- epidermal growth factor receptor (egfr)と肺癌分子標的治療
- epidermal growth factor receptor (egfr)の構造とシグナル伝達の基礎
- epidermal growth factor receptor (egfr)とEGFR-TKI:第一〜第三世代薬剤の特徴と副作用
- epidermal growth factor receptor (egfr)と薬剤耐性:T790M変異・融合遺伝子・ゴルジ体機能阻害剤という新戦略
- epidermal growth factor receptor (egfr)変異と免疫チェックポイント阻害薬:ニボルマブの効果が乏しい理由
- epidermal growth factor receptor (egfr)を活かす多職種連携と検査オーダーの実務:現場で起こりやすい落とし穴
epidermal growth factor receptor (egfr)と肺癌分子標的治療
epidermal growth factor receptor (egfr)の構造とシグナル伝達の基礎
epidermal growth factor receptor (egfr)は細胞膜貫通型の受容体型チロシンキナーゼで、EGFやTGF-αなどのリガンド結合をきっかけに二量体化し、自己リン酸化を介して下流シグナルを活性化します。
主な下流経路として、RAS–RAF–MEK–ERK経路による増殖シグナルと、PI3K–AKT–mTOR経路による生存・抗アポトーシスシグナルが知られており、がん細胞ではこれらが恒常的にオンになっていることが少なくありません。
EGFRは肺がんに限らず頭頸部癌や大腸癌など多くの上皮性悪性腫瘍で発現亢進が見られますが、肺腺がんでは遺伝子変異そのものがドライバーとなる点が、他臓器癌との重要な違いです。
epidermal growth factor receptor (egfr)遺伝子変異は特に東アジア人の非喫煙女性肺腺がんで高頻度に見られ、報告によっては肺腺がんの約半数に認められるとされています。
参考)https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2020/0204/index.html
代表的な活性化変異として、エクソン19欠失とエクソン21のL858R点変異が挙げられ、いずれもチロシンキナーゼドメインの構造変化を通じてATP結合部位の親和性やシグナル活性を変化させます。
参考)https://www.jfcr.or.jp/laboratory/news/5326.html
臨床的には、これらの変異があることでEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)への高い感受性が期待でき、診断時のバイオマーカー検査の価値が非常に大きくなっています。
epidermal growth factor receptor (egfr)とEGFR-TKI:第一〜第三世代薬剤の特徴と副作用
epidermal growth factor receptor (egfr)を標的とするEGFR-TKIとして、第一世代にはゲフィチニブ(イレッサ)とエルロチニブ(タルセバ)があり、可逆的にATP結合部位に結合して活性化EGFRシグナルを抑制します。
第二世代のアファチニブやダコミチニブは不可逆的結合とより広いErbBファミリー阻害を特徴とし、第三世代のオシメルチニブ(タグリッソ)はT790M変異を有するEGFRに選択的に作用するよう設計されています。
この世代交代により、初回治療から第三世代EGFR-TKIを用いる戦略が主流となり、無増悪生存期間や中枢神経転移への制御能が向上したことが複数の臨床試験で示されています。
EGFR-TKIで頻度の高い有害事象として、ざ瘡様皮疹、下痢、口内炎、爪囲炎、間質性肺疾患(ILD)などが知られ、特に皮膚障害とILDは日常診療での注意点となります。
参考)https://jpps.umin.jp/old/issue/magazine/pdf/0304_02.pdf
皮疹はEGFRシグナルの生理学的役割(角化・皮脂分泌など)に由来するクラスエフェクトであり、発現が薬効のサロゲートマーカーとなる可能性も議論されてきました。
ILDは日本人で相対的に頻度が高いことが報告されており、既存の肺線維症や高齢、喫煙歴などを背景にリスクが増すため、投与前の胸部画像評価と投与後の早期症状把握が重要です。
参考)ドキュメント移動
epidermal growth factor receptor (egfr)と薬剤耐性:T790M変異・融合遺伝子・ゴルジ体機能阻害剤という新戦略
epidermal growth factor receptor (egfr)変異肺がんでは、EGFR-TKIに良好な初期反応を示しても、多くが1年前後で獲得耐性を呈し、再増悪に転じます。
第一世代EGFR-TKIに対する耐性の代表例がエクソン20のT790M二次変異で、ATP結合ポケットの構造変化により薬剤結合よりATP結合が優位になる「ゲートキーパー変異」として知られています。
このT790M変異を標的とする第三世代EGFR-TKIオシメルチニブに対しても、その後C797S変異など新たな耐性変異が出現し、「モグラ叩き」のような耐性克服の連鎖が問題になっています。
近年の包括的解析では、epidermal growth factor receptor (egfr)変異肺がんの耐性機序として、MET増幅、HER2変異、RET/ALK/NTRKなどの融合遺伝子出現といったバイパス経路活性化も重要であることが示されています。
参考)EGFR変異肺がんの薬剤耐性機序としての融合遺伝子の包括的研…
このため、再増悪時には血液あるいは組織での再バイオプシーを行い、EGFR二次変異の有無だけでなく、融合遺伝子や他ドライバーへのスイッチを包括的に調べることが、治療方針決定の鍵になりつつあります。
さらに興味深い報告として、EGFR-TKI耐性克服の新戦略としてゴルジ体機能阻害剤が有望であるという前臨床研究があり、EGFRタンパク質の細胞表面発現自体を抑制するという、従来とは異なる視点からのアプローチとして注目されています。
epidermal growth factor receptor (egfr)変異と免疫チェックポイント阻害薬:ニボルマブの効果が乏しい理由
epidermal growth factor receptor (egfr)変異陽性非小細胞肺がんにおいては、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)、特に抗PD-1抗体ニボルマブの効果が限定的であることが複数の研究で示されています。
一見するとEGFR変異肺がんでもPD-L1高発現例が存在しますが、腫瘍変異負荷(TMB)が比較的低い、腫瘍浸潤リンパ球が少ないなど「免疫冷却腫瘍」の特徴を持つことが多く、ICI単剤の奏効率は低めです。
さらに、EGFR-TKIとICIの併用・シーケンスに関しては、EGFR-TKI後のICI投与あるいはその逆で間質性肺疾患などの重篤な毒性が増える可能性が報告されており、実臨床での慎重な判断が求められています。
ある多施設共同研究では、epidermal growth factor receptor (egfr)遺伝子変異陽性の進行・再発非小細胞肺がんにおいて、ニボルマブ治療前検体のPD-L1発現量と治療効果・副作用との関連を後方視的に検討しています。
参考)https://toneyama.hosp.go.jp/patient/clinical/images/pdf/1712.pdf
その結果、EGFR変異陽性症例ではPD-L1発現が高くても必ずしもICIの高い効果を示さず、EGFR変異陰性の患者群とは反応性が異なる可能性が指摘されています。
臨床現場では、EGFR変異陽性例ではまずEGFR-TKIによる分子標的治療を優先し、ICIはEGFR-TKIが使い尽くされた後の一選択肢として位置づけることが多く、導入のタイミングや前治療歴の整理が重要です。
epidermal growth factor receptor (egfr)を活かす多職種連携と検査オーダーの実務:現場で起こりやすい落とし穴
epidermal growth factor receptor (egfr)遺伝子変異検査は、組織検体・細胞診検体・血漿(リキッドバイオプシー)などさまざまな材料で実施可能ですが、検体量や腫瘍細胞含有率が不十分だと結果の信頼性が低下します。
日本肺癌学会の「EGFR遺伝子変異検査の手引き」では、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)標本の固定条件や、検査前処理の注意点、病理医との事前相談の重要性が詳しく述べられています。
外来での生検オーダー時点から、「今後EGFR-TKIを含む分子標的治療を検討する可能性が高い」という情報を共有し、十分な検体確保と必要なコンパニオン診断を一度に済ませることが、多職種連携の鍵となります。
現場で意外と見落とされがちな点として、epidermal growth factor receptor (egfr)と腎機能指標eGFR(estimated glomerular filtration rate)の略語混同があり、カルテ記載や説明資料では両者を明確に区別する工夫が必要です。
参考)EGFR(イージーエフアール)とは?検査値の見方と腎機能の指…
例えば、電子カルテのオーダーセット名や院内マニュアルでは「EGFR遺伝子変異」「推算GFR(eGFR)」といった表記を徹底し、検査部門・看護部門とのコミュニケーションで誤解が生じないようにしておくと安全です。
参考)【腎臓内科専門医が解説】eGFRとは?腎臓の健康を知る重要な…
また、EGFR-TKIは高齢者や慢性腎臓病患者にも投与されることが多く、抗がん薬の用量設計や薬物相互作用を検討する際には、腎機能指標としてのeGFRと分子標的としてのEGFRを同時に意識するという、やや「二重のEGFR管理」が求められる点も、臨床ならではの落とし穴と言えます。
参考)https://www.boehringer-ingelheim.com/jp/human-health/chronic-kidney-disease/ckd/ckd-egfr
EGFR-TKIの外来マネジメントでは、薬剤師・看護師・医師が協力して、皮膚障害や下痢の早期介入、アドヒアランス確認、重篤なILD徴候のトリアージなどを行うことが不可欠です。
特に長期奏効例では、患者の生活背景や就労状況に合わせた服薬指導・スケジューリングが求められ、「治療継続しやすい環境づくり」もチーム医療の重要なアウトカムとなります。
こうした多職種連携のなかで、epidermal growth factor receptor (egfr)という分子レベルの情報を、患者の価値観や生活の質にどう結びつけるかを意識して関わることが、医療従事者一人ひとりの役割として問われているのではないでしょうか。
EGFR遺伝子変異検査の方法や注意点を詳しく整理したガイドライン部分の参考リンク
肺癌患者におけるEGFR遺伝子変異検査の手引き(日本肺癌学会)
epidermal growth factor receptor (egfr)変異肺がんの耐性機序と融合遺伝子解析に関する最新の包括的研究の参考リンク
EGFR変異肺がんの薬剤耐性機序としての融合遺伝子の包括的解析(国立がん研究センター)
EGFR変異陽性肺がんにおける免疫療法の位置づけや、免疫環境の特徴に関する研究概要の参考リンク
肺がんの新たな治療戦略へ期待〜免疫療法の治療効果の改善へ(国立がん研究センター)

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