訪問看護法律と介護保険法の指定基準

訪問看護法律と指定基準

訪問看護法律の全体像
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まず押さえる3本柱

介護保険法(指定・運営)、健康保険法(医療保険での訪問看護)、個人情報保護(同意・記録・共有)の関係をセットで理解します。

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現場で差が出るのは記録

計画書・報告書・説明同意・身体拘束の記録など、基準が要求する「残すべき事実」を整理します。

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情報共有は「目的」と「範囲」

サービス担当者会議や多職種連携での個人情報の扱いは、目的・同意・最小限の原則で事故を防ぎます。

訪問看護法律の介護保険法と健康保険法の指定

 

訪問看護の「法律」を考えるとき、最初に混乱が起きやすいのが、介護保険と医療保険で根拠法・手続が重なっている点です。介護保険側では訪問看護は居宅サービスとして位置づけられ、指定を受けてサービス提供・請求を行います。一方、医療保険側(指定訪問看護)では、健康保険法等に基づく訪問看護の枠組みがあり、ステーション運営や提供手続の細目が省令で定められています。

現場実務では「同じ訪問看護でも、どちらのルールで動いているか」を書類・説明・記録に反映できるかが重要です。例えば、医療保険での指定訪問看護は、提供開始時に重要事項の説明を文書交付で行い、同意を得ることが明記されています(内容及び手続の説明及び同意)。また、受給資格の確認方法として電子資格確認等の規定があり、制度改正の影響を受けやすい領域です。

ここでのポイントは、法律上の「指定」とは、単なる許可ではなく、基準(人員・設備・運営)を満たし続ける義務の入口だということです。指定を取った瞬間に、管理者の責務、苦情処理、事故対応、掲示、記録保存といった運営上の要件が、継続的な監査対象になります。

権威性のある参考(医療保険の指定訪問看護の運営基準の根拠)。

厚生労働省「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」

訪問看護法律の運営規程と重要事項説明と同意

訪問看護ステーションが法律上つまずきやすいのが、「説明したつもり」「同意したはず」という、言った言わない問題です。指定訪問看護の運営基準では、提供開始に際し、運営規程の概要、勤務体制など“選択に資する重要事項”を記した文書を交付して説明し、同意を得ることが求められています。ここは、利用契約書だけで流してしまうと、実地指導で「説明文書の実体」「交付した証跡(署名・日付)」「説明者の記録」が問われやすい領域です。

運営規程についても、単に作るだけでは足りません。運営基準では、目的・方針、職種と員数、営業時間、サービス内容と利用料、通常実施地域、緊急時対応など、必須の項目が列挙されています。これらは「現場の実態」とズレるとリスクになります(例:24時間対応をうたっているのに体制がない、通常実施地域が曖昧で交通費トラブルが起きる等)。

あまり知られていない盲点として、重要事項の「掲示」にも注意が必要です。指定訪問看護の運営基準には、重要事項を見やすい場所に掲示する規定があり、さらに原則としてウェブサイト掲載を求める条文もあります(ただし経過措置が置かれる場合があります)。院内掲示はやっていても、ウェブ掲載を失念しているケースが実地指導で指摘されることがあります。

権威性のある参考(運営規程・説明同意・掲示の根拠条文)。

厚生労働省「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」(第5条・第21条・第24条など)

訪問看護法律の記録と計画書と報告書と保存

訪問看護の法律対応で、最終的に事業所を守るのは「記録」です。指定訪問看護の運営基準では、主治医の指示を文書で受けること、訪問看護計画書の作成、計画書の主要事項の説明、訪問看護報告書の作成など、文書化を前提とした運用が求められています。特に計画書・報告書は、診療側との連携の核であり、監査・訴訟・苦情対応でも一次資料になります。

さらに、見落とされがちな条文として「身体的拘束等」に関するルールがあります。原則禁止で、例外的に行う場合には、その態様・時間・心身状況・緊急やむを得ない理由の記録が必須です。訪問看護は在宅の環境要因で、転倒予防やチューブ自己抜去予防など“善意の制限”が起こりやすいですが、記録がなければ「適法な例外」の説明ができません。

保存期間についても、運営基準に基づき「提供に関する諸記録は完結の日から2年間保存」と明記されています。これは短いように見えて、事故や苦情の発生タイミング次第では“残っていない”が致命傷になります。実務では、法定保存に加えて、自治体指導や契約上の要請、訴訟リスクを踏まえた保存ポリシー(延長保存や電子化)を内部規程で整備し、運用の一貫性を確保すると安全です。

権威性のある参考(計画書・報告書・記録保存の根拠条文)。

厚生労働省「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」(第16条・第17条・第30条など)

訪問看護法律の秘密保持と個人情報とサービス担当者会議

訪問看護の現場は「情報がないとケアできない」のに、「情報を出すと事故になる」という矛盾を抱えています。指定訪問看護の運営基準でも、従業者の秘密保持(利用者・家族の秘密を漏らさない)と、退職者に対しても漏えいさせない措置を求めています。つまり、“うっかり”の範囲でも、教育・誓約・アクセス制御・持ち出しルールなど、事業者側の体制が問われます。

個人情報保護については、厚生労働省が医療・介護関係事業者向けガイドラインを出しており、訪問看護ステーションも対象に含まれることが明示されています。重要なのは、利用目的の特定・通知(掲示等)、安全管理措置(組織的・人的・物理的・技術的)、第三者提供の原則同意、例外規定、そして「黙示の同意」が成立し得る範囲の考え方です。

意外と現場で効くポイントとして、同じ“情報共有”でも「共同利用」「委託」「第三者提供」が法的に別物だという点があります。例えば、委託(請求代行、検査委託、クラウドシステム等)なら第三者提供に当たらない整理になり得ますが、必要かつ適切な監督(契約への条項、定期確認)が求められます。サービス担当者会議等での個人情報については、ガイドライン上も、介護分野では文書同意を得る運用が必要とされる旨が述べられており、口頭同意に頼るのは危険です。

権威性のある参考(訪問看護ステーションが対象、同意・第三者提供・安全管理措置)。

厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」

訪問看護法律の独自視点:監査で刺さるSNSと写真と端末持ち出し

検索上位では「指定基準」「運営基準」「個人情報保護」が中心になりがちですが、現場で“事故が起きる場所”はもっと生活に近いところです。具体的には、スマホで撮った褥瘡や創部の写真、訪問ルートが残る位置情報、LINE等での多職種連携、個人端末へのメモ転記、紙記録の車内放置などが、漏えい・苦情・監査の火種になります。

厚労省の個人情報ガイドラインは、安全管理措置として、アクセス管理(ID・パスワード等)、アクセス記録、盗難・紛失対策、不要データの廃棄・消去などを挙げています。つまり、個人端末で写真を撮る運用をするなら、(1)利用目的、(2)同意、(3)保存先、(4)閲覧権限、(5)削除ルール、(6)紛失時の報告フローまで、事業所として説明できないと破綻します。

「患者さんが撮ってと言った」「家族がOKと言った」だけでは、事業者の安全管理責任は消えません。むしろ、同意があるほど撮影・共有が増え、リスクが増幅します。独自視点として推奨したいのは、写真・SNS・端末に限定したミニ規程(1枚のチェックリスト)を作り、訪問スタッフが出発前に確認できる状態にすることです。監査対応のためではなく、現場の“判断疲れ”を減らす設計が、結果的に法令順守を強くします。

権威性のある参考(安全管理措置・委託・漏えい時の対応などの考え方)。

厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」(安全管理措置・委託先監督・漏えい時の対応)

真実の行方