薬局の業務日誌と記載事項の管理帳簿

薬局 業務日誌 記載事項

薬局の業務日誌(管理帳簿)を「守れる形」にする要点
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まずは根拠を押さえる

業務日誌(管理帳簿)は「薬局の管理に関する事項」を記録する帳簿で、試験検査・不良品処理などを記載し、最終記載日から3年保存が必要です。

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空欄が最大のリスク

記載がない日は「なし/該当なし」と明示し、代行者が記載した場合は管理者が翌出勤日に確認する運用が現実的です。

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監査目線で設計する

後追いで説明できるように、温度・廃棄・不良品・事故対応など「管理行為の証拠」を残すと、指摘の芽を事前に摘めます。

薬局の業務日誌 記載事項の根拠と管理者

 

薬局の業務日誌(いわゆる管理帳簿)は、「薬局の管理に関する事項を記録するための帳簿」を備えることが求められ、管理者が試験検査・不良品の処理などを記載し、開設者が最終記載日から3年間保存する枠組みで整理されます。これは厚生労働省資料に示される薬事法施行規則(当時)の規定(第十一条の二)として明記されています。

また、管理者の義務として「従業者の監督」「構造設備および医薬品等の物品管理」「業務に必要な注意」が挙げられ、帳簿は“業務を管理した証拠”として機能します。日誌は単なる作業メモではなく、管理薬剤師(管理者)が実地管理した事実を後から説明できる形で残す書類、と位置付けると運用がブレません。

ここで重要なのは「何を書いたか」だけでなく、「管理者が管理していたことが読み取れるか」です。例えば在庫の異常や廃棄・回収の対応、設備トラブル時の判断など、管理者判断が介在する出来事は、後日説明に耐える情報量で残しておくほど防御力が上がります。

(参考リンク:業務日誌(管理帳簿)の根拠条文(薬事法施行規則の抄)と、管理者の義務・帳簿の保存の考え方が確認できます)

厚生労働省:管理薬剤師等の責務の内容等について

薬局の業務日誌 記載事項の具体例と管理帳簿

実務で「記載事項」を具体化すると、まず核になるのは、試験検査、不良品の処理、その他“薬局の管理に関する事項”です。群馬県の資料では、温度だけ・処方箋枚数だけといった単機能記載に偏る例が「典型的な不適切例」として示され、管理薬剤師として実施した管理業務を毎日記録する発想が強調されています。

日誌に入れやすい具体例は、次のように「管理として意味がある単位」で揃えると、書く側が迷いません。

  • 🌡️ 温度・設備:冷蔵庫温度(逸脱時は原因・一次対応・再発防止)、分包機や監査機器の点検、停電・通信障害時の対応。
  • 📦 物品・在庫:不良品の発見、期限切迫品の扱い、回収情報の受領と棚の確認、廃棄の実施(誰が、何を、どの基準で)。
  • 🧪 試験検査:試験検査を行った事実、結果の確認(「未実施なら未実施」と明示する方が整合的)。
  • 🧯 インシデント:誤調剤未然防止、苦情、ヒヤリ・ハットの共有、是正措置(“何を変えたか”まで)。

ここでのコツは、「今日何があったか」より「今日、管理として何を確認・判断したか」を軸にすることです。結果として監査や立入時に、管理の連続性(毎日見ている、変化があれば反応している)が読み取れる帳簿になります。

(参考リンク:管理帳簿で“空欄にしない”こと、代行者運用、典型的不適切例など、現場でそのまま改善に使える要点がまとまっています)

https://www.pref.gunma.jp/uploaded/attachment/44405.pdf

薬局の業務日誌 記載事項のなしと該当なし

多忙な現場で最も起きやすい失点は、「何もなかった日」を空欄にしてしまうことです。群馬県の資料では、記載する内容が無い場合でも「該当なし」または「なし」と記載し、空欄にしない運用が明確に示されています。

この“なし運用”は、監査対応の観点で合理的です。空欄は「記載漏れ」「そもそも確認していない」「後でまとめて書いたのでは」と疑念を招きやすい一方、「なし」は「確認したが該当事象が無かった」という意思表示になります。

運用例としては、チェックボックス方式(例:温度確認☑、期限確認☑、回収確認☑、クレーム対応なし)と短い自由記載(逸脱・例外のみ書く)を組み合わせると、毎日続けやすく、かつ空欄を防げます。さらに「なし」を多用する日が続いた場合でも、管理の“定点観測”が継続していること自体が記録としての価値になります。

薬局の業務日誌 記載事項の代行者と押印

管理者が不在になり得る薬局では、「代行者」が管理帳簿を記載し、管理者が翌出勤日に内容を確認して押印する運用が、具体例として示されています。これは“管理者が不在でも管理が継続していた”ことを、記録上つなぐための設計です。

重要なのは、代行者が書くこと自体ではなく、管理者が後追いで追認する仕組みが帳簿に残ることです。例えば、代行者欄(記載者)と管理者欄(確認者)を分け、例外(温度逸脱・不良品・クレーム等)があった日は、管理者が必ず追加コメント(判断と指示)を入れるルールにすると、管理の責任線が視覚化できます。

また「忙しいから他の職員に記載させている」だけで管理者の確認痕跡がない状態は、資料上も不適切例として扱われています。代行者運用は“委任”ではなく“記録の補助”であり、最終的な管理の説明責任は管理者側に残る、という整理で制度と実務が噛み合います。

薬局の業務日誌 記載事項の独自視点と不良品の処理

検索上位の解説では「条文の要約」や「保存期間」に寄りがちですが、実務で差が出る独自視点は、“不良品の処理”を「品質」だけでなく「情報の履歴」として残す設計です。業務日誌の記載事項は不良品の処理を含むとされるため、単に「廃棄した」で終えるより、発見の経緯と判断の根拠(期限・外観・回収情報・温度逸脱の有無)まで紐づけると、説明力が上がります。

例えば、次のように“1行テンプレ”を作ると、現場負担を増やさずに情報価値だけ上げられます。

  • 🧾 不良品メモ(例):品名/ロット/発見理由(外観・期限・回収等)/隔離場所/卸へ連絡日時/対応(返品・廃棄)/患者交付の有無(有なら追跡開始)

この書き方が効くのは、「あとから監査官に見せるため」だけではありません。内部的にも、同じタイプの逸脱(温度逸脱→外観変化→廃棄など)が繰り返される兆候を拾いやすくなり、設備更新や手順変更の意思決定に使える“管理データ”へ変わります。

さらに意外に見落とされがちなのが、「問題が起きなかった根拠」も管理の成果だという点です。日誌が“事件簿”になってしまうと、書くほど職員が萎縮しますが、「未発生の確認(なし)」と「発生時の処置」を同じフォーマットに載せると、日誌が現場を守る道具として機能しやすくなります。


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