夜間休日加算と薬局点数の算定要件

夜間休日加算 薬局 点数

夜間休日加算(夜間・休日等加算)で最初に押さえる3点
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「開局時間内」でも加算が付く

夜間・休日等加算は、薬局が表示する開局時間内に、夜間帯・休日に該当して調剤した場合に算定する加算です。

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点数は「40点」

処方箋受付1回につき40点を所定点数に加算します。

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記録が監査の焦点になりやすい

夜間・休日対応は地域支援体制の文脈でも注目され、体制の周知や実態把握が論点として挙げられています。

夜間休日加算の点数40点と処方箋受付1回

 

夜間休日加算(正式には「夜間・休日等加算」)は、処方箋受付1回につき40点を所定点数に加算する仕組みです。

この「受付1回」という単位が重要で、同一患者でも処方箋が別なら別受付として扱われ、現場では“窓口で何を1回と数えたか”がレセプトの整合性に直結します。

また、夜間・休日等加算は“時間外に呼び出されて開けたから付く”という発想だけだと誤解が生まれます。あくまで「薬局が表示する開局時間内」であることが前提に含まれている点が、時間外等加算(開局時間外)との大きな分岐点です。

現場で起こりやすいのは、「患者が来た時間」と「受付(受け付けた)時間」がズレるケースです。例えば、患者が19:58に来局したが、本人確認や処方箋の不備確認で受付処理が20:05になった場合、記録が後者で残ると、説明と算定の整合が取れなくなる可能性があります。

参考)加算料(夜間・休日等加算)

そのため、算定の可否を“ざっくり時間帯”で判断するのではなく、薬歴・調剤録等に残る「受付時間」の統一ルールを薬局内で決め、監査対応も含めて言語化しておくと事故が減ります。

参考)夜間・休日等加算とは?薬局における算定要件や時間外等加算との…

夜間休日加算の算定要件と開局時間内

夜間・休日等加算は、休日又は深夜であっても「当該保険薬局が表示する開局時間内の時間において調剤を行った場合」に算定する、と整理されています。

つまり、夜間休日加算は“開局しているのに夜間・休日に該当する時間帯”を評価する設計で、閉局後の臨時対応を評価する「時間外等加算」と役割が違います。

対象時間帯の整理は、算定の一丁目一番地です。代表的な説明として、平日は午後7時から午前8時まで、土曜日は午後1時から午前8時までが夜間帯として示されます。

さらに休日(一般に日曜・祝日や年末年始など)の扱いも絡むため、薬局の掲示している開局時間と、休日の取り扱い(輪番、臨時開局、通常営業など)の関係を、スタッフ全員が同じ理解で運用する必要があります。

「意外と盲点」になりやすいのは、輪番で当番薬局になった日の運用です。地域の夜間・休日対応は、休日夜間急患センターや当番医と連動した輪番体制など、地域の調整で回っている実態が資料でも示されています。

輪番参加の有無自体は点数算定の直接要件ではありませんが、当番日の開局表示、連絡先、対応時間などを“対外的にどう周知しているか”は、地域支援体制の文脈で問われやすい点です。

夜間休日加算と時間外等加算の違いと優先

混同が多いのは、「夜間・休日等加算」と「時間外等加算(時間外・休日・深夜)」の関係です。

大枠で言うと、夜間・休日等加算は“開局時間内”の夜間・休日に算定し、時間外等加算は“開局時間外”の調剤を評価します。

この違いを外すと、同じケースを薬局ごとに別の加算で請求してしまい、グループ薬局や応援勤務がある体制では特にブレが出ます。

実務で有用なのは、患者説明をテンプレ化することです。夜間・休日等加算は「夜間や休日に対応するための加算」であることを、会計時に短く説明できるようにすると、クレーム予防だけでなく、スタッフ側の理解の統一にもつながります。

また、時間外等加算が絡むケースでは「なぜ今日は40点ではなく割合加算(基礎額×○%)なのか」という質問が出やすく、受付が“開局時間外”だったのか、“開局時間内の夜間帯”だったのかの説明が鍵になります。

参考)https://pharmacist.m3.com/column/chouzai_santei/6473

ミスが起きやすい具体例を挙げます。

  • 例1:土曜の13:10、薬局は「土曜は13:30まで開局」と表示している → 開局時間内で夜間帯に該当し、夜間・休日等加算(40点)の判断に寄ります。​
  • 例2:同じ土曜の14:00、閉局後に電話で呼び出して調剤 → 開局時間外なので、時間外等加算(時間外/休日/深夜の枠)で検討します。​

夜間休日加算の年末年始と休日扱い

年末年始は、現場で算定ルールの質問が急増します。医療機関側の「休日」の説明として、日曜・祝日に加え、年末年始(12月29日~1月3日)を休日とする説明が示されています。

薬局側でも、年末年始が休日扱いになる前提で運用されるため、「薬局が通常営業として開局しているのか」「本来休みだが患者の求めで臨時開局したのか」で、適用する加算の考え方が変わり得ます。

あまり知られていない落とし穴は、「休日=休日加算」と短絡しやすい点です。夜間・休日等加算は“休日又は深夜であっても開局時間内で調剤”なら対象になり得るため、年末年始に“通常の掲示通り開局”している薬局では、時間外等加算ではなく夜間・休日等加算の整理になる場面が出ます。

参考)http://www.isoki.net/k2hirosakiyaku/pdf_folder/nennmatu09.pdf

一方、年末年始でも「12月29日~1月3日以外の独自休診日」は休日加算の対象ではない、という考え方(医科の説明)があるため、薬局でも「独自の休業日」と「制度上の休日」の言葉を混ぜて運用しない工夫が必要です。

参考)年末年始(12月29日~1月3日)は休日加算等の算定をお忘れ…

患者対応としては、「年末年始だから加算が付く」のではなく「制度上の休日や夜間帯に該当し、かつ薬局の対応(開局表示、受付時間、調剤実施)が要件に合うため」という筋道で説明できると、納得度が上がります。

加えて、レセプト観点では“日付を跨ぐ時間帯”が発生しやすいので、受付日時の記録と、実際の調剤実施の記録(作業ログ、薬歴記載の整合)が監査で説明できる状態にしておくのが安全です。

夜間休日加算の独自視点:輪番と地域支援体制加算の実務

検索上位の記事では「何点か」「どの時間帯か」に説明が集中しがちですが、現場の安定運用には“体制”の整備が効きます。

厚生労働省資料では、外来の夜間・休日対応として、休日夜間急患センター、当番医、近隣薬局の輪番体制、地域薬剤師会による調整など、複数のモデルが整理されています。

ここから読み取れる意外な示唆は、「薬局単体で24時間を抱える」よりも「地域で当番を可視化して回す」方向に、制度・運用が寄っていくという点です。

さらに、地域支援体制加算の施設基準の見直しとして、休日・夜間の開局時間外の調剤・在宅業務に対応できる体制や、その周知が要件として示されています。

つまり、夜間休日加算(40点)を“請求テクニック”として扱うだけでは不十分で、地域の中でどう周知し、誰が電話を受け、どこに引き継ぎ、何を記録するかという運用設計が、結果的に算定の安定にも直結します。

実務に落とすと、以下のような「点数に直接書かれていない」整備が、算定漏れ・返戻・トラブルを減らします。

  • 📌 当番日(輪番日)の運用台本を作る:受付→疑義照会→調剤→交付→会計→記録までを1枚にする。
  • 📌 連絡先の一本化:夜間は電話が分散すると、受付時間の記録が曖昧になります(誰が何時に受けたか)。
  • 📌 周知の「置き場所」を固定:薬局HP、薬剤師会マップ、市町村広報など、地域に合う導線を決めるという議論が示されています。

必要に応じて、夜間・休日対応は外来だけでなく在宅にも波及します。令和6年度改定の文脈で、在宅の緊急訪問に関する加算(夜間訪問加算等)が新設されたことも示されており、今後は“外来の夜間対応”と“在宅の緊急対応”を同じ担当者が回す場面が増える可能性があります。

その場合、単に点数を覚えるより、薬局内のオンコール設計、記録様式、患者への事前説明(どの番号に連絡するか)を整える方が、医療安全上のインパクトが大きいです。

在宅領域の根拠資料(夜間・休日対応の政策的背景、加算新設の説明に有用)。

厚労省資料(外来・在宅の夜間休日対応、地域支援体制加算の見直し要点)

https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001232672.pdf

面白いほどよくわかる!調剤報酬 vol.6 時間外加算等 夜間・休日等加算 編【令和6・7年度対応】【Newレイアウトver】: 【薬剤師】【薬局事務】【保険薬局】 面白いほどよくわかる!調剤報酬(令和6・7年度対応)