく、散瞳が重要なサインになる、という説明は教育的にも有用です。

一方、緊張性瞳孔(Adie瞳孔)では虹彩括約筋の分節性麻痺が観察されることがあり、光に弱く近見反応が相対的に保たれるなど、神経眼科的な所見の組み合わせで整理します。

鑑別を「瞳孔の大きさ」だけでやると事故が起こるため、最低限セットで見ます。

「あまり知られていない実務的な落とし穴」として、患者が点眼薬以外(貼付薬・市販薬・抗アレルギー薬など)を申告していないケースでは、薬剤性散瞳が“神経疾患疑い”として過剰にエスカレーションされることがあります。抗コリン作用という言葉を手掛かりに、薬剤クラスで確認する習慣が鑑別精度を上げます。

虹彩括約筋麻痺の治療と点眼と手術

原因別の原則として、薬剤性の場合は抗コリン作用などで括約筋麻痺が起きうるため、原因薬剤の中止・回避が基本線になります。

散瞳状態は眼圧上昇リスクと絡む場合があり、厚生労働省/PMDA資料では「散瞳作用(副交感神経遮断による括約筋麻痺等)」が眼圧上昇に関与し得ること、相対的瞳孔ブロックが想定される場面では副交感神経作動薬点眼などの対応が記載されています。

外傷性散瞳(外傷性の括約筋麻痺)では、羞明が強い場合に「虹彩付きコンタクトレンズ」や、白内障など他病変と合わせて「瞳孔を縫着して小さくする(瞳孔形成術)」などの外科的選択肢が議論されます。

治療の現場で役に立つ分岐(外来運用のイメージ)

  • まず危険な併存症の除外:眼圧上昇・強い眼痛・頭痛、神経症候があれば優先して対応(原因検索を含む)mhlw+1​
  • 薬剤性が濃厚:中止・代替、経過観察(必要なら眼科で散瞳の程度と合併症評価)​
  • 外傷性で羞明が主訴:遮光(虹彩付きCL等)や、適応があれば手術療法も検討yoshino-eye-clinic+1​

参考リンク(薬剤性散瞳・眼圧上昇の発生機序と対応の記載が有用)

厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル(散瞳作用=瞳孔括約筋麻痺など、治療の考え方)

参考)https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001553849.pdf

参考リンク(抗コリン作用で括約筋が弛緩し散瞳する、という機序の要点がまとまっている)

日本薬剤師会:抗コリン作用薬の眼への作用(M3遮断→瞳孔括約筋弛緩→散瞳)

虹彩括約筋麻痺の独自視点とトリアージ

虹彩括約筋麻痺そのものは眼局所の話に見えますが、実務上は「トリアージの言語化」がアウトカムを左右します。

具体的には、散瞳を見た瞬間に“眼科疾患か神経疾患か”の二択に落とすのではなく、「①眼圧上昇に絡む散瞳か」「②動眼神経麻痺を疑う散瞳か」「③外傷・薬剤など比較的安定な散瞳か」の3レーンで初動を整理すると、チーム医療での連携が速くなります。

この枠組みは検索上位の一般解説に出にくい一方、当直帯・救急外来・病棟コンサルトで“誰が何を優先するか”を即決するのに役立ちます。

簡易トリアージ表(現場で口頭共有しやすい形)

状況 疑う方向 次の一手
散瞳+眼瞼下垂/眼球運動障害 動眼神経麻痺(圧迫性含む) 神経学的評価+画像検査含む原因検索
散瞳+眼圧上昇リスクが示唆される状況 散瞳作用による機序(相対的瞳孔ブロック等) マニュアルに沿った薬剤調整・点眼等の対応
外傷後の散瞳、羞明が主で全身症候が乏しい 外傷性散瞳(括約筋麻痺など) 症状対策(遮光)+必要に応じて手術検討

※動眼神経麻痺の主要症状(眼瞼下垂・眼球運動障害・瞳孔散大)と検査(MRI/CTなど)の記載が、トリアージ判断の根拠になります。

※散瞳作用(抗コリン作用による括約筋麻痺等)と治療の考え方が公的資料に整理されています。

※外傷性散瞳に対する選択肢として、虹彩付きデバイスや瞳孔形成術などが臨床現場で検討されます。