向精神薬加算 複数の算定要件と注意点

向精神薬加算 複数の算定

向精神薬加算 複数の要点

「1調剤」が単位

向精神薬加算は「1剤」ではなく「1調剤行為」ごとに考えます。日数変更や分割で“複数調剤”になると回数が変わります。

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同一調剤内の“複数”は原則1回

同一調剤に向精神薬+毒薬など複数の規制薬が入っても、加算は原則いずれか1回です。

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多剤投与の減算と混同しない

「向精神薬加算」と「向精神薬多剤投与(減算・報告)」は別制度です。処方側のルールもセットで確認が必要です。

向精神薬加算 複数の算定要件と点数

 

向精神薬加算は、調剤報酬の「麻薬等加算(麻薬・向精神薬・覚醒剤原料毒薬)」の枠組みに属し、向精神薬が含まれる処方を調剤した場合に算定されます(麻薬が含まれない場合の点数体系に位置づく)。

実務の第一歩は「対象薬剤かどうか」を確実に判定することですが、向精神薬の該当は法令の別表(麻薬及び向精神薬取締法の別表)に依拠して運用されるため、“添付文書の効能”より「規制区分」で見誤らないことが重要です。

また、算定単位は「1調剤」なので、同じ患者・同じ受診日でも、調剤行為が分かれれば加算の回数が変わり得ます(ここを「1処方」「1枚の処方箋」と誤認すると算定ミスの温床になります)。

【現場チェック(例)】

向精神薬加算 複数の調剤と「1調剤」分割の落とし穴

「複数」の論点で最も多いのは、残薬調整・日数変更・処方内容変更などで、結果的に“1枚の処方箋が複数調剤として扱われる”ケースです。

このとき麻薬等加算は「1調剤ごと」に算定できるため、服用時点が同じでも投与日数が異なるなどで調剤が分かれれば、加算の回数が増えることがあります(患者負担が増える可能性もあるため説明が必要になりやすい)。

逆に言えば、「複数の向精神薬が入っているから複数回」という理解は誤りで、回数を決める主語は“薬の数”ではなく“調剤行為の数”です。

【落とし穴の典型】

  • ⚠️ 残薬調整で一部のみ日数短縮 → 2調剤扱いになり加算回数が変動し得る​
  • ⚠️ 患者説明なしで負担増 → クレームよりも「返戻・査定リスク」だけでなく信頼低下につながる(運用ルール化推奨)​
  • ⚠️ 医師側は処方箋1枚の感覚、薬局側は調剤行為単位 → 連携ミスが起きやすい(疑義照会の論点を事前共有すると減る)​

向精神薬加算 複数の規制薬(麻薬・毒薬)重複時の考え方

同一の「1調剤」に、麻薬・向精神薬・覚醒剤原料・毒薬が“複数”含まれる場合、加算は原則として「いずれかの加算を1回のみ算定」と整理されています。

したがって、「向精神薬も毒薬も入っているから8点×2回」のような発想は基本的に取れず、どの区分が含まれるかに応じて算定は1回に収束します(麻薬が含まれるなら麻薬加算側の点数体系になる)。

さらに、同一薬剤が重複した規制(例:複数の規制区分に該当)を受ける場合も、考え方は同様に“二重取りはしない”方向で整理されるため、薬品マスタ更新や疑義解釈の確認が監査対策として重要です。

【ミスが出やすいポイント】

向精神薬加算 複数と向精神薬多剤投与(減算・報告)との違い

「向精神薬加算(調剤側)」と「向精神薬多剤投与(処方側の減算・報告)」は、名前が似ていても別の制度なので、同じ“複数”でも意味が違います。

向精神薬多剤投与は、1回の処方において抗不安薬・睡眠薬・抗うつ薬・抗精神病薬などが一定種類数以上になった場合を指し、処方料や処方箋料の点数が減算となる運用が示されています。

また、地方厚生局の案内では、向精神薬多剤投与を実施した場合に実施状況の報告が必要であることや、報告の頻度(四半期ごと)等が明記されています。

【混同を防ぐ整理】

向精神薬加算 複数の独自視点:監査で刺さる「説明可能性」と患者負担の設計

検索上位は「点数」「算定要件」に寄りがちですが、現場で“意外と効く”のは監査・返戻の局面で問われる「なぜ複数調剤になったのか」「なぜこの算定なのか」を一貫して説明できる設計です。

例えば残薬調整や日数変更によって麻薬等加算が複数回になり、結果として患者負担が増える可能性がある点は、解説記事でも注意として触れられており、説明を省略しない運用(窓口・薬歴の両面)がトラブル予防になります。

また、向精神薬多剤投与は“報告が必要”と明記されているため、医療機関側が制度運用に敏感なケースも多く、薬局側で「向精神薬加算(調剤)」と「多剤投与(処方)」を混同しない説明テンプレを持つことが、連携の摩擦を減らします。

【運用テンプレ(そのまま院内ルール化しやすい形)】