トラネキサム酸ジェネリックとトランサミン錠250mgの用法及び用量

トラネキサム酸ジェネリック

トラネキサム酸ジェネリックの要点(医療従事者向け)

まず確認する軸

効能又は効果、用法及び用量、禁忌(トロンビン併用)、血栓リスク、腎機能・透析患者の注意を添付文書ベースで確認する。

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ジェネリック選定の現場ポイント

同一成分でも剤形(錠・カプセル・散)や添加剤、PTP表示、供給安定性が運用に影響する。切替時は患者の服薬行動と誤飲リスクも評価する。

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見落としやすい安全性

術後臥床や圧迫止血中は静脈血栓の背景リスクが高く、投与により血栓を安定化するおそれがある。透析患者では痙攣の報告があり注意が要る。

トラネキサム酸ジェネリックの効能又は効果と作用機序

 

トラネキサム酸は抗プラスミン剤として、プラスミン/プラスミノゲンのリジン結合部位(LBS)に結合し、フィブリンへの結合を阻害して線溶を抑制することで止血に寄与します。

添付文書上の「効能又は効果」は、全身性線溶亢進が関与すると考えられる出血傾向(白血病再生不良性貧血紫斑病等、手術中・術後の異常出血)や、局所線溶亢進が関与する異常出血(肺出血、鼻出血、性器出血、腎出血、前立腺手術中・術後の異常出血)などが挙げられています。

さらに、湿疹およびその類症・蕁麻疹・薬疹/中毒疹における紅斑・腫脹・そう痒、扁桃炎・咽喉頭炎の症状、口内炎の疼痛・アフターといった「炎症・アレルギー関連症状」も効能として明示されています。

臨床的には「止血薬」という認識が強い一方で、添付文書に記載された抗アレルギー・抗炎症の根拠は、プラスミンが関与する血管透過性亢進やキニン等の産生を抑制する点に整理されています。

参考)トランサミン錠250mg/トランサミン錠500mg/トランサ…

この“線溶—炎症の接点”を理解しておくと、咽喉頭炎や蕁麻疹などで「なぜトラネキサム酸なのか」を説明しやすくなり、抗菌薬・抗ヒスタミン薬との併用設計でも意図が明確になります。

トラネキサム酸ジェネリックの用法及び用量と薬物動態

経口製剤の「用法及び用量」は、通常成人でトラネキサム酸として1日750~2,000mgを3~4回に分割経口投与し、年齢・症状により適宜増減とされています。

この“分割回数が多い”設計は、患者の服薬アドヒアランスに直結するため、剤形(錠/カプセル/散)選択の意味が現場で大きくなります。

薬物動態としては、健康成人男性での単回経口投与データ(例:錠250mgでCmax 3.9 μg/mL、Tmax 2~3hr、t1/2 3.1hr)が提示されています。

また、投与後24時間以内に投与量の約40~70%が未変化体として尿中排泄されると記載されており、腎機能低下時の血中濃度上昇に注意を向ける根拠になります。

ジェネリック切替の要点として、日医工のトラネキサム酸錠250mgはトランサミン錠250mgとの生物学的同等性が90%信頼区間法で確認されたと明記されています。

一方で「同等性=運用上の同一性」ではないため、PTP表示の見え方、患者が“白い素錠”を複数薬で混同しないか、分割のしやすさ等は薬剤部・外来の実務で再評価が必要です。

トラネキサム酸ジェネリックの禁忌と相互作用(トロンビン等)

禁忌として、トロンビン投与中の患者には投与しないことが明記されています。

理由は、トロンビンの血栓形成促進作用に、トラネキサム酸の線溶抑制が重なることで血栓形成傾向が増大するおそれがあるため、と添付文書に整理されています。

併用注意としては、ヘモコアグラーゼやバトロキソビン、凝固因子製剤(エプタコグアルファ等)が挙げられ、いずれも血栓・塞栓リスクや凝固系亢進の方向性で注意喚起されています。

ここで実務的に重要なのは、「抗線溶」という薬理のため、出血が“止まりやすい”局面では魅力的でも、血栓を“できにくくする薬”ではない点を、処方設計と患者説明で取り違えないことです。

また、消費性凝固障害のある患者ではヘパリン等と併用すること、という注意があり、単純な止血目的での単剤投与が適さない状況があることも押さえる必要があります。

トラネキサム酸ジェネリックの副作用と注意(血栓・透析・PTP誤飲)

副作用は、そう痒感・発疹等、消化器症状(悪心、嘔吐、下痢、胸やけ等)、眠気などが挙げられています。

重大な副作用として、人工透析患者で痙攣があらわれることがある(頻度不明)と記載があり、透析患者への投与は“腎排泄”という薬物動態と合わせて要注意群に位置づけられます。

血栓に関する注意では、血栓のある患者(脳血栓、心筋梗塞、血栓性静脈炎等)や血栓症があらわれるおそれのある患者で「血栓を安定化するおそれ」が記されています。

さらに、術後の臥床状態や圧迫止血中の患者は静脈血栓を生じやすく、離床・圧迫解除に伴い肺塞栓症を発症した例が報告されている、と具体的な臨床場面が明示されています。

見落としやすい運用リスクとして、PTP包装の誤飲による食道粘膜刺入から穿孔、縦隔洞炎等の重篤な合併症が起こり得るため、PTPから取り出して服用するよう指導することが明記されています。

この注意は薬剤そのものの有害事象ではなく「剤形・包装に起因する医療安全」なので、後発品採用時の服薬指導資材(外来配布文書、薬袋記載)に反映させると再発防止に効きます。

トラネキサム酸ジェネリックの先発・後発の違い(独自視点:供給と運用)

ジェネリック医薬品は生物学的同等性が確認される一方で、現場のトラブルは「薬理」より「運用」から起きることがあります。

例えば、KEGGの製品一覧では同一成分でも複数メーカー・複数剤形が並び、薬価が同額帯のものも存在するため、薬価差だけでは切替メリットが小さいケースもあります。

ここで意外に効いてくるのが、①入荷不安定時の代替のしやすさ、②院内採用品目の整理(錠とカプセルの二重採用回避)、③患者の“見た目認識”による飲み間違い、④PTP表示の識別性です。

添付文書には添加剤も列記されるため、嚥下補助ゼリーの使用、粉砕可否の判断、アレルギー既往の聞き取りなど、個別運用では先発・後発の差分確認が役に立つ場面があります。

また、ジェネリック採用の説明では「同じ成分です」で終わらせず、患者にとっての利益(飲みやすさ、処方継続の安定性)と注意(分割回数、血栓リスクの既往確認)をセットで提示すると、後日の相談対応が減ります。

参考:禁忌・相互作用・用法及び用量・副作用の原典(電子添文)

https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00067950.pdf

参考:同一成分の製品(先発・後発)と薬価の俯瞰(採用品目整理の参考)

https://www.kegg.jp/medicus-bin/similar_product?kegg_drug=D01136

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