突合点検とは 薬局
突合点検とは 薬局での定義とレセプト審査の仕組み
突合点検は、同一患者・同一診療(調剤)月の医科(歯科)レセプトと調剤レセプトを電子的に照合し、医科(歯科)側の傷病名と、調剤側の医薬品の「適応」「投与量」「投与日数」等を点検して審査委員会で審査決定する仕組みです。
ここで重要なのは、「薬局の調剤レセプトだけ」を見て判断されるのではなく、医科(歯科)レセプトの病名情報とセットで適否が評価される点で、院内処方と同じ観点に寄せる目的で運用されています。
医療機関側の実務解説でも、突合点検(突合審査)は「院外処方を行ったレセプトと調剤レセプトの傷病名が合っているか」「適応のない医薬品が処方されていないか」を突き合わせる、と整理されています。
このため薬局は「処方せんに書かれているから大丈夫」だけでは守り切れず、審査の入口(病名の載り方、レセプト上の整合、疑義照会の結果反映)まで視野に入れた請求設計が必要になります。
参考)突合点検・縦覧点検ー医療機関・薬局の皆様ー|社会保険診療報酬…
一方で、突合点検は医療の質を否定するための制度というより、保険診療ルールに照らした支払の適正化のための審査手法である、という前提も押さえておくと対策の優先順位がつけやすくなります。
突合点検とは 薬局で縦覧点検と査定・返戻の違い
支払基金の整理では、突合点検が「医科(歯科)レセプトと調剤レセプトの照合」なのに対し、縦覧点検は「同一医療機関・同一患者の当月と過去複数月(直近6か月等)のレセプトを照合して回数などを点検」する仕組みです。
つまり、突合点検は“医科と調剤の横断”、縦覧点検は“時間軸での整合(複数月のルール確認)”が中心で、狙われる論点が変わります。
また「返戻」と「査定」も混同しがちですが、返戻は記載不備等で判断不能なため差し戻しになり、修正して再請求するため支払が遅れるのが基本です。
査定は、保険診療ルール上不適当と判断され、請求自体が認められない・減点される扱いで、東京都医師会資料では突合点検によるものは査定記号「T」として説明されています。
薬局目線の実務で言うと、返戻は「形式の穴(入力や記載)」、突合点検由来の査定は「内容の整合(病名―薬剤の関係)」で起きやすい、と切り分けると現場教育が回しやすくなります。
特に突合点検は、病名の“付け忘れ”や“転記されない”といった医療機関側の事情が薬局に波及し得るため、連携設計が最初から組み込まれている薬局ほど強いです。
突合点検とは 薬局で責別確認と処方せん写し提出の流れ
支払基金の説明では、突合点検で医薬品が査定となった場合、査定後の決定点数に基づいて請求することになり、まず当月請求分の支払額から調整せずに診療報酬・調剤報酬を支払う運用が示されています。
そのうえで、突合点検の査定結果は医療機関に連絡され、医療機関から「処方せん内容と不一致」と申し出があった場合、支払基金が薬局から処方せんの写しを取り寄せる流れが明記されています。
そして、処方せんの内容が不適切だったのか、薬局が処方せんと異なる調剤を行ったのかを確認する「責別確認」を行い、原則として請求翌々月に医療機関または薬局の支払額から調整(減額)されます。
この流れを現場運用に落とすと、薬局にとっての“危険な瞬間”は、査定そのものより「処方せん写しの提出を求められる局面」です。
処方せん原本は薬局側の保管物であり、写し提出が必要になったときに、処方内容・変更履歴・疑義照会の根拠が一貫して説明できないと、責別確認で不利になり得ます。
また東京都医師会の解説では、突合した結果が適応外等で不適切と判断された場合、調剤薬局が購入し処方した薬剤であったとしても、院外処方箋を発行した医療機関が減点されるケースがあると明記されています。
この記載は「薬局は関係ない」という意味ではなく、責別確認で処方側に責が帰する余地がある一方、薬局側の調剤行為が処方せんと不一致なら薬局側調整になり得る、という“両にらみ”の構造を示しています。
突合点検とは 薬局でよくある不一致と疑義照会・コメントの実務
突合点検が見に行く論点は、支払基金の定義上「傷病名」と「医薬品の適応・投与量・投与日数」の整合です。
したがって現場で起きやすいのは、(1) そもそも医科レセプト側に適応病名が載っていない、(2) 病名はあるが“月”がズレる、(3) 適応はあるが用量・日数の解釈で引っかかる、の3系統です。
薬局で即効性が高い対策は、疑義照会を「安全のため」だけで終わらせず、「突合点検に耐える情報の固定化」として運用することです。
疑義照会の結果、処方変更(用量・日数・剤形等)が発生した場合は、薬歴だけでなく処方せん上の記載・薬局側の記録の整合を意識し、後日の写し提出でも“変更が正当だった”と説明可能な形に寄せます。
さらに、医療機関との連携として「当該薬剤に必要な病名がレセプトに載る運用か(疑い病名、検査病名、転帰)」をすり合わせるだけで、突合点検由来のロスは現実的に減らせます。
医師会の解説にある通り、審査は療養担当規則や点数表、薬事承認事項、関連通知等に従って適正かが見られるため、薬局側が“医学的に妥当”を主張するだけでは勝ち切れず、保険ルールに沿った説明が鍵になります。
ここで意外に効くのが、薬局内の「調剤録・薬歴・疑義照会記録」の書き分けを統一することです。
突合点検はレセプトというデータを入口に進むため、内部記録が整っていても、外に出す写し(処方せん)と筋が通らなければ評価されにくいという“書類の一貫性問題”が起こり得ます。
突合点検とは 薬局での独自視点:データ品質と電子レセプト時代の再発防止
突合点検は、医科(歯科)と調剤レセプトを「電子的に照合」して行う点検として説明されており、制度の性格上、データの揺れ(表記ゆれ、入力差、月ズレ)が結果に影響しやすい構造です。
この“データ品質”の観点は検索上位の一般解説では薄くなりがちですが、実務では再発防止の最短ルートになります。
例えば、薬局側の対策を「知識」ではなく「仕組み」に落とすなら、次のように運用を設計すると強いです。
・レセコン入力の最終チェックを、薬剤単位ではなく「病名が要りそうな薬(適応が狭い、高薬価、用量がセンシティブ)」のリストでトリガー化する(人の勘に依存しない)。
・疑義照会の結果が処方変更に至った場合、「処方せんの記載」「調剤録」「薬歴」の3点が同じ結論になるよう、テンプレ文を決めて揺れを減らす(後日の責別確認で説明が割れない)。
・医療機関に依頼する病名確認を、個別の電話依頼で終わらせず、「この薬はこの病名が載っていないと突合点検で落ちやすい」という“ルール辞書”として共有し、異動・世代交代でも運用が残るようにする。
また、突合点検では審査委員会で審査決定することが明記されており、完全自動ではなく、人の判断も介在します。
だからこそ、再審査や説明の局面に備えて「誰が見ても追える記録(理由、根拠、変更点)」を残すことが、単なる事務対策ではなく、薬局の臨床的な説明責任の強化にもつながります。
参考:突合点検の定義(傷病名と適応・投与量・投与日数、責別確認の流れ)を一次情報で確認できる
突合点検・縦覧点検ー医療機関・薬局の皆様ー|社会保険診療報酬…
参考:査定記号「T」(突合点検)や返戻・査定の整理が実務目線で確認できる
https://www.tokyo.med.or.jp/doctor/practicing_docs/general/01-13

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