偽膜性結膜炎 原因
偽膜性結膜炎 原因のアデノウイルスと感染
偽膜性結膜炎は、まぶたの裏(眼瞼結膜)に炎症性の白い膜=偽膜が形成されるタイプの結膜炎で、感染症が原因の「急性」でみられることが多い病態です。
偽膜は分泌物中の線維素が多いと形成されるため、単なる充血・眼脂が強い結膜炎よりも、炎症反応が強い状況を示唆します。
感染性原因として臨床で最も遭遇しやすいのはアデノウイルス関連で、いわゆる流行性角結膜炎(EKC)の文脈で偽膜形成が話題になります。
参考)https://www.pref.aichi.jp/eiseiken/teikikankou/nenpo_2009_37.pdf
EKCはアデノウイルスが病原体で、主な感染経路は接触感染(手指、タオルなど共用品)と整理されており、患者導線やスタッフ動線の設計が診療の一部になります。
医療従事者向けに重要なのは「偽膜がある=重症度が高い可能性がある」という見立てだけでなく、「感染性が想定されるときは、症状が軽くても周囲に広げるリスクがある」という運用上の視点です。
アデノウイルス流行時期は施設内で小クラスター化しやすいので、診察室内の接触面(椅子、ドアノブ、検査機器周辺)と手指衛生の遵守率を、短期間だけでも“強化モード”に切り替える設計が実務的です。
偽膜性結膜炎 原因の細菌とクラミジア
偽膜形成を起こし得る感染性原因はアデノウイルスだけではなく、クラミジア、ジフテリア、溶連菌などの細菌・微生物も挙げられます。
この「原因の幅」があるため、見た目が偽膜性でも、病歴と周辺症状(上気道症状の有無、家族内発症、片眼/両眼、急性/遷延、眼脂の性状など)で、鑑別の優先順位を組み替える必要があります。
特にクラミジア関連は、一般的なウイルス性結膜炎より経過が長引くことがあり、問診での拾い上げ(パートナーの症状、泌尿生殖器症状、既往歴など)が実務上の分かれ目になります。
参考)偽膜性結膜炎(よくある目の病気 19) | 京橋クリニック眼…
また、細菌性を強く疑う場面(膿性眼脂が目立つ、混合感染が懸念されるなど)では、抗菌薬点眼の適応判断と同時に、角膜病変の有無(疼痛、視力低下、角膜上皮障害の示唆)を必ず確認しておくべきです。
治療の大枠としては原因菌に応じた抗生物質と炎症止め点眼が基本になり、必要に応じて偽膜を剥がして除去する処置が行われます。
臨床では「偽膜があると点眼が効きにくい(物理的バリアになる)」という説明が患者側の理解を助けることがあり、処置の必要性と再形成の可能性(再診が必要になる可能性)をあらかじめ共有するとトラブルが減ります。
偽膜性結膜炎 原因の類天疱瘡とスティーブンス・ジョンソン症候群
偽膜性結膜炎は感染症だけでなく、類天疱瘡やスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)などの全身疾患に伴って生じることがあります。
このパターンでは「感染対策」だけに意識が寄りすぎると危険で、皮膚粘膜症状、内服歴(新規開始薬の有無)、全身状態などの情報が鑑別に直結します。
SJSでは眼に結膜充血や偽膜形成がみられ得て、重篤な眼病変で後遺症を残すことがあるため、早い段階で眼科と連携し、眼表面の保護・癒着予防を含めた管理が重要になります。
参考)スティーヴンス・ジョンソン症候群(指定難病38) &#821…
現場感としては「結膜炎として来院したが、口唇びらん・発熱・薬剤歴が揃っている」ケースが落とし穴になりやすく、眼症状の強さと全身症状のミスマッチは赤旗として扱うのが安全です。
感染性が明確でない偽膜形成では、安易な“はやり目扱い”を避け、鑑別の軸を二つ(感染性/免疫・薬疹関連)で同時進行させると見落としが減ります。
スタッフ教育としては、トリアージ時点で「皮疹」「粘膜病変」「新規薬剤」のチェック項目を入れるだけでも、SJSの拾い上げ能力が上がります。
偽膜性結膜炎 原因の診断と臨床像と潜伏期間
流行性角結膜炎(EKC)では潜伏期間が8〜14日程度とされ、接触感染で拡がるため、患者本人の行動歴(家庭内、保育園/学校、職場、医療機関受診歴)を聞く価値があります。
EKCは夏期に多い傾向があり、年齢は小児に多い一方で成人も含む幅広い年齢層から報告されるので、「大人だから軽い」とは言い切れません。
小児、とくに新生児・乳幼児では偽膜性結膜炎を起こし得て、細菌の混合感染で角膜穿孔を起こすことがある、と整理されています。
この記載は実務上かなり重要で、「小児の偽膜=最短で重症化し得る」という前提に立ち、角膜所見の評価(可能ならフルオレセイン染色など)とフォロー間隔を短くする判断につながります。
病原体診断としては、ウイルス分離・同定、遺伝子検出、血清学的検査が挙げられていますが、実際の臨床では“検査が出る前に感染対策は始める”のが現実的です。
特異的治療法はなく対症療法が中心とされるため、疼痛・異物感・流涙などの症状コントロールと、重症例の合併症予防(偽膜管理や角膜合併症の監視)が治療の主戦場になります。
偽膜性結膜炎 原因から考える独自視点の院内導線
独自視点として強調したいのは、偽膜性結膜炎を「疾患」ではなく「院内プロセス課題」としても扱うことです。
理由は単純で、EKCは主に接触感染であり、タオルや点眼液など“目に触れるものは個人用”といった運用が予防策として有効、と公的情報でも明記されているからです。
具体策として、外来で次のような“摩擦の少ないルール”を決めると継続しやすいです。
・受付で「眼を触らない」「手指消毒」の声かけを標準化する。
・視力検査や眼圧測定など、共有機器の接触面を「患者ごとに消毒」する担当と手順を固定する。
・点眼補助や涙液拭き取りに使う資材は個別化し、共用タオル運用を廃止する(患者持参を促すのも一案)。
もう一段踏み込むと、偽膜性結膜炎疑い患者の「待機場所」「会計導線」「トイレ導線」を分けるだけで、接触機会が物理的に減り、結果として施設全体のリスクが下がります。
この導線設計は、薬剤や検査よりも費用対効果が高い場面があり、流行期だけの期間限定運用でも意味があります。
参考:流行性角結膜炎の概要、感染経路(接触感染)、潜伏期間、治療(対症療法)と予防策(手洗い・共用品回避)がまとまっている
参考:偽膜性結膜炎の原因(アデノウイルス、クラミジア、ジフテリア、溶連菌、類天疱瘡、スティーブンス・ジョンソン症候群、木質性結膜炎)と治療(抗生物質、炎症止め点眼、偽膜除去)が整理されている