公費負担者番号と調べ方
公費負担者番号 調べ方:受給者証のどこを見るか
公費負担者番号は、厚生労働省の番号設定要領で「法別番号2桁+都道府県番号2桁+実施機関番号3桁+検証番号1桁」の合計8桁と定義されています。
この8桁は、患者さんが提示する受給者証(医療証)に印字されているのが原則で、医療機関・薬局側はまず券面を確認するのが最短です。
現場で迷いやすいのが「公費負担者番号」と「受給者番号」の取り違えです。
参考)https://www.mhlw.go.jp/topics/2008/03/dl/tp0305-1az_0004.pdf
受給者番号は別に7桁(受給者区分6桁+検証番号1桁)で設定されるため、8桁と7桁をセットで確認する運用が多い点を押さえると事故が減ります。
受給者証が複数ある患者さん(例:自治体助成+国の公費など)の場合、券面に複数制度の情報が並ぶことがあります。
参考)https://www.ssk.or.jp/seikyushiharai/chitan/index.files/pamph_r02_06.pdf
このとき「公費①」「公費②」のどちらに載るべきかは請求・審査の運用に影響し得るため、提示された証の制度名と番号欄をペアで控えるのが安全です。
公費負担者番号 調べ方:法別番号・都道府県番号の見分け方
8桁の先頭2桁は「法別番号」で、制度種別ごとに定められています。
同じ資料の別表では、生活保護法による医療扶助が「12」、結核患者の入院が「11」、精神通院医療が「21」など、代表的な法別番号が体系的に示されています。
3〜4桁目は「都道府県番号」で、別表2として都道府県ごとのコード(例:大阪は27)が整理されています。
つまり、受給者証が手元にない状況でも「制度が何か」「都道府県がどこか」が分かると、番号確認の会話(患者さん・家族・自治体窓口)をかなり短縮できます。
5〜7桁目は「実施機関番号」で、制度の主管行政庁または実施機関が設定するとされています。
ここが自治体助成でややこしくなるポイントで、同じ都道府県内でも市町村や事業ごとに実施機関番号が違い、受給者証の券面確認が最終的に必要になりやすい部分です。
意外に役立つ小技として、自治体が「福祉医療の公費負担者番号一覧」を公開しているケースがあり、制度名と番号を照合できます。
例えば西宮市は福祉医療の公費負担者番号を制度別に掲載しており、問い合わせ前の事前確認に使えます。
公費負担者番号 調べ方:処方箋・レセプト記載から逆引きする
薬局では、処方箋の左上欄に公費負担情報が記載されている場合があり、これが公費負担の証明として扱われる運用があると解説されています。
患者さんが受給者証を忘れた場面でも、処方箋に番号が載っていれば窓口での一次確認材料になり得ます。
医療機関側での「調べ方」として現実的なのは、レセプト(診療報酬明細書)の公費欄の記載ルールを理解し、過去月の請求データから同一患者の公費情報を確認することです。
参考)http://www.kanagawa-kokuho.or.jp/hoken/pdf_h17/h17_05.pdf
神奈川県国保連の資料でも、公費負担者番号(8桁)と受給者番号(7桁)を所定欄に記載する旨が明記されています。
「月の途中で公費負担者番号や受給者番号が変更になった場合は、明細書を分ける必要がある」など、運用上の落とし穴も厚労省の記載要領に示されています。
つまり、過去レセプトから番号を拾うときは“いつの月の番号か”を必ず確認しないと、番号自体は合っていても適用期間違いで返戻につながるリスクがあります。
また、支払基金の「医療費助成事業のレセプト請求例」では、国の公費がある場合に「公費負担者番号②」に記載されるなど、番号の置き方(①か②か)の例示があります。
院内で「公費はとりあえず①に入れる」などの慣習がある場合でも、助成の種類次第で記載位置が変わり得る点を、チェックリスト化しておくと事故予防になります。
公費負担者番号 調べ方:検証番号で入力ミスを見抜く(独自視点)
公費負担者番号の末尾1桁は「検証番号」で、厚労省の要領に計算方法(2と1を交互に乗じ、和を取り、10との差を取る)が示されています。
この仕組みは、番号の打ち間違い(桁抜け・入れ替え)を“目視ではなく規則で”検出するための設計で、医事会計の入力精度を上げるために地味に重要です。
現場での実装としては、電子カルテやレセコンの入力画面でチェックデジット検証が自動なら理想ですが、そうでない場合も「末尾が検証番号である」事実を知っているだけで再確認の動機になります。
例えば「患者さんが電話で番号を読み上げた」「FAXが潰れて読みにくい」などの状況では、末尾1桁が機械的に整合しない可能性が高く、受給者証の再提示依頼につなげやすくなります。
さらに、医療事務の教育観点では「8桁=制度+地域+実施機関+検証」という構造理解が、単なる暗記よりも定着しやすいです。
入力担当が変わってもエラー率が下がるため、引き継ぎ資料に“番号の意味”と“どこで確認するか”をセットで書くのが有効です。
最後に個人情報の観点として、公費負担者番号は受給者を直接特定しないとはいえ医療関連情報の一部として取り扱われるため、院内の連絡票やメモに残す場合は運用ルール(保管・廃棄・アクセス制限)を決めておくと安全です。
参考)https://www.ppc.go.jp/files/pdf/04_kenpo_QA_taishouhyou.pdf
受給者証の券面確認、処方箋・レセプトからの参照、法別番号と都道府県番号の理解、検証番号でのミス検出の4点を押さえると、「公費負担者番号が見つからない」場面の対応速度と正確性が上がります。
制度の定義(8桁の構造・法別番号表・都道府県番号表)の一次資料。
厚生労働省:保険者番号、公費負担者番号、公費負担医療の受給者番号等の設定要領(PDF)
公費の記載位置(公費①・公費②の扱い)を請求例で確認できる資料。
