カルバペネマーゼ種類とIMP型NDM型KPC型OXA-48型

カルバペネマーゼ種類

カルバペネマーゼ種類:臨床で迷わない全体像
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まず押さえる軸は「MBL」と「セリン型」

カルバペネマーゼは大きくメタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)とセリン型に分かれ、代表的遺伝子型の理解が院内対応の初動を速くします。

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検査は「遺伝子」+「表現型」をセットで

PCRで主要遺伝子(IMP型・NDM型・KPC型・OXA-48型)を押さえつつ、SMA/EDTAやボロン酸、CIM/CarbaNPなどで矛盾を潰すのが基本です。

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「カルバペネム耐性=カルバペネマーゼ」ではない

CREは薬剤感受性で定義され、カルバペネマーゼ非産生でも成立します。だからこそCPE(産生菌)かどうかを追加で確認する意義があります。

カルバペネマーゼ種類の全体像:MBLとセリン型とAmbler分類

医療現場で「カルバペネマーゼ種類」を整理する最短ルートは、まず“酵素の型”を2群に分けることです。カルバペネマーゼは大きく、金属イオン(亜鉛など)を活性中心に使うメタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)と、セリン残基を活性中心に使うセリン型に分かれます。これは感染対策の議論(拡散リスク)だけでなく、検査(阻害剤が効く/効かない)や治療戦略の理解にも直結します。

Ambler分類(アミノ酸配列に基づく分類)でみると、MBLはクラスB、セリン型カルバペネマーゼは主にクラスAとクラスDに配置されます。国内外で頻出する「Big Five」として、IMP、NDM、VIM(いずれもクラスBのMBL)、KPC(クラスA)、OXA-48-like(クラスD)がしばしば挙げられ、臨床上の優先度が高い領域です。実際、国内向けのCRE/CPE解説資料でも、IMP型・NDM型・VIM型・KPC型・OXA-48型を中心に説明される構成が多く、まずはこのセットを“標準語彙”として押さえるとチーム内の会話が噛み合います。

参考)カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)感染症に関する一般的…

注意点として、「CRE(カルバペネム耐性腸内細菌目細菌)」は“耐性表現型”で定義される一方、「CPE(カルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌)」は“酵素産生”で定義されます。つまり、カルバペネム耐性があってもカルバペネマーゼが原因とは限らず、ESBLやAmpCの過剰産生+ポーリン変化などの組み合わせでCREに見えるケースもあります。逆に、カルバペネマーゼを持つのに感受性試験上は“耐性が目立たない”株が混じるのも、医療現場がややこしくなる理由です。

参考)https://www.moraine.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/CRE%E5%AD%A6%E7%BF%92%E5%B8%B3-2024-7-27.pdf

カルバペネマーゼ種類の代表:IMP型・NDM型・KPC型・OXA-48型・VIM型

代表的なカルバペネマーゼ種類は、日常検査で遭遇しやすい順・地域差を含めて押さえると実務に強くなります。日本国内ではIMP型が多いとされ、海外ではNDM型、KPC型、OXA-48型が目立つ、という“ざっくり地図”が初動判断の助けになります(もちろん施設や患者背景で変動します)。この地域差は、問診で海外渡航歴や医療曝露歴を聞く意味を裏付けます。

IMP型は1991年に日本で見つかったMBLで、腸内細菌目だけでなくブドウ糖非発酵菌でも問題になり得ます。さらに臨床で重要なのは、IMP-1とIMP-6のように“わずかな塩基差”で性状が変わり得る点で、検査上はIMP-6産生株がイミペネム耐性として拾われにくい場合がある、と整理されます。つまり「イミペネムがそこまで高くないから大丈夫」という思い込みは危険で、スクリーニング設計や追加検査の判断に影響します。

NDM型は2007年にインド系患者から分離された経緯が知られ、肺炎桿菌や大腸菌で検出されやすいと説明されます。KPC型(クラスA)は1990年代後半に米国で報告され、主に肺炎桿菌で検出されるとされます。OXA-48型(クラスD)は2001年にトルコで報告され、こちらも肺炎桿菌での検出が中心として整理されます。VIM型(クラスB)も重要で、欧州を中心に広がる型として位置付けられます。

この「種類ごとの背景」を覚える目的は、雑学ではなく“検査の次の一手”を決めるためです。たとえば、主要4種(IMP、NDM、KPC、OXA-48)はPCRで原則検出対象として扱われ、必要に応じてVIMやGES、IMIなどの追加ターゲットへ拡張する枠組みが、日本の検査マニュアルにも明記されています。臨床検査室・ICT・感染症科の連携で「どこまでを院内でやるか/どこからを行政検査・外注に回すか」を決めるとき、こうした“優先順位の根拠”が効いてきます。

カルバペネマーゼ種類と検査:PCRと阻害剤(SMA/EDTA・ボロン酸)とCIM/CarbaNP

カルバペネマーゼ種類を“臨床で使える情報”に変えるには、検査の組み立てが核心です。日本のCRE検査マニュアルでは、主要カルバペネマーゼ遺伝子(IMP型、NDM型、KPC型、OXA-48型)のPCR検出を基本にしつつ、表現型検査(阻害剤試験、CarbaNP、CIMなど)との整合性確認が求められます。これは、非特異反応や検出しづらい遺伝子型による判定誤りを避けるため、という思想です。

阻害剤試験は“種類の見当をつける”のに強力です。SMA/EDTAで阻害が見られればMBL(IMP型やNDM型など)を示唆し、ボロン酸で阻害が見られればKPC型を疑う、という基本線がマニュアル上でも整理されています。一方でOXA-48型には明確な阻害剤がない、とされており、ここが現場の落とし穴になりやすいポイントです。

さらに重要なのが「阻害剤=万能の鑑別」ではない点です。たとえばボロン酸はAmpCも阻害し得るため、ボロン酸陽性=KPC確定ではなく、鑑別の工夫が必要だと注意喚起されています。臨床側は“キットの陽性/陰性”だけを単独で受け取らず、検査室から「この結果の解釈上の限界」をセットで共有してもらう運用が安全です。

CarbaNPやmCIMは「酵素活性」を見るアプローチで、遺伝子ターゲットに入っていない稀な型や、遺伝子検査の解釈が揺れるケースの補助線になります。ただし、CarbaNPは一部のカルバペネマーゼ(例:OXA-48型、GES型など)で陽性になりにくいことがある、とマニュアル上でも注意が示されます。つまり“陰性だからCPEではない”と言い切らず、臨床像・耐性パターン・疫学情報と併せて判断するのが現実的です。

カルバペネマーゼ種類の落とし穴:IMP-6やOXA-48で「耐性が目立たない」ことがある

カルバペネマーゼ種類の話で、医療従事者がいちばん痛い目を見やすいのは「MICが高くない=問題ない」という直感です。国内資料では、IMP-6産生株がイミペネムに耐性と判定されない場合があるため注意が必要、と明記されています。これは、検出アルゴリズムをイミペネム中心に置いている施設ほど、見逃しの構造が生まれ得ることを意味します。

さらに“耐性が目立たない問題”はIMP-6だけではありません。国立感染症研究機関の情報として、NDM型やOXA-48型カルバペネマーゼ産生菌がカルバペネム系に明らかな耐性を示さないことがある、という指摘があり、MIC分布でも届出基準に届かない株があり得ることが示されています。感染対策は「耐性が強い株」だけを想定して設計すると、こうしたグレーゾーンが抜け落ちます。

参考)外来型カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌の検出状況|国立健康…

ここで現場に効く対策は、“誰がいつ疑うか”のルール化です。例として、①海外医療曝露歴、②同病棟でのCRE/CPE検出増、③第三世代セフェムやカルバペネムへの反応不良、④感受性結果の再現性が低い、などのトリガーを決め、「疑ったら遺伝子/表現型を追加」「疑ったら接触予防策を先行」といった行動に落とします。もちろん施設資源で最適解は変わりますが、“見逃しやすい種類がある”ことを前提に運用するだけで、事故の確率は下げられます。

カルバペネマーゼ種類の独自視点:院内での“情報設計”(検査結果の伝え方)でアウトブレイク対応が変わる

検索上位の記事は「カルバペネマーゼ種類の解説」や「主要遺伝子型の一覧」で終わりがちですが、実務では“情報の渡し方”が結果を左右します。たとえば、臨床側に届く報告書が「CRE」だけだと、カルバペネマーゼの有無(CPEかどうか)が曖昧なまま治療選択・隔離判断・濃厚接触者スクリーニングが遅れます。逆に「CRE(届出基準該当)」「CPE疑い(表現型一致/不一致)」「推定種類(MBL疑い/セリン型疑い)」まで短い定型文で返ると、初動が揃いやすくなります。

この“情報設計”は、検査室の負担を増やさずに質を上げる余地があります。マニュアルが推奨するように、遺伝子検査(PCR)と表現型検査の結果に矛盾がないか確認し、矛盾があればCarbaNPやCIMなどの追加法で補う、という流れは、報告書のコメントテンプレ化と相性が良いからです。具体的には、以下のような定型コメントが現場で効きます。

  • 🧪「主要カルバペネマーゼ遺伝子(IMP/NDM/KPC/OXA-48)PCR:○○」の一文を必ず入れる(未実施なら未実施と明示)。
  • 🧫「阻害剤試験:SMA/EDTA(MBL示唆)/ボロン酸(KPC示唆)」を“示唆”として書き、確定と混同させない。
  • ⚠️「OXA-48は阻害剤で拾いにくい/CarbaNPで陽性になりにくい場合がある」など、種類ごとの弱点を一文だけ添える。

さらに一歩進めるなら、ICT向けには“行動指示”が読める形が望ましいです。たとえば「CPEの可能性が否定できないため、接触予防策を強化し、同室者スクリーニングを検討」といった具合に、検査所見→院内対応の橋渡し文を用意します。これは診療の指示ではなく感染対策の運用支援であり、院内の意思決定を早めます。

(検査法・届出基準の一次情報:国内で主要遺伝子型や阻害剤、CIM/CarbaNPの注意点がまとまっている)

国立健康危機管理研究機構(JIHS) 病原体検出マニュアル カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)