頭痛種類一覧と片頭痛と緊張型頭痛の診断

頭痛種類一覧と診断

頭痛種類一覧の全体像
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まず一次性/二次性で分ける

片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛などの一次性と、くも膜下出血や感染などの二次性を最初に切り分ける。

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Red flagで見逃しを減らす

危険サインがあれば「いつもの頭痛」扱いを避け、画像/採血/専門科紹介の判断へ直結させる。

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薬の影響も頭痛の一部

急性期薬の頻用が頭痛を慢性化させる薬剤の使用過多による頭痛(MOH)を必ず鑑別に入れる。

頭痛種類一覧の一次性頭痛と二次性頭痛

 

頭痛の「種類」を一覧で整理するとき、臨床で最も役に立つのは「一次性頭痛」と「二次性頭痛」の二分です。一次性は疾患そのものが頭痛(例:片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛など)で、二次性は別の原因(出血、感染、腫瘍など)に伴って頭痛が起こります。分類と診断の共通言語としては国際頭痛分類第3版(ICHD-3)が広く参照され、日本頭痛学会が日本語版を公開しています。

一次性頭痛は、患者の生活の質(QOL)を大きく落とす一方で、「致死的イベントを見逃さない」観点では二次性の除外が先に来ます。ここで重要なのは、痛みの強さだけで危険度を判断しないことです。例えば「軽いけど今までと違う」「経時的に悪化」「神経脱落所見がある」など、強度とは独立に危険信号になりえます(後述のred flag参照)。

参考)片頭痛

また、頭痛診療では「患者が想定する頭痛の種類」と「医療者がつける診断」がズレることがよくあります。特に“肩こり頭痛=緊張型頭痛”という自己判断は頻繁ですが、ICHD-3準拠で見ると随伴症状や増悪因子の取り方で片頭痛側に寄る例が少なくありません。分類を一覧で示すだけでなく、「どう聞けば分類できるか(問診設計)」まで一緒に提示するのが医療従事者向け記事として実務的です。

参考)緊張型頭痛│日本頭痛学会

参考(ICHD-3日本語版の全体):一次性/二次性の体系がまとまっている

国際頭痛分類第3版(ICHD-3)日本語版(日本頭痛学会)

頭痛種類一覧の片頭痛と緊張型頭痛の診断基準

片頭痛と緊張型頭痛は頻度が高く、外来・救急・健診のどこでも遭遇します。現場で混乱が起きやすいのは、患者が「頭がズキズキしないから片頭痛ではない」と言い切るケースや、逆に「光がつらい=片頭痛」と短絡するケースです。ICHD-3の枠組みに沿って、痛みの性状・持続・随伴症状・増悪因子を構造化して確認するのが近道です。

緊張型頭痛(例:反復性/頻発反復性/慢性)の診断要素として、ICHD-3では「30分~7日持続」「圧迫感/締め付け感」「日常動作で増悪しない」「悪心・嘔吐なし」「光過敏/音過敏はあっても片方のみ」などが骨格になります。日本頭痛学会の一般向け解説にも、慢性緊張型頭痛の基準(頻度、持続、随伴症状など)が整理されています。

実務上のコツは、同じ患者に片頭痛と緊張型頭痛が“共存”しうる点を前提に問診することです。つまり「いつも同じ頭痛ですか?」だけだと情報が落ちます。1ヶ月の中で“違うタイプが何回あるか”を聞き分け、頭痛日記でパターン化すると、分類が急にクリアになります(特に予防療法の導入判断に有用)。

参考)㈼-2-15 月経時片頭痛の診断と治療

意外に見落とされやすいのは、緊張型頭痛と思って市販鎮痛薬を頻用し続けた結果、薬剤使用過多頭痛(MOH)を合併して「頭痛種類一覧」が一段増えることです。診断名を“増やして終わり”にせず、薬剤回数と頭痛頻度の相互悪化をセットで説明する必要があります。

参考)薬剤の使用過多による頭痛│日本頭痛学会

頭痛種類一覧の群発頭痛と自律神経症状

群発頭痛は「片側の眼窩部~側頭部の激痛」だけを覚えていると、鑑別が甘くなります。ICHD-3の要点としては、重度の片側眼窩/上眼窩/側頭部痛が未治療で15~180分持続し、同側の結膜充血/流涙、鼻閉/鼻漏、眼瞼浮腫、発汗、縮瞳/眼瞼下垂などの頭蓋自律神経症状、または落ち着きのなさ(興奮)が伴う点が重要です。日本頭痛学会の解説にも、頻度が1回/2日~8回/日になりうること、落ち着きのなさが特徴になりうることが示されています。

「自律神経症状がある=群発」とは限らないのが落とし穴です。ICHD-3の改訂ポイント資料では、群発頭痛を含む三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)群として、発作時間が秒~分のSUNCT/SUNA、2~30分の発作性片側頭痛など、似た顔つきの疾患が並びます。忙しい現場ほど“群発っぽい”で止まりがちなので、発作持続時間(15–180分なのか、もっと短いのか)と発作頻度の聞き取りが鑑別の軸になります。

参考)https://www.jhsnet.net/pdf/point_01.pdf

患者説明で使える“意外な補助線”としては、群発頭痛では発作中に「じっとしていられず動き回る」傾向があり、片頭痛では「暗く静かな場所で横になりたい」傾向が対照的、という行動観察があります。これは診断の決め手ではないものの、問診の言語化が難しい場面で臨床推論を助けます(ただし例外もあるため、最終的にはICHD-3に沿った基準確認が安全です)。

頭痛種類一覧の薬剤の使用過多による頭痛(MOH)

薬剤の使用過多による頭痛(MOH)は、一次性頭痛の患者で“薬が原因で頭痛が増える”典型例で、一覧に必ず入れるべき分類です。日本頭痛学会のガイドラインPDFでは、エルゴタミン・トリプタン・オピオイド・複合鎮痛薬は「3か月を超えて月10日以上」、単純鎮痛薬は「月15日以上」使用しているとMOHを考える、という服薬日数の目安が示されています。

日本頭痛学会の解説ページでも、ICHD-3の枠組みとして「既存の頭痛疾患があり、月15日以上の頭痛があり、3か月を超えて急性期/対症薬を定期的に乱用している」ことが診断の骨子として提示されています。

この“月15日以上頭痛”という条件は、患者が「毎日ではないから大丈夫」と感じてしまうゾーンを含むため、医療者側が具体的に数を数え直す必要があります。診察室で「週に何回?」と聞くより、「この1か月で何日飲んだか」「飲まない日は何日か」をカレンダー形式で詰めた方が、過少申告が減ります。

MOHは、薬の種類により閾値が違う点が教育上とても大事です。例えばトリプタンは“効くがゆえに”頻回使用になりやすく、結果として頭痛頻度が増える悪循環を生みます(患者は「効く薬があるのに、なぜ悪化?」と納得しづらい)。そのため、単に「飲みすぎ注意」ではなく、「薬で頭痛が増えるタイプがある」「回数が基準を超えると起こりうる」という因果を明示し、予防療法や非薬物介入へ橋渡しするのが実務的です。

参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/112/8/112_1371/_pdf

参考(MOHの診断基準と服薬日数の考え方):患者向けに整理されていて説明に転用しやすい

薬剤の使用過多による頭痛(日本頭痛学会)

頭痛種類一覧の問診とred flag(SNNOOP10)

「頭痛種類一覧」を臨床ツールにするなら、一覧の最後に“危険な頭痛を拾い上げる質問群”を置くと機能します。実地では、red flagとしてSNNOOP10が紹介され、危険な二次性頭痛を想起するチェックリストとして臨床で参照されています。国内の医師解説でも、Neurology誌の報告を踏まえたSNNOOP10の位置づけが説明されています。

重要なのは、red flagが1つでもあれば「一次性を否定」ではなく「二次性を除外する行動に移る」スイッチであることです。たとえば発熱や項部硬直、意識障害などは感染(髄膜炎/脳炎など)を疑って早期検査が必要、という方向へ問診から導けます。SNNOOP10は語呂合わせで覚えられる反面、現場では“何を次にするか”がセットにならないと形骸化するため、施設の導線(CT可否、救急搬送、神経内科/脳外への紹介)と結びつけて運用するのが安全です。

参考)危険な頭痛の特徴について – 先生の声

独自視点として、一次性頭痛の診断精度を上げるためにもred flag問診は有効です。なぜなら、red flagを丁寧に聞く過程で「初発か」「パターン変化か」「神経症状の随伴があるか」を言語化でき、結果的に片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛の鑑別にも必要な“時間軸の情報”が揃うからです。つまりred flagは“除外のためだけの質問”ではなく、分類を支える共通土台として設計できます。

参考(red flagの背景と項目の考え方):SNNOOP10の概念と臨床での使い方

危険な頭痛の特徴について(SNNOOP10)(ドクターサーチみやぎ)

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