薬局労災指定と手続きと申請と標札

薬局労災指定と手続き

薬局労災指定の要点

まず押さえる結論

労災の処方箋対応を「窓口負担なし(現物給付)」で回すには、原則として労災指定薬局としての指定が必要です。

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薬局側の実務に直結

申請書類、標札の掲示、請求書(様式第5号・様式第16号の3等)の取り扱いが、受付・算定・返戻防止の中核になります。

期限・更新の盲点

指定期間は3年で、一定期間内に更新しない旨の申し出がなければ自動更新とされます。更新窓口や変更届の運用も要確認です。

薬局労災指定の申請と必要書類

 

労災の処方箋を「労災扱い」で受け、原則として患者の窓口負担を発生させずに運用するためには、薬局が都道府県労働局長の指定を受ける(労災指定薬局になる)ことが基本線になります。

指定申請では、少なくとも「指定申請書(様式第1号)」「薬剤師免許証(写)」「開設許可証(写)」「平面図」「指定薬局・指名機関登録(変更)報告書(診機様式第22号・第23号)」「労働保険関係成立届(写)」など、労働局が求める一式を揃えて提出します。

現場で見落としがちなのは「(診機様式の一部は画面サンプルで実際には使えず、労働局から入手する必要がある」点で、書式の入手経路を先に固めるだけで開局時の手戻りが減ります。

また、労働局によっては申請書等の取り寄せに返信用封筒(切手貼付)が必要になる運用例も示されており、郵送申請の設計(誰が、いつ、どの宛先に送るか)を手順書化しておくと安定します。

薬局労災指定の指定期間と更新と変更届

指定は「指定があった日から3年間」とされ、更新しない旨の申し出がなければ自動更新となる取扱いが示されています。

この「自動更新」は安心材料である一方、店舗情報の変更(名称・所在地・電話番号・代表者・振込口座など)が出た際は、速やかな届出が必要で、変更事項ごとに指定・指名機関登録(変更)報告書等を使う運用が説明されています。

管理薬剤師の変更は別の届出(管理薬剤師変更届)を用い、新任者の免許証写し添付が求められるため、「異動時のチェックリスト」に組み込むのが安全です。

さらに、薬剤費請求に不正が認められた場合や関係法令・契約事項違反などでは指定取消の対象になり得るため、請求の内部統制(ダブルチェック、根拠の保管)を先に整えておく価値があります。

薬局労災指定の標札と掲示と監査の視点

労災指定薬局は、労災指定薬局であることを示す標札を「見やすい場所に掲げる」ことが求められると明記されています。

この標札は、現場では単なる掲示物に見えますが、受付時の患者・事業者への説明の根拠にもなり、「当薬局は労災指定かどうか」を一目で示す重要なコミュニケーションツールになります。

掲示の意義をもう一段掘ると、労災は健康保険と異なり、患者側・会社側・監督署側で必要書類が揃わないと処理が止まりやすいため、「入口で迷わせない」ことが請求遅延のリスクを下げます。

参考:標札の掲示義務(契約事項の該当条文・文言の確認)

労災保険指定薬局療養担当契約事項(標札の掲示の条文あり)

薬局労災指定の療養の給付と請求書(様式第5号・様式第16号の3)

労災で薬剤の支給を受ける典型フローは、(業務災害なら)様式第5号、(通勤災害なら)様式第16号の3といった「療養の給付請求書」を指定薬局に提出し、薬局側が手続きを進める形で整理されています。

契約事項の説明では、指定薬局は傷病労働者から療養の給付を求められたとき、提出された請求書(様式第5号または様式第16号の3)を所轄監督署長等へ(所轄労働局長を経由して)提出する旨が書かれており、「患者が提出したら終わり」ではなく薬局の事務責任が重い点がポイントです。

また、指定薬局が行う薬剤費の請求等は「労災保険指定薬局療養担当契約事項」によって行われなければならない、と行政サイトでも明示されているため、レセコン設定や算定ルールは“慣例”ではなく契約事項ベースで整合を取る必要があります。

実務の工夫としては、受付時に次の最低限を聞き取り、レセコンのコメントや受付票に固定化すると返戻や照会が減ります。

・業務災害か通勤災害か(様式が変わる)

・初回か、他薬局からの切替か(必要書類が変わる場合がある)

・事業場情報と管轄(監督署の特定が必要になる)

薬局労災指定の独自視点:指定外薬局と償還払い設計(様式第7号の罠)

検索上位は「指定薬局でないと労災の処方箋を扱えない」といった説明に寄りがちですが、現場では“指定外で受けてしまった/夜間で近隣に指定がない”など例外運用の設計が事故防止になります。

指定外の医療機関・薬局で受診・調剤した場合、いったん全額を自己負担し、後日、費用の還付を受けるために様式第7号で請求する(現金給付)という整理が一般に解説されています。

ここで意外と起きるのが「様式の取り違え」で、様式第7号には薬局用の(2)など対象機関ごとに種類があるため、院外処方の薬剤費なのに病院用の書式で出して差し戻される、といった実務トラブルが起こり得ます。

薬局の患者対応としては、指定外で受けた場合に“健康保険に切り替えればいい”と誤解されやすいので、償還払いの道筋(必要書類、領収書原本、提出先)を説明するテンプレを用意し、患者の不安とクレームを減らすのが現実的です。

参考:厚生労働省の主要様式(労災保険給付関係主要様式のダウンロード)

労災保険給付関係主要様式ダウンロード(公式)

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