薬学的管理指導計画書 記入例と訪問回数

薬学的管理指導計画書 記入例

薬学的管理指導計画書を「短時間で監査に強く」仕上げる
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必須3点を落とさない

「薬剤の管理方法」「実施すべき指導の内容」「訪問回数・訪問間隔」を“患者ごと”に具体化すると、計画書の骨格が一気に安定します。

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計画は“更新”が価値

計画は原則訪問前に策定し、少なくとも月1回は見直し、処方変更や他職種の情報提供でも見直します。

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共有までが要件意識

計画書は作成するだけでなく、主治医・他職種と共有し、報告・了解の流れを意識して運用します。

薬学的管理指導計画書 記入例に入れる実施すべき指導の内容

薬学的管理指導計画は、患者の心身の特性と処方薬剤を踏まえて策定し、「薬剤の管理方法」「実施すべき指導の内容」「訪問回数」「訪問間隔」などを記載することが示されています。

このうち「実施すべき指導の内容」は、抽象語だけだと実務に落ちにくいので、“確認する項目”と“介入する行為”を混ぜて、毎回の訪問で評価可能な形にします。

記入例の作り方としては、①副作用・相互作用などの薬学的リスク、②管理方法(保管・一包化・カレンダー等)、③生活状況(食事・排便・睡眠・嚥下・転倒等)に分けると、抜けが減り、他職種にも伝わりやすくなります。

【記入例(実施すべき指導の内容)】

・副作用モニタリング:眠気・ふらつき・便秘・下痢・食欲低下の有無を毎回確認し、必要時に医師へ情報提供する。

参考)https://www.tokuyaku.or.jp/yakuji.html?view=articleamp;id=243amp;catid=70

・相互作用/重複:他科受診薬、OTC、サプリの追加有無を確認し、重複・相互作用の可能性を点検する。

参考)【薬局の在宅訪問】薬学的管理計画を徹底解説!様式ダウンロード…

・服薬支援:服薬カレンダー/配薬BOXの運用状況を点検し、残薬と服用ズレを可視化して調整する。

・生活要因:食事回数、排便状況、睡眠(中途覚醒など)を確認し、薬物療法の影響と切り分けて記録する。

あまり知られていない落とし穴として、「副作用が出た→対処薬が追加された」ケースは、計画書との関連性の判断で誤りが起きやすく、“もともとの計画に含まれる疾患・治療と整合するか”を意識した書き分けが重要です。

特に在宅では臨時処方が出やすく、対処薬を“何でも計画に入れて関連付ける”という発想は誤りになり得る、という解説が実務上の注意点として示されています。

薬学的管理指導計画書 記入例で迷う訪問回数と訪問間隔

計画書には「訪問回数・訪問間隔」を記載することが求められており、訪問前に策定すること、訪問後に必要に応じて見直すこと、少なくとも月1回見直すことが示されています。

現場で迷うのは「処方日数=訪問間隔」に固定してしまう点で、服薬管理が不良であれば、処方日数とは別に週1回などの訪問を計画する考え方が紹介されています。

さらに、訪問回数や訪問間隔は医師の“指示そのもの”というより、薬剤師の判断で計画しうるが、計画書に明記し関係職種の了承を得て共有しておく必要がある、という整理が実務上有用です。

【記入例(訪問回数・訪問間隔)】

・訪問回数:月2回(2週間ごと)

・訪問間隔:14日

・補足:服薬管理不良が認められる期間は週1回へ一時的に変更し、次回見直し時に評価する。

“監査に強い”書き方のコツは、単に「月2回」と書くだけでなく、「なぜその頻度か(残薬、認知機能、介護者負担、転倒リスク等)」を短い一文で添えることです。

また、訪問予定日を具体日付で置いておくと「計画的な訪問」か「臨時(緊急)訪問」かの判断にも役立つ、という実務的メリットが挙げられています。

薬学的管理指導計画書 記入例に必要な問題・課題と患者の心身の特性

薬学的管理指導計画書の様式例では、「患者の心身の特性」「注目すべき点(問題・課題)」を置き、その後に「今月行った主な指導内容」「計画に加味すべき追加・変更項目」を書く構成が示されています。

ここは“医師の診断名の書き写し”ではなく、薬剤師としての観察と、薬物療法上のリスクを一段抽象化して整理すると計画の質が上がります。

例えば、嚥下・転倒・日中の傾眠・排便・食事量などの生活情報は、服薬アドヒアランスや副作用の発見率に直結しやすく、計画書に置く価値が高い情報群です。

【記入例(患者の心身の特性・問題/課題)】

・心身の特性:寝たきり、排便コントロール不良、介助が必要、家族が服薬管理を担う。

・問題/課題:便秘と眠気の訴えが混在しており、薬剤起因か生活要因かを訪問ごとに切り分け評価する必要がある。

・注目点:転倒リスク(ふらつき)と、下剤・睡眠薬の適正使用の両立。

意外に見落とされるのが、「薬によるADL/QOLへの影響」を“副作用欄”とは別に、生活機能の観点で一行でも明記しておくことです。

在宅は診察室で拾えない情報が多いため、計画書の段階から“生活観察で拾う項目”を定義しておくと、報告書の質が上がり多職種連携もしやすくなります。

薬学的管理指導計画書 記入例と主治医への報告・他職種共有

薬学的管理指導計画は、主治医や他の医療関係職種と情報共有しながら作成し、作成後は主治医に報告して了解を得る必要がある、と整理されています。

また、訪問した結果について、指示をした主治医に文書で提供しなければならない旨も示されています。

このため、計画書の記入例を作るときは「訪問で得た情報を、どの様式で、どの頻度で、誰に返すか」をセットで考えると運用が破綻しません。

【計画書→報告書につながる“書き方”例】

・計画(記入例):今月の注目点=残薬・便秘・眠気(転倒)を重点モニタリングし、必要時に処方提案を行う。

参考)https://konankosei.jp/assets/documents/network/pharmacy/r_yakuzai_4.pdf

・報告書で返す項目:服薬状況、患者の訴え、副作用疑い、介護者情報、薬剤師意見(提案)を定型化する。

・共有先:主治医、ケアマネ、訪問看護(必要時)、施設職員(必要時)。

参考:薬学的管理指導計画書(例)と、訪問薬剤管理指導・報告書の雛形がまとまっており、現場の書式整備に使える

公益社団法人福岡県薬剤師会:在宅関連書式(計画書・報告書の例)PDF

薬学的管理指導計画書 記入例を“監査・引継ぎ”に強くする独自視点

計画書は「作成するだけでは不十分で、関係職種へ共有することが必要」とされ、さらに少なくとも月1回の見直しが求められています。

ここから逆算すると、監査・引継ぎに強い計画書とは「作成日→見直し履歴→変更理由→次回の観察ポイント」が連続して読める計画書です。

独自の工夫として、計画書の各項目を“観察(S)→評価(A)→計画(P)”のようにミニ構造化し、次回訪問で同じ項目を再評価できるようにすると、月次見直しが形式化しにくくなります。

【独自テンプレ(記入例:1項目をミニSAPで書く)】

・項目:便秘(排便)🚽

・S:本人・介護者から便通(快便/便秘/下痢)と回数、腹部症状を聴取。

・A:下剤の効き過ぎ/不足、食事量低下、活動性低下、薬剤性(オピオイド等)の可能性を評価。

・P:服用タイミングの調整案、頓用の使い分け指導、必要時に処方提案(増量/追加/切替)を行い次回結果を比較する。

さらに意外な実務ポイントとして、臨時処方の扱いでは「計画書との関連性」「緊急性の有無」の判断が誤算定につながり得るため、計画書に“対象疾患・対象薬”の範囲を言語化しておくと判断が速くなります。

副作用対策薬は「副作用は継続薬に付随するから関連あり」と短絡しがちで、原則は“新たな症状への処方”として関連なしになり得る、という注意点は、現場で差が出る知識です。

参考:計画書の必須記載事項、作成タイミング(訪問前策定・月1回見直し・処方変更時/他職種情報で見直し)と、書き方の考え方がまとまっている

在宅訪問:薬学的管理指導計画(計画書)の記載内容と運用