服薬指導英語と薬剤師とフレーズと例文

服薬指導英語とフレーズ

服薬指導英語の全体像
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まずは「用法用量」を短く

回数・タイミング・量・期間を一文で言い切ると、聞き取りに自信がない患者でも誤解が減ります。

次に「飲み忘れ」を必ずセット

Miss a dose は頻出。二重服用を避ける説明までセットで伝えるのが安全です。

最後に理解確認(Teach-back)

「分かりましたか?」より、患者の言葉で説明してもらうほうが誤解を拾えます。

服薬指導英語の食前と食後と食間の例文

 

服薬指導英語で最初につまずくのは、「食事との関係」をどう言い分けるかです。基礎は before meals(食前)/after meals(食後)/between meals(食間)ですが、「いつ・どれくらい前後か」まで具体化すると安全性が上がります。実務では“患者の生活の中で再現できる表現”に落とすのがコツです。

以下は、現場でそのまま使いやすい言い回しです(薬名は入れ替えて運用します)。

  • 食前:Please take this medicine 30 minutes before meals.(食事の30分前に)

    参考)【第5回】知っておくと安心な英語表現!薬剤師がよく使う服薬指…

  • 食前(毎食を強調):You should take this medicine before each meal.(毎食前に)​
  • 食後(毎食):Take one tablet after each meal.(毎食後に1錠)​
  • 食後(直後を強調):Take it immediately after meals.(食直後に)​
  • 食前(直前を強調):Take immediately before meals.(食直前に)​
  • 食間:Please take it between meals.(食間に)​
  • 就寝前:Take it at bedtime.(寝る前に)​
  • 空腹時:Take it on an empty stomach.(空腹時に)​

意外に見落とされがちなのは、「食間」の日本語の感覚が患者ごとに違う点です。between meals は便利ですが、誤解が心配なら「食後2時間」など“時計で定義できる表現”に置き換えると事故が減ります(例:2 hours after meals)。

服薬指導英語の飲み忘れと次の服薬のフレーズ

服薬指導英語では、用法用量と同じくらい「飲み忘れ」の説明が重要です。特に危険なのは、患者が“埋め合わせ”で二重服用してしまうケースなので、Do not take 2 doses を必ず入れます。

基本の骨格は次の3点です。

  • ①気づいたらどうする:If you miss a dose, take the missed dose as soon as possible.​
  • ②次が近いならどうする:If you miss a dose, skip the missed dose and follow your regular dosing schedule.​
  • ③二重服用を止める:Even if you missed a dose, do not take 2 doses at the next scheduled time.​

ここでの実務的なポイントは、「どれを採用するか」を薬剤ごとに統一しておくことです。施設内でテンプレが混在すると、同じ患者が別スタッフから矛盾した説明を受けるリスクが上がります。

加えて、会話が早口になりがちな場面では、短い命令形のほうが通ります。

  • Do not take two doses at once.(2回分を一度に飲まないで)※上の③の短縮版として運用
  • Follow your regular schedule.(通常の予定どおりに)

服薬指導英語の副作用と眠気と運転の注意

副作用説明は、すべてを列挙するより「危険行動に直結する注意」を優先すると伝わりやすいです。代表例が眠気で、運転・危険作業を避ける一文は多くの薬で使い回せます。

頻用フレーズは次の形です。

  • This may cause drowsiness. Avoid driving a car or operating dangerous machinery.​

また、患者が不安を抱えたまま帰らないように、最後に“異常時の相談先”を付けるとクレーム予防にもつながります。

  • If you have any questions or concerns, please consult your doctor or pharmacist.​

意外な実務ポイントとして、副作用の「症状名」を難しく言うほど伝わらないことがあります。まずは“生活に起きる変化”に翻訳して言うほうが伝達ミスが減ります(例:dizzy / rash / swelling など、短い語を優先)。症状語彙を広げたい場合は、日英対訳がまとまった教材を手元に置くと効率的です。

服薬指導英語の相互作用とグレープフルーツの例文

相互作用は、服薬指導英語の中でも「患者が行動を変える必要がある」領域なので、短く強い表現が向きます。食べ物相互作用の代表として、グレープフルーツは英語でも説明テンプレを作りやすい題材です。

現場で使いやすい例文は次のとおりです。

日本語の補足としては、グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類が CYP3A4 を阻害し、一部薬剤で血中濃度が上がって副作用リスクが高まることが知られています。根拠を押さえておくと、患者が「なぜ?」と聞いたときに説明がブレません。

参考)グレープフルーツと薬の飲み合わせに注意|金町の内科

さらに、あまり知られていないポイントとして「時間を空ければ安全」とは限らないことがあります。グレープフルーツジュースの影響が数時間では消えず、10時間後で半分、24時間後でも残るという解説もあり、安易に“少し待てばOK”と案内しない姿勢が安全です。

参考)グレープフルーツジュースと薬の飲み合わせ どれくらい時間を空…

服薬指導英語の独自視点:Teach-backで誤解を減らす質問

服薬指導英語で“言えたつもり”になりやすい最大の落とし穴は、患者の理解を確認せずに終えることです。Teach-back(説明を患者の言葉で言い返してもらう)を入れると、表情では分からない誤解を回収できます。

ここで重要なのは、「分かりましたか?」を多用しないことです。分かっていなくても“Yes”と答えてしまうことがあるため、Teach-backの形に変えるのが推奨されています。

参考)健康を決める力:ヘルスリテラシーを身につける

使える言い回し(薬局向けに短くアレンジ)を例示します。

  • To make sure I explained it clearly, could you tell me how you will take this medicine in your own words?(確認のため、ご自身の言葉で飲み方を説明してもらえますか)

    参考)Medical English 特別講座 – 医師求人・転職…

  • Could you show me when you will take it: before meals or after meals?(食前か食後か、いつ飲むか教えてください)※患者の発話を引き出す運用

Teach-backは毎回フルでやる必要はありませんが、飲み忘れ時対応・眠気と運転・相互作用など「事故に直結するポイント」だけでも回すと、指導の質が一段上がります。

参考)第4回 患者の理解をぐっと深めるコツとヘルスリテラシー:みん…

(副作用や飲み忘れなどの英語表現がまとまっている:この部分の参考リンク)

外国人患者対応のための英語コミュニケーションマニュアル(副作用・用法用量・飲み忘れ等の日英フレーズ集)

「服薬指導のツボ」虎の巻 : ステップ式で漏れなく説明」