外来服薬支援料1 算定要件 注1
外来服薬支援料1 算定要件の原文と注1
外来服薬支援料1は「185点」で、自己による服薬管理が困難な患者(または家族等、あるいは保険医療機関の求め)に対し、服薬中の薬剤について必要性を判断し、処方した保険医の了解を得たうえで支援した場合に「月1回に限り」算定できる、とされています。
ここでいう「注1」は、患者が服薬中の薬剤について、当該薬剤を処方した保険医に「治療上の必要性」および「服薬管理に係る支援の必要性」の了解を得た上で、服薬管理を支援した場合の枠組みです。
一方で、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者には算定しないこと、また調剤基本料の注2に規定される「算定できない保険薬局」がある点が、入口での重要な除外条件です。
算定の対象となる「外来服薬支援」は、処方箋によらず、調剤済み薬剤について服薬管理の支援を目的として行うもので、たとえ一包化をしても「調剤技術料は算定できない」と明記されています。
つまり、注1を“実務で通す”には、単なる服薬指導ではなく、薬剤の整理(例:一包化、服薬カレンダー等)を実施し、生活上の服薬管理を容易にする支援として成立させる必要があります。
さらに、支援が必要になった背景や理由を分析し、同様の支援が今後必要とならないように努める、という「薬学的管理」の視点まで要求されている点は、見落とすと記録が薄くなりがちです。
外来服薬支援料1 注1の「了解」取得と照会
注1では、支援に入るにあたり、患者が当該薬局で調剤した薬剤以外に「他の保険薬局で調剤された薬剤」や「院内投薬された薬剤」を服用していないか確認し、極力それらも含めて一包化や服薬カレンダー等で整理するよう努める、とされています。
他院・他薬局の薬剤まで含めて支援する場合は、重複投薬・相互作用等の有無を確認し、処方医に必要な照会を行って適切な措置を講じることが求められます。
この「照会」は、単に形式的な連絡ではなく、薬学的な論点(相互作用や重複、用法の整合性、飲み合わせのリスク)を整理して伝え、治療方針に影響しうる事項をクリアにするのが本筋です。
意外と重要なのが、結果として「他薬局で調剤された薬剤」または「院内投薬された薬剤のみ」について服薬支援を行うことになった場合でも算定できる、という点です。
つまり、自薬局で調剤を受けていない患者が持参した薬(他薬局の薬、院内投薬薬)への支援であっても、注1の枠組みとして成立し得ます。
ただし“何でもOK”ではなく、服薬中の薬剤の確認や処方医への照会等を行った上での帰結として、他所の薬のみが対象になった、という手順が重要になります。
また、厚労省の疑義解釈では、院内投薬の薬剤を持参した患者に対して外来服薬支援料を算定した後、院内投薬が続いて同様の支援を繰り返したような場合に「毎回算定してよいか」という問いに対し、繰り返し算定はできない趣旨が示されています。
参考)https://pharmacist.m3.com/column/chouzai_santei/6518
この考え方は、月1回という回数制限の話だけでなく、そもそも処方医が服薬支援の必要性を認識しているなら、院内で一包化するか、処方箋で薬局の一包化を指示すべき、という制度趣旨に沿った指摘です。
現場では「患者がまた崩してしまった」「家族が戻してしまった」などが起こりますが、再算定の可否は“同じ原因を放置した繰り返し”に見えないよう、背景分析と関係職種連携の記録が鍵になります。
外来服薬支援料1 薬剤服用歴の記載と摘要
外来服薬支援料1を算定する場合、薬剤服用歴等に「処方医の了解を得た旨(注1の場合)又は情報提供した内容(注2の場合)」「当該薬剤の名称」「服薬支援の内容及び理由」を記載することが明記されています。
監査・返戻・査定で揉めやすいのは、ここが“抽象的”になっているケースで、例えば「カレンダーセット」だけだと、なぜ支援が必要だったか、対象薬が何か、了解取得がどのように担保されたかが読み取れません。
薬歴では、少なくとも次を文章で残すと強いです(薬局内の統一フォーマット化がおすすめです)。
・✅ 対象患者の状況:自己管理困難の具体(認知・視力・巧緻性・家族支援不足・服薬アドヒアランス低下など)
・📦 対象薬剤:持参薬を含め、支援対象になった薬剤名を列挙(他薬局・院内投薬の有無も)
・📞 医師の了解:了解取得日、手段(電話・FAX等)、相手(医師名/施設名)、了解内容の要旨
・🔍 薬学的確認:重複投薬・相互作用・用法用量のズレの有無、必要時の照会内容と結果
・🗓️ 支援内容:一包化の範囲、服薬カレンダーの運用、朝昼夕・隔日・頓用の扱い、家族への説明
・🎯 理由と再発防止:なぜ崩れたか(保管環境・認知負荷・副作用・生活リズム)、次回不要化の工夫
なお、外来服薬支援は「整理等の支援」であり、整理を行わずに単に服薬指導を行っただけでは算定できない、と明記されています。
この一文は、レセプト上は点数が立っていても“実態”で否認されるポイントになりやすいので、支援の物理的成果(カレンダー写真の院内保管、チェックリスト、家族同意の記録など)を運用で支えると安全です。
外来服薬支援料1 注1で算定できないケース
まず大枠として、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については外来服薬支援料1は算定しない、とされています。
さらに、現に他の保険医療機関または保険薬局の保険薬剤師が訪問薬剤管理指導を行っている患者についても算定できない、とされ、在宅領域との二重評価を避ける設計です。
また、特別調剤基本料Bを算定している保険薬局は外来服薬支援料1を算定できないと明記されています。
「算定できない」の地雷として実務で多いのは、月1回制限を“支援の単位”ではなく“来局回数”で誤解し、同一月に同じ趣旨の整理支援を複数回立ててしまうケースです(制度上は「服薬支援1回につき月1回に限り」)。
もう一つは、疑義解釈で示されているように、院内投薬が続くのに薬局で同様の外来服薬支援を繰り返し実施し、毎回算定するような形は否認され得る、という点です。
こうしたケースでは、医師側の処方設計(院内で一包化する/処方箋に一包化指示を出す等)に話を戻し、薬局が恒常的に肩代わりしている状態を解消する方向に連携するのが安全です。
外来服薬支援料1 注1の独自視点:飲み忘れと一包化
外来服薬支援料1の留意事項では、支援後に「同様の支援が今後必要とならないように努めること」とされており、点数算定の先に“再発防止”を置く設計が読み取れます。
ここを逆手に取ると、注1を安定運用する薬局は、単発の一包化で終わらせず、飲み忘れの原因を分類し、患者の生活導線に合わせて設計変更していることが多いです(例:朝食前薬を「冷蔵庫に貼る」導線、就寝前薬を「歯磨きセットの横」に置く導線)。
意外に効くのが、服薬カレンダーの“曜日”よりも“行動”に紐づける説明で、「月曜の薬」ではなく「朝食後にテーブルで飲む薬」へ言い換えることで、認知負荷が下がりやすくなります(薬歴には、患者の生活行動と支援設計の結びつきを残すと、背景分析として強くなります)。
また、留意事項では、一包化による服薬支援は「飲み忘れ・飲み誤りの防止」や「被包から取り出して服用することが困難な患者への配慮」を目的とし、治療上の必要性が認められる場合に行う、とされています。
つまり、注1での“医師の了解”を取りやすくするには、「一包化したい」ではなく、「飲み誤りの具体リスク(低血糖、抗凝固、抗てんかん等)を避けるために、整理が治療上必要」という医療安全の言語に変換して提案するのが実務上有効です。
このとき、照会の文面(FAXや電話メモ)に、重複投薬・相互作用・残薬状況などの要点を短く入れると、了解が“治療上の判断”として成立しやすく、注1の趣旨とも整合します。
有用:算定要件(原文)と留意事項(注1の具体行動、薬歴記載、算定不可の条件)
有用:疑義解釈(外来服薬支援料を繰り返し算定できないケースの考え方)