ボルタレンとロキソニンの強さ
ボルタレンとロキソニンの強さ|効果と作用機序の違い
ボルタレン(一般名:ジクロフェナクナトリウム)とロキソニン(一般名:ロキソプロフェンナトリウム水和物)は、いずれも非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に分類される医療用医薬品です 。臨床現場では、様々な疾患による痛みや炎症、発熱に対して頻繁に処方されます。では、この2つの薬剤の「強さ」はどのように違うのでしょうか。
鎮痛効果の強さについて、添付文書などで直接比較した明確なデータはありません 。しかし、多くの整形外科医の経験則として、ボルタレンの方がロキソニンよりも鎮痛効果が強いという印象が持たれています 。化学構造上、ボルタレンが属するフェニル酢酸系は、ロキソニンが属するプロピオン酸系よりも効果が強力であると一般的に考えられています 。その強力さから、ボルタレンは「NSAIDsの中で最も効果が強力」と評されることもあります 。
一方で、効果が現れるまでの「速さ(即効性)」については、ロキソニンの方が優れています 。薬を服用後、血中濃度が最も高くなるまでの時間(Tmax)は、ロキソニンが約0.8時間であるのに対し、ボルタレン錠は約2.8時間です 。このため、抜歯後の痛みや突発的な頭痛など、迅速な鎮痛効果が求められる場面ではロキソニンが選択されやすい傾向にあります。
これらの違いは、2つの薬剤の作用機序に起因します。NSAIDsは、体内で痛みの原因物質であるプロスタグランジン(PG)の産生を抑制することで効果を発揮します。このPG産生に関わる酵素がシクロオキシゲナーゼ(COX)であり、NSAIDsはCOXの働きを阻害します。COXには、主に胃粘膜保護などに関わるCOX-1と、炎症部位で増加するCOX-2の2種類があります。ボルタレンはCOX-1とCOX-2を両方とも強力に阻害する非選択的な薬剤です。一方、ロキソニンは、COX-2をやや選択的に阻害する傾向があり、これが副作用のプロファイルにも影響を与えます。
効果の持続時間については、薬剤の血中濃度が半分になる時間(半減期)に大きな差はなく、ほぼ同等と考えられています 。ただし、ここでも臨床的な実感として、ボルタレンの方がやや長く効くという意見もあります [web… [TRUNCATED]

【第2類医薬品】ボルタレンEXテープL 7枚