ニトロールRとフランドルの違い
ニトロールRとフランドルの有効成分・剤形の違い
ニトロールRカプセル20mgの有効成分は硝酸イソソルビド(ISDN)で、狭心症発作寛解維持を目的とした長時間作用型の徐放カプセルとして設計されている。一方フランドルは同じISDNを有効成分としつつ、錠剤や経皮吸収型のフランドルテープなど複数剤形が存在し、血中濃度プロファイルと投与設計が大きく異なる。
硝酸薬としての基本的な作用機序はいずれもNOを介したcGMP上昇による血管平滑筋弛緩であり、静脈容量血管優位の拡張を通じて前負荷を軽減し、併せて末梢動脈拡張による後負荷低下で心筋酸素需要を減少させる点は共通している。しかし経口徐放と経皮テープでは初回通過効果や吸収速度が異なり、狭心症の病型や生活リズムに応じたきめ細かな剤形選択が必要となる。
フランドルテープは皮膚に貼付するとISDNが角質層・毛包・汗腺などを通じて毛細血管に到達し、穏やかな立ち上がりで24〜48時間にわたり血中濃度を維持することが報告されている。経口のニトロールRでは食事や消化管機能の影響を受ける一方、テープ剤では経皮吸収のため投与時間帯の自由度が高く、夜間狭心症や早朝狭心症のパターンに応じた貼付スケジュールが組みやすいという利点がある。
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ニトロールRとフランドルの薬理・血行動態の違い
ニトロールRは麻酔下イヌの検討で、静脈系容量血管の拡張を介して静脈還流を減少させ、肺動脈楔入圧および左室拡張終期圧を低下させることで前負荷軽減をもたらすと報告されている。同時に末梢動脈拡張による総末梢血管抵抗の減少で後負荷も軽減し、結果として左室壁応力と心筋酸素需要の低下を通じて狭心症発作の頻度を有意に減少させることが二重盲検試験で示されている。
フランドルテープに含まれるISDNも同様に静脈優位の血管拡張作用を示すが、経皮投与により血中濃度上昇が緩やかで持続的であることから、日内変動の少ない安定した前負荷・後負荷軽減効果が期待できる。またフランドル錠と比較した場合、テープ製剤はピーク濃度が低くトラフが高い、いわゆる平坦な血中濃度曲線を示し、血圧低下による頭痛・めまいなどの急峻なピーク関連副作用が理論的に起こりにくい点が特徴とされる。
ニトロールRは1日2回投与で狭心症発作回数が約半減し、頓用硝酸薬の使用量も1/2〜1/3に減少したとされ、安定狭心症患者におけるベースライン治療薬としての位置付けが明確である。フランドルテープは24時間貼付の試験で長時間の血中ISDN維持が確認されているが、一方で硝酸薬耐性の観点から実臨床では「オン・オフ」の貼付時間設計が推奨されることが多く、例えば就寝前〜早朝をカバーする夜間貼付など病型に応じた使い分けが検討されている。
参考)ニトロールRカプセル20mgの効能・副作用|ケアネット医療用…
実験動物やヒトでの検討では、硝酸薬に共通する内皮依存性・非依存性の血管拡張作用に加え、虚血部心筋への血流再分配効果も示唆されているが、冠血流量の絶対的増加は軽微であり、主たる効果は前後負荷軽減による酸素需要低下であるとされる。そのため、冠血管攣縮主体の冠攣縮性狭心症(VSA)ではカルシウム拮抗薬が第一選択であり、ニトロールRやフランドルは補助的に位置付けられるケースも多く、その点を踏まえた処方設計が重要になる。
参考)医療用医薬品 : ニトロール (ニトロールRカプセル20mg…
ニトロールRとフランドルの臨床成績・副作用と耐性への配慮
ニトロールRカプセルでは狭心症患者を対象とした二重盲検試験・一般臨床試験において、2週間投与で発作回数および頓用硝酸薬使用量の有意な減少が確認され、有効率は約63%と報告されている。主な副作用は頭痛、潮紅、低血圧、めまいなど典型的な硝酸薬関連症状であり、特に導入初期や用量増量時に注意が必要で、既往の起立性低血圧や脱水、高齢者ではより慎重なモニタリングが求められる。
フランドルテープの安全性検討では、経皮投与ゆえの皮膚局所反応が問題となる一方、テープの粘着剤技術により角質剥離を最小限に抑え、貼り直しをしても粘着力が大きく低下しないことが示されている。金属を含まない構造によりAED使用時やMRI検査時でも原則として火傷リスクが低いとされ、同じ硝酸薬貼付剤であるニトロダームと比較して安全性上のメリットがあるとの薬剤解説も存在する。
硝酸薬耐性に関しては、連続投与により効果が減弱する現象が古くから知られており、経口徐放剤であるニトロールRでも、1日2回投与で血中濃度が持続しすぎると耐性リスクが理論的に高まるため、休薬時間帯や最小有効量の設定が重要とされる。フランドルテープは24〜48時間濃度維持が可能であるものの、実臨床ではあえて「貼付しない時間帯」を設けることで耐性発現を抑制しようとする運用が行われており、特に夜間・早朝の発作が主体か、日中労作時発作が主体かでオン・オフ時間を調整することが提案されている。
参考)経皮吸収型製剤使用マニュアル 3.血漿中濃度持続の仕組み
一部の報告では、硝酸薬耐性には酸化ストレス亢進やアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の機能変化などが関与する可能性が指摘されており、特に東アジア人に多いALDH2遺伝子多型との関連が議論されているが、ニトロールRとフランドル間で耐性発現率そのものを直接比較した大規模試験は乏しい。したがって現場では、薬剤固有の差よりも投与スケジュール設計や併用薬(ACE阻害薬、ARB、Ca拮抗薬、β遮断薬など)との組み合わせに注目して耐性リスクをコントロールするアプローチが現実的といえる。
ニトロールRとフランドルの使い分け:病型・生活パターン・デバイスとの関係
ニトロールRは経口投与であるため、嚥下が保たれており内服アドヒアランスが良好な患者で、日中〜就寝前まで比較的均一に狭心症発作が生じるケースに適している。一方、服薬忘れが多い、認知機能低下があり家族や介護者が薬剤管理を行う状況、嚥下機能が低下している症例では、視認性と管理のしやすさの観点からフランドルテープなど経皮剤形が選ばれやすい。
フランドルテープの特徴として、粘着力が落ちにくく再貼付しても剥離力に大きな差がないことがヒト試験で示されており、貼り直しが可能である点は在宅療養や入所施設での実務上の利点となる。また金属を含まない設計であるため、AEDパッド装着時やMRI検査時にもテープ貼付部位さえ配慮すれば火傷リスクが小さく、同じ硝酸薬貼付剤のニトロダームと比べて救急・検査の現場で扱いやすいという、やや知られていないメリットがある。
病型別には、労作狭心症で発作時間帯が予測しやすい場合、労作前の頓用ニトロ製剤を基本としつつ、日中ピークをカバーするようニトロールRを設定し、夜間発作が目立つ場合には就寝前〜早朝をフランドルテープで補うといったハイブリッドな設計も考えられる。冠攣縮性狭心症ではCa拮抗薬が第一選択であるが、夜間〜早朝の冠攣縮がコントロール不良なケースでは硝酸薬貼付剤を追加することが臨床レビューで紹介されており、その際に皮膚状態、アレルギー歴、入浴習慣などを踏まえてフランドルを選択する余地がある。
臨床現場の意外なポイントとして、フランドルテープは貼付部位の選択によって患者の心理的受容性が大きく変わることがある。胸部への貼付を抵抗と感じる患者では上腕や背部に変更することでアドヒアランスが改善する一方、緊急時に医療者が気付きにくくなる可能性もあり、貼付位置の標準化やカルテへの明記が重要とされる。ニトロールRではカプセル形状から「飲み忘れ時の一括服用」を避ける指導が必要であり、血圧低下リスクや頭痛出現を見越した服用時間帯調整(例えば出勤前ではなく帰宅後など)が現場で工夫されている。
ニトロールRとフランドルの混同・ヒヤリハット事例と処方設計の工夫
一般名処方の拡大に伴い、硝酸イソソルビド製剤間の取り違えがヒヤリハット事例として報告されており、ニトロールR(ISDN徐放カプセル)と他のISDN製剤の混同が問題となったケースも挙げられている。製剤ごとに徐放性の有無、投与回数、血中濃度プロファイルが異なるにもかかわらず、単に「硝酸イソソルビド」として処方・調剤されることで、本来より高用量・高頻度の投与となり、頭痛や血圧低下などの副作用や硝酸薬耐性のリスクが増した例が指摘されている。
フランドルについても、錠剤とテープ剤の名称が類似していることから、患者側の認識違いによる「内服と貼付の二重投与」「貼付を内服と誤解する」などの誤使用が報告されており、薬剤師によるピクトグラムや写真を用いた指導が有用とされる。特に在宅医療では、家族・介護職が薬剤管理を行うことが多く、ニトロールRとフランドルを併用する場合には、1日の中での役割分担(ベースラインの内服、夜間カバーのテープなど)を具体的に紙面化して共有することが安全管理の観点から重要になる。
独自の視点として、ニトロールRとフランドルの違いを「薬剤そのもの」だけでなく「医療チーム内コミュニケーションの設計」の違いとして捉えることができる。すなわち、内服中心のニトロールR主体の治療では服薬カレンダーやポリファーマシー整理が中心課題となり、フランドルテープ主体の治療では貼付部位管理、入浴・皮膚トラブルへの対応、検査・手技時の取り扱いがチームで共有すべき焦点になる。このように、両剤の違いを単なる薬理学的差異にとどめず、患者の生活・ケア体制・将来の検査やデバイス使用まで含めて設計することが、現場の医療従事者に求められる「使い分けの実際」といえる。
フランドルテープの薬理・経皮吸収と耐性、貼付設計の詳細解説として、トーアエイヨーの医療関係者向けページが参考になる。
フランドルテープ40mg よくあるご質問(トーアエイヨー:医療関係者向け)
ニトロールRカプセルの薬効薬理・臨床成績・用法用量の根拠については、インタビューフォームおよび医薬品情報データベースが詳しい。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00003755.pdf
医療用医薬品:ニトロールRカプセル20mg(KEGG MEDICUS)
硝酸薬全般の使い分けやアイトロール・フランドル錠との比較、狭心症治療における位置付けを整理するには、薬剤師向け解説や公益法人の情報ページが役立つ。
硝酸薬のアイトロール錠とフランドル錠の違いは?(公益社団法人 日本薬剤師会)

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