眼窩骨髄炎 症状 診断 治療 方針

眼窩骨髄炎 症状 診断 治療

眼窩骨髄炎の理解を一気に深める
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症状と身体診察の勘所

眼窩蜂窩織炎との違いや、視機能低下・頭蓋内合併症を疑うレッドフラッグを整理します。

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診断と画像検査の組み立て

CT・MRIそれぞれの利点と、耳鼻科・眼科・放射線科との連携ポイントを具体的に解説します。

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治療戦略と長期フォロー

抗菌薬選択、手術介入のタイミング、多発骨髄炎や背景疾患を見据えた全身管理を考えます。

眼窩骨髄炎 症状 眼窩蜂窩織炎との違い

眼窩骨髄炎は、眼窩蜂窩織炎に骨髄炎性変化が加わった状態として理解されることが多く、眼窩蜂窩織炎単独より重症化・遷延化しやすいのが特徴です。 典型的には眼瞼腫脹・発赤に加え、眼球突出、眼球運動障害、疼痛増悪、発熱などを認め、視機能障害や頭蓋内合併症を伴う場合には救急対応が必要となります。

眼窩蜂窩織炎との臨床的な違いとして、(1) 症状の持続や再燃、(2) 局所の深部圧痛や骨圧痛、(3) 副鼻腔炎の高度な所見を伴うことが挙げられます。 骨髄炎を合併した症例では、一過性視力障害や眼球突出が遷延し、画像上骨の破壊像が確認されることが報告されています。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8404617/

身体所見として、視力・対光反射・色覚・眼球運動の詳細な評価に加え、頭痛・悪心・項部硬直の有無を確認し、海綿静脈洞血栓症や髄膜炎の徴候を見逃さないことが重要です。 また、小児では症状の訴えが曖昧なことも多く、保護者からの聴取と全身状態の把握が診断精度を左右します。

眼窩骨髄炎 診断 CT MRI 検査の進め方

眼窩骨髄炎の診断では、眼窩および副鼻腔のCTが初期評価の中心となり、骨破壊や腐骨形成、眼窩膿瘍や副鼻腔炎の広がりを把握します。 CTで骨の連続性が途絶えていたり、骨硬化像と透亮像が混在する所見があれば、骨髄炎合併を強く疑うべきです。

一方、頭蓋内合併症が疑われる場合や、骨髄炎の進展範囲を精査する場合には、MRIが有用です。 MRIでは、骨髄のT1低信号・T2高信号、造影効果を伴う骨膜下膿瘍や硬膜肥厚などが確認され、治療経過のモニタリングにも利用できます。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11306881/

血液検査では白血球増多、CRP高値などの炎症反応が多くの症例で認められますが、慢性化した症例では炎症反応が軽度にとどまることもあり、画像所見との総合判断が重要です。 血液培養や膿瘍ドレナージ時の培養は、原因菌特定と抗菌薬の適正化に直結するため、可能な限り実施することが推奨されます。

参考)骨髄炎:原因は?症状は?起こりやすい場所は?検査や治療は? …

眼窩骨髄炎 治療 抗菌薬 手術適応

治療の基本は、広域スペクトルの静注抗菌薬投与と感染源コントロールであり、発症早期で膿瘍形成が明らかでない急性骨髄炎では、適切な抗菌薬治療のみで治癒が期待できます。 一方、膿瘍形成、骨破壊、腐骨の存在、抗菌薬に反応しない症例では、外科的ドレナージや腐骨除去が必要となり、眼科・耳鼻科・脳神経外科の連携が不可欠です。

想定される原因菌には黄色ブドウ球菌、溶血性レンサ球菌、嫌気性菌、慢性副鼻腔炎由来の混合感染などがあり、耐性菌(特にMRSA)関与例では治療が難渋します。 初期にはセフェム系やカルバペネム系に加え、MRSAカバーとしてグリコペプチド系を併用し、培養結果を踏まえてde-escalationを行うのが現実的です。

参考)骨髄炎 – 08. 骨、関節、筋肉の病気 – MSDマニュア…

外科的介入としては、副鼻腔手術による排膿、眼窩蜂窩織炎に対する眼窩減圧あるいは眼窩膿瘍ドレナージ、頭蓋内膿瘍に対する穿頭ドレナージなどが検討されます。 急性期の手術タイミングを逃すと、視機能障害や眼球突出の後遺症を残す可能性があるため、視力低下や眼球運動障害の進行を認めた時点で早期に外科的対応を検討すべきです。

眼窩骨髄炎 稀な症例と多発骨髄炎・全身疾患

眼窩骨髄炎は一般に副鼻腔炎や顔面蜂窩織炎から波及する局所感染として捉えられますが、肝膿瘍や他部位骨髄炎、腸腰筋膿瘍など全身の膿瘍性病変と併発する報告もあり、複数部位の感染巣を念頭に置く必要があります。 特に糖尿病、免疫不全、悪性腫瘍、長期ステロイド使用例では、血行性播種による多発骨髄炎や眼内炎を伴うことがあり、眼窩病変が全身病態の一端として現れている可能性を考慮すべきです。

頭蓋顔面骨全体に広範な骨髄炎が波及した症例では、顔面腫脹、皮膚瘻孔形成、長期にわたる排膿を呈し、外傷や手術歴が背景にあることも報告されています。 こうした症例では、局所治療にとどまらず、長期間の抗菌薬療法、複数回のデブリードマン、再建外科を含む包括的な治療計画が必要になります。

また、小児の眼窩蜂窩織炎・骨髄炎では、症状が改善した後もMRIで骨髄炎性変化が残存することがあり、画像上の改善を指標にしたフォローアップが推奨されます。 視機能が一見保たれていても、頭蓋内合併症や骨変化の進行が潜在している可能性があるため、急性期を乗り切った後も中長期の経過観察が重要です。

眼窩骨髄炎 多職種連携と現場でのチェックリスト

眼窩骨髄炎は眼科単独、耳鼻科単独で完結しないことが多く、救急科、脳神経外科放射線科、感染症内科などを巻き込んだチーム医療が予後を左右します。 特に、顔面蜂窩織炎・顎骨骨膜炎などで「眼窩周囲の感染波及が疑われる」症例は早期紹介が推奨されており、現場レベルでのトリアージ基準を共有しておくことが重要です。

日常診療で実用的なチェックリストとして、以下のような項目が挙げられます。

  • 最近の副鼻腔炎症状(鼻閉、膿性鼻汁、顔面痛)があるか
  • 眼瞼腫脹に加え、眼球突出・眼球運動障害・複視・視力低下を認めるか
  • 高熱、強い頭痛、嘔気、意識変容など頭蓋内合併症を疑う所見があるか
  • 免疫不全、糖尿病悪性腫瘍、長期ステロイドなどハイリスク背景があるか
  • 症状が抗菌薬治療にもかかわらず進行・再燃していないか

これらの項目のいずれかに該当する場合には、眼窩骨髄炎や頭蓋内合併症を念頭にCT・MRIの早期施行と専門科紹介を検討すべきです。 また、診療録には視力検査結果、眼球運動、頭蓋内症状の有無などを構造化して記載しておくと、当直帯や他施設への引き継ぎ時にも情報共有がスムーズになります。

眼窩・眼窩周囲蜂窩織炎とその合併症(眼窩膿瘍、急性骨髄炎、一過性視力障害など)の詳細な臨床像と治療経験のまとめとして参考になる。

眼窩および眼窩周囲蜂窩織炎症例の臨床的検討(日本小児感染症学会誌)

頭蓋顔面骨に及ぶ広範な骨髄炎症例の画像所見と治療方針、多発骨髄炎の長期経過を把握する際の参考になる。

Extensive Osteomyelitis of the Craniofacial Skeleton Following Operative Fracture Treatment

顔面蜂窩織炎・顎骨骨膜炎・骨髄炎の診断と治療、眼窩周囲への感染波及時の対応方針など、日常診療の実務に直結する内容が整理されている。

顔面蜂窩織炎、顎骨骨膜炎、骨髄炎(立川病院 疾患解説)