居宅療養管理指導 算定できない施設 2024
居宅療養管理指導の算定できない施設を分ける基準(医師配置・薬剤師配置)
居宅療養管理指導は「居宅(生活の場)」で療養上の管理・指導を行い、ケアマネジャー等へ必要情報をつなぐ設計のサービスです。したがって、施設側で医師や薬剤師の配置が制度上求められ、施設内で完結する医療・服薬管理が前提となる類型では、そもそも“外部からの居宅療養管理指導”を前提にしないため、算定できない(または算定が極めて限定される)整理になります。
とくに薬局や医療機関が「施設の入所者」に訪問して行うケースで迷いやすいのが、次の考え方です。
- ポイントは「建物の名前」よりも、制度上の位置づけ(施設サービスか、居宅サービスか)と、医師・薬剤師の配置義務の有無です。
- 医師や薬剤師が配置されるべき施設類型では、外部事業者が“居宅療養管理指導”として請求する合理性が薄く、返戻・指摘のリスクが上がります。
- 一方で、いわゆる「居住系(居宅扱い)」の住まい(例:一部の有料老人ホーム等)では、入所ではなく“居宅”として扱われ得るため、算定可否は施設種別と契約形態の確認が必須です。
また、2024改定の留意事項では、運用面として「他の医療機関または薬局の薬剤師が既に居宅療養管理指導を行っている場合は算定しない」旨が明確に示されています。これは「施設種別に関係なく」発生する算定不可の代表例なので、施設判定の前に“重複の有無”を必ず見ます。
実務の一言:施設側が「うちは在宅扱いです」と言っていても、請求側は介護保険上のサービス種別、配置義務、契約(入所/居住)を根拠資料で確認しないと危険です。
(権威性のある参考:2024改定の留意事項のうち、薬剤師の居宅療養管理指導で「他事業所が実施中なら算定しない」等の明文化部分)
他事業所実施時の非算定・回数上限・情報通信機器の扱い等:https://www.care-news.jp/useful/reward/AFxiP
居宅療養管理指導 2024の算定できないケース(他事業所・回数上限・6日以上)
「算定できない施設」というテーマでも、実際の返戻の多くは“施設種別の誤り”より“運用ルール違反”で起きます。2024改定の留意事項(薬剤師)から、現場で多い非算定・返戻ポイントを、判断しやすい形に落とします。
- 他の医療機関または薬局の薬剤師が現に居宅療養管理指導を行っている場合は算定しない(例外:居住地変更等で既存サービスが受けられない場合)。
- 月2回以上算定する場合(がん末期等を除く)は、算定日の間隔を6日以上あける。
- がん末期患者、中心静脈栄養、注射による麻薬投与など特定状態では、週2回かつ月8回まで算定できる枠がある。
- 情報通信機器を用いた服薬指導は、居宅療養管理指導と同日に行う場合を除き、一定の回数制限の中で取り扱われ、加算が算定できない場面がある。
「算定できない施設 2024」で検索する読者が見落としがちなのは、“施設にいる=施設サービス”と短絡してしまい、重複算定(すでに別薬局が入っている)や、間隔ルール違反(6日以上)を誘発する点です。特にサ高住や住宅型有料など、入居形態が多様な領域では、入居者側の薬局契約がすでに存在することが多く、引継ぎをせずに開始すると高確率でぶつかります。
意外な落とし穴:引継ぎが必要なケースでも「上限回数は利用者単位」で管理されるため、引継ぎ月に前事業所がすでに算定していると、後事業所が同月に算定できず、現場の稼働だけが発生することがあります。2024留意事項でも、引継ぎを行い、上限回数を超えないよう調整することが求められています。
(権威性のある参考:介護保険最新情報 Vol.1213 で、2024(令和6)改定の施行時期や通知改正の枠組みが示される)
制度改正の根拠通知(令和6年3月15日、膨大な改正通知の束):https://www.mhlw.go.jp/content/001227724.pdf
居宅療養管理指導の情報提供・記録で算定できない(ケアマネ・身体的拘束等)
算定可否は「訪問したかどうか」だけでは決まりません。2024改定の留意事項では、運営面の要点として、ケアマネジャーへの情報提供の考え方、記録保存、身体的拘束等の扱いが具体的に記載されています。
まず、医師・歯科医師の居宅療養管理指導では、ケアプラン策定等に必要な情報提供はサービス担当者会議への参加が基本で、困難な場合は別紙様式等(メール、FAX等も可)で情報提供する整理が示されています。さらに、情報提供した要点を記載し、様式等を保存する運用が求められます。ここが弱いと「実態が居宅療養管理指導と言えるのか」という指摘につながり、結果として算定が否定されるリスクがあります。
次に重要なのが、身体的拘束等の考え方です。居宅療養管理指導の提供にあたり、緊急やむを得ない場合を除き身体的拘束等を行ってはならず、やむを得ず行った場合も態様・時間・心身状況・理由を記録し、保存年限(2年)といったルールが示されています。医療職が訪問現場で安全確保のために身体抑制に近い対応をしてしまうと、倫理面だけでなく「記録要件不備」という事務的な指摘にも直結します。
- ケアマネ連携:会議参加が基本、困難時は文書等で代替し、要点を記録・保存。
- 記録:薬剤服用歴等へ必要事項を記載(オンライン資格確認で得た薬剤情報等も含める旨が明文化)。
- 身体的拘束等:原則禁止、例外時は要件を満たし慎重に判断し、具体的に記録。
現場的な工夫:記録・連携の不足は「サービスの本体が提供されていない」と疑われやすいので、訪問後24時間以内に“ケアマネ向け要点3行”をテンプレで作り、FAX/メール送信→控え保存までをルーチン化すると、監査耐性が上がります。
(権威性のある参考:2024改定留意事項の「情報提供方法」「身体的拘束等の記録」「薬剤師の記載事項」)
運用・記録の明文化(抜粋だが要点が載る):https://www.care-news.jp/useful/reward/AFxiP
居宅療養管理指導 算定できない施設 2024の判断フロー(返戻・監査を避ける)
ここまでの内容を、現場でそのまま使える“判断フロー”にします。施設名が何であれ、最終的にチェックすべき論点は大きく4つです。
| チェック項目 | 確認のしかた | 算定できない/危険の例 |
|---|---|---|
| ①「居宅」かどうか | 契約形態(入所/居住)、介護保険上のサービス種別、施設の制度位置づけを確認 | 施設サービスの入所者に対して“居宅”として請求してしまう |
| ②他事業所の実施有無 | 利用者・家族、施設担当者、ケアマネに「今誰が居宅療養管理指導を算定しているか」確認 | 他医療機関/他薬局が現に実施中なのに新規で算定(原則非算定) |
| ③回数・間隔 | 月内の算定回数、6日以上ルール、特例(がん末期等)に該当するかを根拠とセットで管理 | 月2回以上なのに6日未満、上限超過、特例の誤適用 |
| ④記録・情報提供 | 薬剤服用歴/診療録への必要事項、ケアマネへの情報提供の証跡(控え) | 「訪問した」以外の根拠が弱く、実態否認・返戻の起点になる |
特に②と③は、施設の種類がどうであっても即アウトになり得る“赤信号”です。2024改定留意事項では、他事業所が現に実施している場合の非算定や、月2回以上の6日以上間隔、特定状態の週2回・月8回などが具体的に示されているため、ここは必ずルールベースで機械的にチェックできるようにしておくべきです。
おすすめ運用。
- 初回訪問前に「重複確認チェックシート(1枚)」を作り、利用者署名または家族同意の記録を残す。
- 月次で「算定回数カレンダー」を出力し、6日以上間隔が視覚的に確認できるようにする。
- ケアマネ宛の報告は、送付ログ(FAX送信票、メール送信履歴)を利用者ごとに保存する。
(根拠:他事業所実施時の非算定、6日以上間隔、週2回/月8回の特例等)
算定ルールの明文化(薬剤師の留意事項):https://www.care-news.jp/useful/reward/AFxiP
居宅療養管理指導 2024の独自視点:サ高住・囲い込み疑義と「情報の非対称性」
検索上位は「算定要件」「算定できない施設一覧」に寄りがちですが、2024年以降の現場で増えているのは、いわゆる“囲い込み疑義”の文脈で、算定自体よりも「なぜその事業所が選ばれたのか」「多職種連携が形式的ではないか」を見られる局面です。ここは制度文言だけでは語りにくい一方、監査・指導の場面では非常に効いてきます。
サ高住や住宅型有料などは、生活の場としては“居宅”に近く見えますが、入居者・家族は制度に詳しいとは限らず、施設側の案内に沿って薬局・医療機関が決まりやすい「情報の非対称性」があります。すると、次のようなリスクが生じます。
- 本人の選択プロセスが弱い:同意書はあるが、選択肢提示が形式的で、後からトラブルになる。
- 重複・引継ぎの不備:入居前から利用していた薬局の居宅療養管理指導が残っていて、算定がぶつかる。
- 情報提供が形骸化:ケアマネへの情報提供が「毎回同じ定型文」になり、ケアプランに資する情報になっていない。
2024改定留意事項では、医師・歯科医師の居宅療養管理指導で「必要に応じて社会生活面の課題にも目を向け、地域社会の支援につながるよう留意」「意思決定支援を行った場合は関連情報をケアマネ等に提供するよう努める」といった方向性が示されています。これは“算定の可否”を超えて、サービスの品質と説明責任を強化する流れと読めます。
あまり知られていない実務ポイント。
「算定できない施設」を回避できても、説明・同意・連携が弱いと、結果的に居宅療養管理指導の実施が“他のサービスの付け替え(単なる配達の延長)”と見なされやすくなります。監査対応としては、薬学的評価シートや報告様式を用いて、患者の状態変化・副作用疑い・服薬アドヒアランス・残薬・家族介護力など、ケアマネに意味のある情報を毎回1つでも入れる運用が有効です。
(権威性のある参考:意思決定支援、社会生活面の課題、情報提供の方法などの方向性)
医師・歯科医師の情報提供や意思決定支援の留意:https://www.care-news.jp/useful/reward/AFxiP

居宅療養管理指導マニュアル 第2版