表在性角膜炎 とは
表在性角膜炎 とは 症状 充血 流涙 羞明
表在性角膜炎は、角膜のうち「上皮」に散在する点状の欠損・損傷を特徴とする状態で、いわゆる点状表層角膜炎(SPK)として遭遇することが多い概念です。
臨床症状は、異物感(ゴロゴロ感)、羞明、流涙、充血、軽度の視力低下などが典型で、病変が広範囲だと霧視や視力低下の訴えが前景に出ます。
「痛い=重症感染」と短絡しないのが重要で、上皮障害の面積・部位、涙液環境、眼瞼の摩擦(睫毛乱生や内反)で疼痛の出方が大きく変わります。
現場で役立つ問診の軸は、次の3点です。
・発症の時間経過(急性か、反復か)
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/488e80cdf98b863aa88c4daa116c4f1ad558d6ec
・誘因(コンタクトレンズ長時間装用、紫外線曝露、点眼変更、かぜ症状)
・片眼/両眼、同居家族や職場での流行(ウイルス性結膜炎の示唆)
表在性角膜炎 とは 原因 ドライアイ コンタクトレンズ 紫外線
表在性角膜炎は「病名というより所見名」で、原因は多彩です。
MSDプロフェッショナル版では原因として、ウイルス性結膜炎(アデノウイルスが最多)、紫外線曝露、外用薬や保存剤毒性、全身薬、末梢性顔面神経麻痺などが挙げられています。
大学病院の疾患説明でも、ドライアイ、コンタクトレンズ使用、逆まつげ(内反症)など、眼表面疾患の併発として発症し得ることが明記されています。
原因別に「どう起きるか」を整理すると、患者説明も医療者間連携もスムーズです。
✅ドライアイ:涙液による保護が弱まり、点状上皮障害が出やすい(背景にMGD/蒸発亢進も含む)。
✅コンタクトレンズ:レンズ汚れ・長時間装用・サイズ不適合で上皮微小外傷が蓄積しやすい。
✅紫外線:曝露後しばらくして(症状は遅れて)強い角膜上皮障害が出ることがあり、雪面反射・アーク溶接などが典型です。
表在性角膜炎 とは 診断 細隙灯 フルオレセイン染色
診断の基本は細隙灯顕微鏡検査で、フルオレセイン染色で点状に染まる多数の上皮欠損を確認します。
関西医科大学附属病院の案内でも、必要な検査として細隙灯顕微鏡検査とフルオレセイン染色試験が挙げられています。
ウイルス性結膜炎が背景にある場合、耳前リンパ節腫脹や結膜浮腫が手掛かりになり得る点も、身体所見として押さえておくと鑑別が早くなります。
臨床で迷いやすいのは「同じSPKでも、危ないSPKが混じる」点です。
・コンタクトレンズ装用者のSPKは、重篤な感染(感染性角膜炎)への進展リスクを常に意識し、自己判断の装用継続を止める指導が重要です。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/e478bc1f576c1aff17ac1ee310c428ac2793c5a5
・紫外線角膜炎では、症状が曝露後8〜12時間で出現し、患者が原因に気づかないことがあるため、職業歴(溶接)やレジャー歴(雪山)を必ず確認します。
・「点眼しているのに治らない」「夕方ほどしみる」などは、点眼薬/保存剤毒性やドライアイ悪化を疑う導線になります。
表在性角膜炎 とは 治療 人工涙液 ヒアルロン酸 点眼
治療は原因により異なりますが、基本は上皮保護(人工涙液、ヒアルロン酸点眼など)を行い、誘因・原疾患を是正する方針になります。
大学病院の説明でも、基本治療として人工涙液やヒアルロン酸点眼が挙げられ、重症ドライアイでは涙点プラグや手術が必要になる場合があるとされています。
MSDでは、コンタクトレンズ長時間装用が原因の場合は装用中止に加え抗菌薬眼軟膏(例:シプロフロキサシン)を用いる一方、重篤感染の可能性があるため眼帯はしない、翌日診察すべき、といった実務的注意点が示されています。
原因別の治療の考え方(医療者向けメモ)
・ドライアイ背景:人工涙液/ヒアルロン酸を軸に、涙液層の安定化と摩擦低減を優先(「点眼回数を増やす」だけでなく、誘因を潰す)。
・ウイルス性結膜炎関連:アデノウイルスに伴う角膜炎は約3週間で自然治癒することがあるため、経過説明と症状緩和、感染対策の指導が重要です。
・紫外線角膜炎:抗菌薬軟膏や短時間作用型調節麻痺薬を用いることがあり、角膜上皮は24〜48時間で再生し得るため、再診タイミングを具体化します。
表在性角膜炎 とは 点眼薬 保存剤 毒性(独自視点)
検索上位の一般向け解説では「ドライアイ」「コンタクト」中心になりがちですが、医療現場で実際に見落としやすいのが、点眼薬(とくに保存剤)による角膜上皮障害です。
J-STAGEの総説では、点眼薬に含まれる塩化ベンザルコニウム(BAC)は濃度や頻度によって角膜上皮障害を誘発しうることが述べられています。
さらに、BAKの眼表毒性に関するレビューでは、角膜・結膜への毒性(細胞障害、タイトジャンクション破綻、炎症反応など)のエビデンスが蓄積していることが整理されています。
「ドライアイ+多剤点眼」の患者で、SPKがなかなか引かない場合に有用な再評価ポイントです。
・点眼回数と種類(緑内障点眼、抗アレルギー点眼、消炎点眼などの多剤併用)
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6241623/
・防腐剤フリーへの切り替え余地(同効薬でPF製剤があるか)
・点眼手技(点眼後すぐ瞬目連発、点眼ボトル先端接触、頻回点眼での洗い流し)※手技は個別指導で改善することが多い
・「治療しているのに悪化する」場合は、原因治療が“刺激因子追加”になっていないかを疑う(薬剤性の悪循環)
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3991986/
この観点をチームで共有すると、紹介状・返書の質が上がります。例えば、紹介時に「使用点眼一覧+防腐剤の有無(わかる範囲で)」を書くだけで、専門外来での鑑別スピードが変わります。
点眼薬・添加剤(防腐剤)と角膜上皮障害の背景整理。
塩化ベンザルコニウム(BAC)の角膜上皮への影響を、濃度・頻度・臨床状況の観点でまとめた総説(薬学雑誌PDF)
緑内障点眼を中心に保存剤(BAK等)の位置づけと眼表毒性、PF点眼への流れを概説したレビュー(PMC)
点状表層角膜炎の原因・症状・フルオレセイン所見・原因別治療を整理(MSDプロフェッショナル版)