セイヨウオトギリソウ納豆とワルファリン相互作用

セイヨウオトギリソウ納豆

この記事の概要(医療従事者向け)
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結論:同時に語るべきは「2系統の相互作用」

セイヨウオトギリソウ(SJW)はCYP3A4などを誘導して薬効を弱める一方、納豆はビタミンK(特にMK-7)でワルファリン作用を弱めます。別ルートで同じ方向(減弱)に働くため、リスク説明が重要です。

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現場で効く:確認すべき薬剤群

免疫抑制薬、ジゴキシン、テオフィリン、ワルファリン、経口避妊薬などはSJWで効果減弱が報告され、納豆はワルファリンで特に問題になります。併用中止の自己判断も危険です。

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指導のコツ:食品・サプリの“名前”を患者語で拾う

「ハーブ」「気分」「眠り」「サプリ」「健康食品」など曖昧表現の中にSJWが紛れます。納豆も「毎朝1パック」の習慣として固定化しやすく、問診で頻度・量・継続性を具体化します。

セイヨウオトギリソウ納豆と相互作用の全体像

医療従事者が「セイヨウオトギリソウ納豆」という狙いワードを見たとき、最初に整理したいのは“相互作用が二重に重なる可能性”です。セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート、SJW)は、薬物代謝酵素の誘導により複数薬剤の効果を減少させることが知られており、厚生労働省の注意喚起でもインジナビル、ジゴキシンシクロスポリンテオフィリンワルファリン経口避妊薬などで効果減少が報告されています。

セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)と医薬品の相互作用について

一方、納豆はビタミンK(食事由来+納豆菌の影響)によりワルファリン作用を弱めうる、という日本語の公的情報が複数あります。例えば前橋市の解説では、納豆の摂取により納豆菌が腸内でビタミンKを作る働きが強く、ワルファリンの作用が弱まる旨が明記されています。

薬と飲食物などの相互作用|前橋市
薬と健康食品・食品を併用すると薬の作用が弱くなって期待する効果が得られなかったり、強くなって思わぬ副作用を引き起こすことがあります。

ここで重要なのは、SJWと納豆が「どちらもワルファリンを弱める方向に働きうる」という点です(機序は別)。ワルファリン患者では、食習慣の納豆と、気分・睡眠など目的で始めがちな健康食品のSJWが“無自覚に合流”するシナリオがあり、外来・薬局双方で拾い上げが必要になります。

また、上位サイトの説明だけでは見落としがちですが、SJWはCYP誘導だけでなくP-糖タンパク質(P-gp)にも影響し得ることが示されています。健常者でSJWがP-gp発現と排出機能を増強したという報告があり、CYP3A4以外の機序でも薬物相互作用が増幅し得る点は、医療者向けの説明で“意外なポイント”として差別化できます。

St Johns wort increases expression of P-glycoprotein: implications for drug interactions - PubMed
SJW increased expression and enhanced the drug efflux function of the multi drug transporter P-glycoprotein in PBMCs of ...

セイヨウオトギリソウ納豆とワルファリンの注意点

ワルファリン服用中の納豆については、「時間をずらせばよい」という誤解が現場で残りやすい論点です。しかし、納豆の影響は摂取後に数日続く可能性がある、という注意喚起が国内薬剤師向け相談サイト等でも繰り返し強調されています(“ずらしてもだめ”という表現が患者行動を止める上で強い)。

公益社団法人 静岡県薬剤師会 公式サイト
公益社団法人 静岡県薬剤師会公式サイトです。薬と健康に関する様々な情報を提供していくことで、皆様のお役に立ちたいと考えています。

納豆の主要なビタミンK2としてメナキノン-7(MK-7)が挙げられ、摂取により血中MK-7が上昇し得ることを扱った研究もあります。例えば、ワルファリン依存患者を対象に“低MK-7納豆”を試験した臨床報告では、通常納豆は避けるべきという前提が明確に書かれています(低MK-7という特殊条件で検討していること自体が、通常品のリスクの裏返しです)。

Just a moment...

一方、SJWは厚生労働省の資料でワルファリンの効果減少が報告されており、単体でも注意対象です。

セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)と医薬品の相互作用について

つまり「セイヨウオトギリソウ納豆」の話題は、“同じ薬(ワルファリン)に対して食品と健康食品が別機序で減弱方向に働く”という、服薬指導の典型的な落とし穴を象徴します。

実務上のアプローチとしては、患者説明を「禁止・制限」だけで終わらせず、代替案(納豆の代わりに大豆食品をどうするか、気分目的のサプリをどうするか)まで提案すると離脱が減ります。納豆が“発酵大豆”という文化的習慣である点を踏まえ、食卓の実装レベル(朝食・常備・家族同居)での現実的な対応策に落とすのがポイントです。

セイヨウオトギリソウ納豆とCYP3A4・P-gpの機序

SJWの相互作用機序は、患者向け説明だと「薬が効きにくくなる」で終わりがちですが、医療者向け記事では“どこで何が起きるか”を言語化すると判断が速くなります。厚生労働省資料では、SJW摂取によりチトクロームP450(特にCYP3A4およびCYP1A2)が誘導されることが知られている、と明記されています。

セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)と医薬品の相互作用について

さらにPMDAの患者向けQAでも、SJW含有の健康食品は薬の効果を弱めることがあり、併用時は医師・薬剤師へ相談すること、そして“すでに併用している場合に急に中止すると薬の効果が強まって好ましくない症状が出るおそれ”がある点まで踏み込んでいます。

Q1 セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ、SJW)を含む健康食品を摂取したいと思いますが、何か気をつけることはありますか。
医薬品・医療機器・再生医療等製品の承認審査・安全対策・健康被害救済の3つの業務を行う組織。

ここは現場で非常に重要で、相互作用は「併用開始」だけでなく「中止」でも問題になり得ます。患者が“良くないと聞いたから今日からやめた”と自己判断すると、誘導が解除されて薬物濃度が上がり、逆方向の有害事象につながるリスクがあります(特に治療域の狭い薬剤では看過できません)。

Q1 セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ、SJW)を含む健康食品を摂取したいと思いますが、何か気をつけることはありますか。
医薬品・医療機器・再生医療等製品の承認審査・安全対策・健康被害救済の3つの業務を行う組織。

意外性のある補強として、SJWがP-gpにも影響し得る点を押さえておくと、相互作用の説明が立体的になります。健常者でSJWがP-gp発現と排出機能を増強したという報告は、CYP誘導だけでは説明できない相互作用の大きさを補う機序として位置づけられています。

St Johns wort increases expression of P-glycoprotein: implications for drug interactions - PubMed
SJW increased expression and enhanced the drug efflux function of the multi drug transporter P-glycoprotein in PBMCs of ...

この観点を入れると、例えば「同じCYP3A4基質でも、吸収や排出の要因で影響の出方が違う」ことをチームで共有しやすくなり、疑義照会の質が上がります。

セイヨウオトギリソウ納豆と服薬指導のチェック項目

患者対応で重要なのは、「セイヨウオトギリソウ」と言われてもピンと来ないケースが多いことです。PMDAが“いわゆる健康食品”という表現を使っている通り、患者は製品名(サプリ名、海外製品名、ブレンドハーブ名)で認識しており、成分としてSJWが入っているかを自力で判断できないことがあります。

Q1 セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ、SJW)を含む健康食品を摂取したいと思いますが、何か気をつけることはありますか。
医薬品・医療機器・再生医療等製品の承認審査・安全対策・健康被害救済の3つの業務を行う組織。

したがって、問診は「セントジョーンズワート飲んでますか?」のYes/Noで終えず、以下のように“患者語”で広く拾ってから成分確認に落とす設計が有効です。

✅ 確認テンプレ(外来・薬局共通)

さらに、患者の行動に落とすときは「禁止の根拠」を短く言語化し、同時に“相談窓口”を提示すると遵守率が上がります。PMDAが示すように、服用中にSJWを摂取しようとするときは医師・薬剤師に相談する、という導線を明確にするのが安全です。

Q1 セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ、SJW)を含む健康食品を摂取したいと思いますが、何か気をつけることはありますか。
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セイヨウオトギリソウ納豆と独自視点:中止リバウンドと食文化

検索上位の多くは「併用すると効かない」「避けましょう」で止まりますが、医療現場で厄介なのは“中止リバウンド”と“食文化の固定性”が重なる点です。PMDAは、すでに併用している場合にSJW摂取を急に中止すると医薬品の効果が強まって好ましくない症状が出るおそれがある、と明確に注意しています。

Q1 セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ、SJW)を含む健康食品を摂取したいと思いますが、何か気をつけることはありますか。
医薬品・医療機器・再生医療等製品の承認審査・安全対策・健康被害救済の3つの業務を行う組織。

ここを“独自視点”として深掘りすると、患者安全に直結する実務知が見えてきます。

たとえば、納豆は「体に良い」「腸に良い」という確信が強く、家族単位で常備されがちです。ワルファリン患者が納豆を我慢できずに“たまに食べる”運用にしてしまうと、PT-INRが不安定になり得ますし、納豆の影響が数日続く可能性があるなら、たまの摂取でも波を作る要因になります。

公益社団法人 静岡県薬剤師会 公式サイト
公益社団法人 静岡県薬剤師会公式サイトです。薬と健康に関する様々な情報を提供していくことで、皆様のお役に立ちたいと考えています。

一方、SJWは季節性(気分の落ち込み、生活の変化)やSNSの流行で導入され、医療者に申告されないまま継続されることがあります。厚生労働省やPMDAが挙げるように影響を受ける薬剤群は広く、ワルファリン以外でも治療成績を落とし得るため、チーム医療での情報共有が必要です。

https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1205/h0510-1_15.html https://www.pmda.go.jp/safety/consultation-for-patients/on-drugs/qa/0019.html

この2つが同時に起きると、患者は「納豆はやめた(つもり)」「サプリもやめた(急に)」という“善意の自己調整”をしがちで、結果として抗凝固の過不足や他剤の血中濃度変動が読みにくくなります。だからこそ、医療者は「始めたら相談」「やめる時も相談」という双方向のメッセージを強調し、PMDAの注意喚起に沿って自己判断を避けるよう促すことが合理的です。

Q1 セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ、SJW)を含む健康食品を摂取したいと思いますが、何か気をつけることはありますか。
医薬品・医療機器・再生医療等製品の承認審査・安全対策・健康被害救済の3つの業務を行う組織。

(参考:日本語で権威性が高く、患者指導文面にも転用しやすい)

SJWで影響を受けうる薬剤群・中止時の注意(患者向けQA):https://www.pmda.go.jp/safety/consultation-for-patients/on-drugs/qa/0019.html
ワルファリンと納豆の代表的相互作用(自治体の患者向け解説):https://www.city.maebashi.gunma.jp/soshiki/kenko/hokensomu/gyomu/1/3/1/4016.html
SJWの注意喚起と報告薬一覧(公的注意喚起):https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1205/h0510-1_15.html