調剤管理加算 算定要件 2024 施設基準 薬歴 手帳

調剤管理加算 算定要件 2024

この記事の概要

算定要件を誤解しやすい点を先に整理

「複数医療機関」「6種類以上の内服薬」「初回/2回目以降の条件」「施設基準」の4点を、現場で判断できる形に分解します。

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薬歴・情報一元化の“書き方”まで具体化

薬剤服用歴に残すべき要点、オンライン資格確認や手帳情報の扱い方を、監査・返戻を意識して解説します。

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独自視点:薬局内KPIで算定を安定化

「手帳50%」「服用薬剤調整支援料1回/年」を“偶然クリア”から“再現性ある運用”に変える管理指標と運用例を紹介します。

調剤管理加算 算定要件 2024 複数医療機関 6種類以上 内服薬

 

調剤管理加算(3点)は、「複数の保険医療機関」から「合計6種類以上の内服薬」が処方されている患者(または家族等)に対し、服薬状況等の情報を一元的に把握して必要な薬学的管理を行った場合に算定する加算です。

ここで重要なのは、単に薬が多い患者ではなく、「複数医療機関」という条件が前提になる点です。

例えば、同一医療機関の複数科で6種類以上が出ていても、疑義解釈では算定不可と整理されており、受付時の“医療機関の数”の確認が最初の分岐になります。

また「内服薬6種類以上」のカウントは、頓服(屯服)は含めないことが明確で、錠剤・カプセル剤・散剤・顆粒剤・液剤は「1銘柄ごとに1種類」として計算します。

参考)https://pharmacist.m3.com/column/chouzai_santei/5977

この「1銘柄=1種類」の考え方は、同成分・同規格の剤形違い、配合剤への変更などが絡むと現場で混乱しやすいので、受付時に薬剤服用歴や手帳の記録と突合し、カウント根拠を残せる運用が安全です。

一元把握に使える情報源は、手帳、オンライン資格確認等で得られる診療情報・薬剤情報、薬剤服用歴、患者(家族)からの聴取情報が例示されています。

つまり、加算は「情報が揃っている患者に出す」ものではなく、「情報を揃える努力(収集・統合)を実施した」ことが評価の中心で、ここを業務設計に落とすと算定の再現性が上がります。

調剤管理加算 算定要件 2024 初回 2回目以降 変更 追加 タイミング

算定タイミングはシンプルに見えて落とし穴があり、初回は「初めて処方箋を持参した場合」に3点、2回目以降は「処方内容の変更により薬剤の変更または追加があった場合」に3点です。

この「2回目以降」の条件は、いつでも算定できるわけではなく、“処方変更・追加がある回のみ”なので、受付回ごとに判定ログが必要になります。

さらに留意事項では、2回目以降の「変更」の定義として、薬剤服用歴等が保存されている患者で、自薬局で調剤している内服薬について、内服薬の種類が変更した場合、または内服薬の種類数が1種類以上増加した場合、とされています。

ここで意外と見落とされるのが、「減薬」はこの条件に入りにくい(少なくとも“追加”ではない)ため、ポリファーマシーの改善を頑張った月ほど加算のトリガーが減る可能性がある点です(評価の主戦場は別項目に移る)。

また、同一薬効分類の有効成分を含む配合剤への変更や、内服薬以外への変更は「内服薬の種類が変更した場合」に含めない、と整理されており、単なる銘柄変更・剤形変更の扱いに注意が必要です。

現場運用としては、レセコン側の“変更フラグ”だけに頼らず、「何がどう変わったか(種類変更/種類増加)」を一言で説明できるように薬歴側に要点を残すと、後日の監査対応が安定します。

調剤管理加算 算定要件 2024 施設基準 服用薬剤調整支援料 手帳 50%

調剤管理加算は「算定したい患者が来たら即算定」ではなく、前提として“薬局側が施設基準(実績要件)を満たしていること”が重要です。

具体的には、施設基準として「過去1年間に服用薬剤調整支援料を1回以上算定した実績」を求める整理が示されており、直近算定日の翌日から翌年同月末日までを実績期間として扱える運用例も提示されています。

加えて、手帳については「3か月以内の再来局患者のうち、50%以上が手帳を提示している実績が必要」という説明があり、手帳活用が“努力目標”ではなく“算定可否に影響するKPI”として機能している点がポイントです。

この条件は、現場の声かけ・掲示・初回説明の質がそのまま“算定可否”に直結するため、受付フローに「手帳確認→未持参理由→次回持参の具体依頼」を組み込み、数字を作りに行く必要があります。

また、調剤管理加算は基準を満たしていれば届出不要と整理されている情報もあり、届出の有無で迷うより、実績管理(いつからいつまで基準を満たすか)を薬局内で可視化しておく方が実務的です。

たとえば、服用薬剤調整支援料を算定した日付を「算定可能期間」としてカレンダー管理し、管理薬剤師だけでなくスタッフ全員が確認できるようにすると、算定漏れ・算定不能の混在を減らせます。

調剤管理加算 算定要件 2024 薬歴 記載 薬学的分析 一元的把握

調剤管理加算は「一元的に把握し、必要な薬学的分析を行った」ことが核になるため、薬歴(薬剤服用歴)に“根拠が残る形”で記載するのが最重要です。

留意事項では、確認した服薬状況等の情報と薬学的分析の要点を薬剤服用歴等に記載すること、さらに調剤後も服用薬や服薬状況の情報を把握し必要に応じて処方医に情報提供することが求められています。

薬歴の書き方は、長文化よりも「何を確認し、何を評価し、何を判断したか」を短く固定化すると強いです。

具体例としては、次のような“要点フォーマット”が使えます(運用例のため文言は薬局に合わせて調整してください)。

  • 📌情報源:手帳+薬剤服用歴+患者聴取(必要に応じてオンライン資格確認情報も含む)​
  • 📌一元化結果:他院処方を含め内服薬○種類(頓服除外)/重複投薬・相互作用の一次チェック実施​
  • 📌薬学的分析:眠気・ふらつき等の副作用疑い、腎機能・年齢・転倒リスク等の観点でハイリスクを抽出(根拠は指針等を参照)​
  • 📌対応:服薬手順の調整、残薬確認、必要時は処方医へ情報提供(いつ・何を・どの手段で)​

さらに、薬学管理料の通則では、オンライン資格確認で取得した診療情報・薬剤情報等も含め、患者情報とそれを踏まえた薬学的管理・指導の要点を記載する枠組みが示されています。

参考)調剤管理加算とは?算定要件・点数や算定例を分かりやすく解説

監査で見られるのは「やったはず」ではなく「読めば追える」記録なので、テンプレの丸写しを避けつつ、判断プロセスが毎回残るような運用が現実的です。

調剤管理加算 算定要件 2024 独自視点 手帳 50% 実績 仕組み化

ここからは検索上位に出やすい“制度説明”ではなく、算定を安定させるための独自視点として、薬局内の運用設計(ミスが減る仕組み)に寄せて整理します。

調剤管理加算は3点と小さい一方、条件が「複数医療機関」「内服6種類以上」「初回/2回目以降の変更・追加」「施設基準(服用薬剤調整支援料の実績等)」「手帳50%」など複合で、属人的に判断すると算定漏れか過誤のどちらかが起きやすい構造です。

そこで、薬局内KPIを“2本”に絞って日々の行動へ落とすと、結果的に算定もポリファーマシー対応も安定しやすくなります。

  • ✅KPI1:手帳提示率(3か月以内再来で50%)を「達成状況」だけでなく「未持参理由の分類(忘れ/持ってない/アプリ不慣れ等)」まで見える化する​
  • ✅KPI2:服用薬剤調整支援料の算定日(=調剤管理加算の施設基準を満たせる期間の起点)を、管理薬剤師の頭の中ではなく、薬局の共有台帳で管理する​

たとえば、受付時に「複数医療機関×内服6種類以上」らしき患者を見つけたら、チェックリストで拾い上げ、次の行動を固定化します。

  • 🧩チェック1:手帳の有無(紙/アプリ)と、他院処方の有無を確認​
  • 🧩チェック2:内服カウント(頓服除外、1銘柄=1種類)​
  • 🧩チェック3:前回との差分(2回目以降なら“変更/追加”に該当するか)​
  • 🧩チェック4:薬歴へ「一元把握した情報」と「薬学的分析の要点」を記載​

意外と効く小ワザとして、患者の手帳忘れが続くケースでは「次回は“受付で最初に見せる”」という行動レベルまでお願いすると、提示率が上がりやすく、結果的に加算の土台が固まります。

制度は毎回変わり得る一方で、患者行動(忘れる・持参しない)は大きく変わらないので、数字が落ちる原因を“患者のせい”にせず、業務導線に吸収する発想が実務では強いです。

高齢者の副作用や多剤併用への注意は、制度上も参考資料の活用が促されており、特に「副作用の可能性の検討等」を行う際に各種指針やガイドライン等を参照する考え方が示されています。

実務では、薬歴に「どの観点でリスクを疑ったか(転倒、認知、腎機能、眠気など)」を一言添えるだけで、単なる“聞き取り”から“薬学的分析”に変わり、監査耐性も上がります。

有用:調剤報酬点数(調剤管理加算3点、調剤管理料など)を一覧で確認できる(令和6年10月1日以降)

https://www.nichiyaku.or.jp/files/co/pharmacy-info/2024/24.pdf

有用:令和6年度改定の背景(医療DX、体制評価見直し等)を厚労省資料で俯瞰できる(調剤の改定ポイントの理解)

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001238903.pdf

面白いほどよくわかる!調剤報酬 vol.2 調剤基本料編【令和6・7年度対応】【Newレイアウトver】 (面白いほどよくわかる!調剤報酬(令和6・7年度対応))