トリアムシノロン注射と眼科黄斑浮腫副作用

トリアムシノロン注射眼科

トリアムシノロン注射(眼科)記事の概要
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何に効くか(適応・狙い)

黄斑浮腫を中心に、硝子体内投与とテノン嚢下投与の適応・位置づけを整理します。

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どう打つか(用法・用量)

マキュエイド眼注用40mgを軸に、用時懸濁・投与量・再投与間隔の実務ポイントをまとめます。

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何が起きるか(副作用・合併症)

眼圧上昇、白内障、感染など、頻度と起点(硝子体内/テノン嚢下)を分けて説明します。

トリアムシノロン注射の眼科適応と黄斑浮腫

眼科でのトリアムシノロンアセトニド(TA)局所注射は、「黄斑浮腫の軽減」を狙うステロイド治療として位置づけられ、テノン嚢下投与では糖尿病黄斑浮腫・網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫・非感染性ぶどう膜炎に伴う黄斑浮腫が対象になります。

同じTAでも、硝子体内投与は「硝子体手術時の硝子体可視化」と「糖尿病黄斑浮腫」が効能として整理されており、手術補助(可視化)と治療(DME)で目的が異なる点が重要です。

黄斑浮腫の場面では、抗炎症作用に加え、血液網膜関門破綻や炎症性サイトカイン・血管透過性亢進の抑制を通じて浮腫軽減に寄与すると説明されています。

参考:適応疾患(糖尿病黄斑浮腫/網膜静脈閉塞症/非感染性ぶどう膜炎)と投与経路の整理に有用

https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00009033.pdf

トリアムシノロン注射の硝子体内投与と用量

マキュエイド眼注用40mg(TA)では、硝子体手術時の硝子体可視化目的では「1バイアルに生食または眼灌流液4mLを加えて10mg/mLに懸濁し、TAとして0.5~4mg(0.05~0.4mL)を硝子体内に注入」とされています。

糖尿病黄斑浮腫(DME)に対する硝子体内投与では「1mLで40mg/mLに懸濁し、TAとして4mg(0.1mL)を硝子体内投与」が基本用量として示されています。

再投与については「長期投与の有効性・安全性は確立していない」「継続的な長期投与は避ける」「再投与は3か月以上あけ、DMEの硝子体内投与では粒子の消失を細隙灯等で確認後に行う」といった条件が明確に記載されています。

参考:再投与間隔や粒子消失確認など、外来フォロー設計の根拠に有用

https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00009033.pdf

トリアムシノロン注射のテノン嚢下投与と手技ポイント

テノン嚢下投与では「1mLで40mg/mLに懸濁し、TAとして20mg(0.5mL)をテノン嚢下に投与」が用法・用量として示されています。

臨床現場向けの説明資料では、点眼麻酔→洗眼→結膜に小切開→結膜と眼球の間(テノン嚢)へ薬液を注入、という流れで説明されており、患者説明にそのまま転用しやすい構造です。

また、硝子体内注射や手術と比べ安全性が高い(と患者向けに説明される)一方で、合併症として眼圧上昇、白内障進行、感染、出血、眼球穿孔などが列挙されており、「低侵襲=ゼロリスクではない」点を同時に言語化しておくと同意取得が安定します。

参考:患者説明(手技の流れ・合併症の列挙)の例文作成に有用

https://kanden-hsp.jp/files/patient/disease/ophthalmology/con_14.pdf

トリアムシノロン注射の副作用と眼圧上昇

TAの局所投与で医療者が最も警戒する副作用は、実務的には「眼圧上昇」と「白内障進展」で、インタビューフォームでも重大な副作用として(投与経路別に)白内障・眼圧上昇・緑内障・感染などが整理されています。

DMEの硝子体内投与(4mg群)では副作用発現頻度の記載として、眼圧上昇26.5%(9/34)、白内障進展23.5%(8/34)などが示されており、同意説明では“頻度が高い有害事象”として最初に提示されやすいデータです。

テノン嚢下投与(糖尿病黄斑浮腫の試験)でも、20mg群で眼圧上昇15.6%、水晶体混濁9.4%などが報告されており、硝子体内投与と同様の副作用プロファイルを「程度・頻度は低めになり得るが起こり得る」と説明するのが現実的です。

参考:頻度を伴う副作用説明(眼圧上昇・白内障など)に有用

マキュエイド眼注用40mg|CareNet.com
わかもと製薬のマキュエイド眼注用40mg(一般名:トリアムシノロンアセトニド注射用)の効能・副作用・添付文書・薬価などを掲載しています。ケアネット医療用医薬品検索は医師向けの医薬品検索データベースです。

トリアムシノロン注射の独自視点:粒子と「見える副作用」

TAは難水溶性で、硝子体などのゲル状物質にまとわりつき付着しやすい性質が、硝子体手術時の「透明な硝子体を確認できる(可視化)」という臨床上の利点につながります。

一方でこの“粒子が残る”特性は、治療として投与した場合には「患者が自覚しうる見え方の変化(例:飛蚊感の訴えにつながる)」を引き起こし得るため、同意説明では眼圧や白内障だけでなく、生活上の違和感が出る可能性も先に言語化しておくとトラブルが減ります。

さらに、再投与判断に「粒子の消失を確認してから」という条件が入るのは、この薬剤が“体内で均一に消える液体”ではなく“粒子として残存し個体差がある”という製剤特性の裏返しであり、フォローアップ間隔の設計(3か月以上、かつ診察所見ース)を合理化する根拠になります。