虹彩毛様体脈絡膜炎とぶどう膜炎検査治療

虹彩毛様体脈絡膜炎とぶどう膜炎

虹彩毛様体脈絡膜炎の臨床要点
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部位で症状が変わる

前部優位は眼痛・羞明、後部優位は飛蚊症や視力低下が目立ち、同じ「ぶどう膜炎」でも訴えが異なる。

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検査は眼内+全身

眼底検査や蛍光眼底造影に加え、血液検査・胸部X線/CTなどで原因疾患を探索し、必要なら房水検査も検討。

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治療は原因で分岐

感染性は抗菌/抗ウイルス、非感染性はステロイド点眼を軸に重症度で局所注射・全身投与、免疫抑制や生物学的製剤へ。


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虹彩毛様体脈絡膜炎の症状と所見

虹彩毛様体脈絡膜炎という語は、虹彩・毛様体・脈絡膜を含む「ぶどう膜」に炎症が起きた状態(ぶどう膜炎)として理解すると、臨床の整理がしやすくなります。ぶどう膜は虹彩・毛様体・脈絡膜から成り、ここに炎症が生じると周囲組織へ波及して視力低下につながり得ます。

症状は「炎症の主座」で色合いが変わります。前部(虹彩・毛様体)優位では、眼痛、羞明、充血(いわゆる毛様充血を含むことが多い)、霧視が前景に出やすく、患者は「赤くて痛い」「光がつらい」と訴えがちです。 一方、後部(脈絡膜・網膜近傍)病変が目立つ場合は、飛蚊症、視力低下、歪視、霧がかかったような見え方などで受診し、外見上の充血が強くないこともあります。

参考)https://www.semanticscholar.org/paper/29f93207257918f4e00393d589026aed8870494b

所見として重要なのは、ぶどう膜炎が「単一の眼症状で完結しない」点です。炎症が強い・長引くと白内障や緑内障などの合併症が問題になり、視力予後を規定します。 そのため、初診の段階から“炎症を抑えること”と同時に“合併症を防ぐこと”をアウトカムに置いて診療計画を組み立てるのが実務的です。

虹彩毛様体脈絡膜炎の原因と鑑別

原因は大きく、免疫異常が主となる非感染性ぶどう膜炎と、病原体が原因の感染性ぶどう膜炎に分類されます。 日本の原因疾患調査では非感染性ではサルコイドーシスが比較的多く、次いで原田病が多い、といった疫学の“癖”が臨床の当たりを付ける助けになります。

感染性ではヘルペス属ウイルス(単純ヘルペス、水痘帯状疱疹、サイトメガロウイルス)が原因として多いことが重要で、「ステロイドが効かない」「眼圧が不自然に高い」「片眼性で再発を繰り返す」などの臨床像では感染性の可能性を強く意識する必要があります。 また細菌、真菌、結核菌でもぶどう膜炎が起き得るため、免疫状態、全身症状、既往歴(結核曝露、皮疹、呼吸器症状など)を問診で拾い、眼所見と統合する姿勢が求められます。

さらに押さえておきたいのは、「ぶどう膜炎と診断されても原因不明が一定数いる」ことです。日本眼科学会の解説では、ぶどう膜炎と診断されても3人に1人は原因疾患がわからないとされています。 ここを前提にすると、初期から“原因探索にこだわり過ぎて治療開始が遅れる”ことを避けつつ、並行して適切な検査を組む、というバランスが取りやすくなります。

虹彩毛様体脈絡膜炎の検査と眼底検査

検査は、眼内評価と全身評価をセットで考えるのが原則です。日本眼科医会の解説では、炎症部位や形を確認するために眼底検査を含む一般検査を行い、必要に応じて蛍光眼底造影で炎症の場所・形を確認するとされています。

全身疾患が背景に潜むことがあるため、血液検査、胸部X線、CTなどを行う場合があり、病気によっては房水を採取して詳しく調べる、あるいは特殊検査が必要になることもあります。 眼だけでなく全身の所見を総合して診断する、必要なら他科と連携して診断・治療する、という記載もあり、これは現場の紹介・併診判断の根拠になります。

“意外と見落としやすい実務ポイント”としては、問診票や医師問診で「眼と関係なさそうな症状も話す」ことの重要性です。ぶどう膜炎は眼以外の炎症や病気が隠れている可能性があるため、眼科所見・問診・全身所見を統合して診断する、と明記されています。 医療従事者側がこの前提を共有し、患者に「皮膚、呼吸器、神経、耳症状、口内炎、関節」などのチェック項目を具体的に提示できると、原因探索の質が上がります。

虹彩毛様体脈絡膜炎の治療とステロイド点眼薬

治療は原因で分岐します。感染症によるぶどう膜炎には抗菌薬や抗ウイルス薬など、病原体に対する治療を行うことが基本です。 一方、免疫異常など非感染性ぶどう膜炎では免疫の働きを抑えて炎症を抑えることが中心となり、眼だけに炎症がみられる場合はステロイド(副腎皮質ホルモン剤)点眼薬をまず用い、病勢に応じて局所注射や全身投与(内服・点滴)を追加するとされています。

日本眼科学会の「病気の解説」でも、局所療法として副腎皮質ステロイド点眼薬が用いられ、虹彩後癒着を予防する目的で散瞳薬点眼が処方されること、炎症が強いときは眼周囲組織への注射を行うことがある、と整理されています。 局所治療だけで不十分または炎症が強い場合には、副腎皮質ステロイド薬、免疫抑制薬、生物学的製剤の全身投与が行われ得る点も同ページで言及されています。

臨床の安全性として強調したいのは、副作用と合併症の“二重管理”です。ステロイドの全身投与では副作用に十分注意しながら投与する必要があることが説明されており、治療効果とリスクの説明、フォロー計画(定期診察・検査)をセットで設計することが重要です。 また、治療のポイントとして「再発をできるだけ防ぐ」「白内障や緑内障など合併症による視力低下や失明を防ぐ」「定期検査を受ける」といった方向性が示されており、患者指導の骨格として使いやすい項目です。

虹彩毛様体脈絡膜炎の独自視点と連携

独自視点として提案したいのは、「診断名よりも“運用ラベル”を先に置く」やり方です。つまり初期対応では、(1)感染性の可能性が高い(抗菌/抗ウイルス優先)、(2)非感染性が疑わしい(ステロイド中心で開始し原因探索)、(3)重症・視機能リスクが高い(早期に専門施設へ)という3つの運用ラベルに分け、検査と治療の同時進行を標準化します。 ぶどう膜炎は原因が多彩で、診断には眼科所見と全身所見の統合、時に他科連携が必要だと明記されているため、初期から連携前提のワークフローを組むことは理にかないます。

現場で効く具体策は、紹介状・院内コンサルトの“書き方テンプレ”を用意することです。例えば、眼科側は「炎症部位(前部/後部/汎ぶどう膜炎)」「眼底検査・蛍光眼底造影の要点」「実施済みの血液検査・胸部X線/CTの結果」「房水検査の要否」を整理し、内科・呼吸器内科・膠原病内科などに投げると、統合診断が進みやすくなります。semanticscholar+1​

また患者説明では、“見え方の変化=緊急受診”の基準を具体化すると再燃時の手遅れを減らせます。ぶどう膜炎の症状として、眼痛・羞明・視力低下・霧視・歪視が挙げられているため、「これらが出たら早めに眼科へ」を言語化し、受診の閾値を下げる運用が安全です。

日本語の参考リンク(検査・治療の根拠、患者説明にも使える)。

日本眼科医会:ぶどう膜炎の原因分類、眼底検査・蛍光眼底造影、血液検査や胸部X線/CT、房水検査、治療(ステロイド点眼〜免疫抑制/生物学的製剤)

ぶどう膜炎 なぜ? どうしたらいいの | 目についての健康情報 | 公益社団法人 日本眼科医会

日本眼科学会:ぶどう膜炎の検査(OCT等含む)と治療(ステロイド点眼、散瞳薬、免疫抑制薬・生物学的製剤)、原因不明が3人に1人という注意点

https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=21