リリカとタリージェの違いは効果と副作用?作用機序や薬価も比較

リリカとタリージェの違い

リリカとタリージェの3つの主な違い
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作用機序と効果

基本的な作用機序は同じですが、タリージェは特定のサブタイプへの選択性が高く、効果の持続性が期待されます。

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副作用プロファイル

タリージェはリリカに比べ、眠気やめまいといった副作用の頻度が低いと報告されています。

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用法・用量と薬価

腎機能に応じた用量調節の基準が異なり、薬価はジェネリック医薬品があるリリカの方が安価です。

リリカとタリージェの作用機序と効果発現の速さの違い

 

リリカ(一般名:プレガバリン)とタリージェ(一般名:ミロガバリン)は、どちらも神経障害性疼痛や線維筋痛症に伴う痛みの治療に用いられる薬剤です 。これらの薬剤は、痛みを伝達する神経の過剰な興奮を抑えることで効果を発揮します 。具体的には、神経終末に存在する電位依存性カルシウムチャネルのα2δ(アルファツーデルタ)サブユニットに結合することが、主な作用機序です 。カルシウムイオンが神経細胞内に流入するのを阻害し、グルタミン酸などの興奮性神経伝達物質の放出を抑制することで、鎮痛効果をもたらします 。

基本的な作用機序は共通していますが、両者には微細な違いが存在します 。α2δサブユニットにはα2δ-1とα2δ-2というサブタイプがあり、鎮痛作用に主に関与するのはα2δ-1とされています 。タリージェ(ミロガバリン)は、このα2δ-1サブユニットに対して、リリカ(プレガバリン)よりも高い親和性と選択性を持っています 。また、タリージェはα2δ-1サブユニットからの解離が遅いため、より持続的な効果が期待できるとされています 。

効果発現までの時間については、どちらの薬剤も少量から開始し、1週間以上の間隔をあけて徐々に増量していくのが一般的です 。これは、眠気やめまいといった副作用を軽減するためです 。そのため、十分な鎮痛効果が得られるまでには数週間を要することがあります。どちらが明確に速いというデータは限定的ですが、タリージェのほうがより選択的に作用するため、理論上はより効率的に効果を発揮する可能性が考えられます。

以下の参考リンクは、タリージェの添付文書情報であり、作用機序や用法・用量に関する詳細な情報が記載されています。

医療用医薬品 : タリージェ (タリージェ錠2.5mg/タリージェ錠5mg/タリージェ錠10mg/タリージェ錠15mg)

リリカとタリージェで注意すべき副作用とその頻度の違い

リリカとタリージェは作用機序が似ているため、副作用のプロファイルも類似しています 。最も頻度が高い副作用として報告されているのは、眠気(傾眠)、めまい(浮動性めまい)、むくみ(浮腫)、体重増加です 。これらの副作用は、特に投与初期や増量時に現れやすいため、注意深い観察が必要です 。自動車の運転など危険を伴う機械の操作は、両剤の服用中は原則として禁止されています 。

両剤の大きな違いの一つは、副作用の発現頻度です 。後発薬であるタリージェは、リリカよりも眠気やめまいといった中枢神経系の副作用が少ない傾向にあると報告されています 。これは、タリージェがより選択的にα2δ-1サブユニットに作用するため、不要なターゲットへの影響が少ないことによると考えられます。臨床現場では、リリカで眠気が強く出てしまった患者に対して、タリージェへの切り替えが検討されることがあります 。

体重増加も両剤に共通する副作用ですが、その対策には注意が必要です 。食欲亢進や浮腫が原因とされています 。体重増加が気になった場合でも、自己判断で急に服薬を中止してはいけません 。急な中止は、不眠、吐き気、下痢などの離脱症状を引き起こす可能性があるためです 。減量を希望する場合は、必ず医師に相談し、計画的に漸減する必要があります 。

以下に、主な副作用の発現頻度の比較を示します。(※頻度は臨床試験データに基づきますが、試験デザインにより単純比較はできません)

副作用 リリカ(プレガバリン) タリージェ(ミロガバリン)
傾眠(眠気) 20%以上 10%以上
浮動性めまい 20%以上 10%以上
浮腫(むくみ) 10%以上 5%以上
体重増加 5%以上 1%~5%未満

リリカとタリージェの薬価と用法・用量の違い

薬価については、リリカにはジェネリック医薬品(後発品)が存在するため、先発品であるタリージェと比較して患者の自己負担額を大きく抑えることが可能です 。これは、治療の継続性において重要な要素となります。

以下に、2025年現在の先発品の薬価の比較を示します。

薬剤 規格 薬価(1錠あたり) 1日最大用量(30日分)の薬価目安
リリカカプセル 75mg 73.60円 約17,664円 (600mg/日の場合)
150mg 98.30円
タリージェ錠 5mg 78.00円 約9,288円 (30mg/日の場合)
15mg 154.80円

※薬価は変動する可能性があります。最新の情報をご確認ください。
※上記薬価目安は、最大用量を30日間服用した場合の単純計算です。

用法・用量においても違いが見られます。どちらも1日2回の経口投与で、少量から開始し、副作用の有無を確認しながら1週間以上の間隔をあけて増量します 。

  • リリカ(プレガバリン:初期用量として1日150mgを2回に分けて投与。その後、1週間以上かけて1日300mgまで漸増。最大用量は1日600mgです。用量調節の幅が広いのが特徴です 。
  • タリージェ(ミロガバリン:初期用量として1回5mgを1日2回投与 。その後、1週間以上の間隔をあけて1回10mg、最大で1回15mg(1日30mg)まで漸増します 。

リリカの方が用量調節の幅が広く、症状に応じた細かい調整が可能である一方、タリージェはよりシンプルな用量設定となっています 。

リリカとタリージェの腎機能低下時の投与設計の違い

リリカとタリージェはともに腎臓から排泄される薬剤であるため、腎機能が低下している患者では血中濃度が上昇し、副作用が発現しやすくなる可能性があります 。そのため、腎機能(クレアチニンクリアランス:Ccr)に応じて、投与量や投与間隔を慎重に調節する必要があります。特に高齢者では腎機能が低下していることが多いため、処方設計には注意が求められます 。

両剤の添付文書では、腎機能障害患者に対する具体的な用量調節の基準が示されていますが、その区分や推奨用量に違いがあります。特にタリージェは、腎機能の低下レベルに応じて、より細かく用量設定が規定されています 。

以下に、腎機能低下時の推奨用量の比較をまとめます。

腎機能低下時の用量比較
腎機能 クレアチニンクリアランス(Ccr) (mL/min) リリカ(プレガバリン) タリージェ(ミロガバリン)
軽度 60 ≦ Ccr 通常用量(最大600mg/日) 通常用量(初期1回5mg 1日2回、最大1回15mg 1日2回)
中等度 30 ≦ Ccr < 60 初期75mg/日、最大300mg/日 初期1回2.5mg 1日2回、最大1回7.5mg 1日2回
重度 15 ≦ Ccr < 30 初期25~50mg/日、最大150mg/日 初期1回2.5mg 1日1回、最大1回7.5mg 1日1回
末期腎不全血液透析 Ccr < 15 初期25mg/日、最大75mg/日(透析後に追加投与)

※上記は各薬剤の添付文書に基づく目安です。実際の投与は患者の状態に応じて医師が判断します。

このように、タリージェは中等度以上の腎機能障害を持つ患者に対して、より低用量からの開始と、より低い維持量上限が設定されており、安全性を重視した設計となっています。処方時には、患者の腎機能を正確に評価し、適切な薬剤と用量を選択することが極めて重要です。

以下の参考リンクは、タリージェの腎機能障害患者への投与に関する製薬会社の公式情報です。

腎機能障害患者さんにタリージェを投与する場合の注意点、用法及び用量を教えてください。 | DI-info | 第一三共 Medical Community

リリカとタリージェの離脱症状と漸減方法の違い

リリカとタリージェの投与を中止する際には、離脱症状に注意が必要です。急激に投与を中断すると、不眠、悪心、下痢、食欲減退、頭痛、多汗症といった症状が現れることがあります 。これらの症状は、薬が体内から急になくなることで生じる反動のようなものと考えられます。そのため、いずれの薬剤も投与を中止する場合には、自己判断で中断せず、医師の指示のもとで徐々に減量(漸減)することが強く推奨されています 。

両剤の添付文書には漸減に関する記載がありますが、その内容には少し違いが見られます。

  • リリカ(プレガバリン):投与を中止する場合には、少なくとも1週間以上かけて徐々に減量すること、と具体的な期間が明記されています 。
  • タリージェ(ミロガバリン):投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと、と記載されており、リリカほど具体的な期間は示されていません 。

臨床的には、タリージェの方がリリカに比べて離脱症状が少ない傾向にあるとの報告もありますが 、安全のためにはどちらの薬剤であっても慎重な漸減が不可欠です。減量のペースは、患者の服用期間、用量、症状の安定度、そして副作用の有無などを総合的に考慮して個別に決定されます。例えば、1週間ごとに1日の投与量を一定量ずつ減らしていく、といった方法が取られます 。

特に、長期間にわたって高用量を服用していた患者や、精神的な依存傾向が見られる患者では、よりゆっくりとしたペースでの減量が求められます。急な中止は痛みの再燃を招くリスクもあるため 、患者への十分な説明と同意のもと、計画的に進めることが治療成功の鍵となります。

以下の参考資料は、タリージェの投与中止に関する注意喚起です。

タリージェの投与中止方法を教えてください。(漸減する必要はありますか?) | DI-info | 第一三共 Medical Community

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