フロセミドとアゾセミドの違い|作用時間と適応

フロセミドとアゾセミドの違い

📋 フロセミドとアゾセミドの主な違い
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作用時間の違い

フロセミドは短時間作用型で効果発現が速く、アゾセミドは長時間作用型で緩やかに持続します

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薬物動態の特徴

フロセミドは半減期1.5~2時間、アゾセミドは半減期2.6時間で体内に長く留まります

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心不全治療への影響

アゾセミドは神経体液性因子の活性化が少なく、予後改善効果が報告されています

フロセミドの薬理学的特徴

 

フロセミドは腎臓のヘンレループ太い上行脚に存在するNa-K-2Cl共輸送体(NKCC2)を阻害することで強力な利尿作用を発揮する短時間作用型ループ利尿薬です。経口投与後、1~2時間で最高血中濃度に達し、生物学的利用能は約60~70%と報告されています。半減期は1.5~2時間と短く、効果持続時間は約4~6時間です。

参考)アゾセミドの効果と副作用|「やばい」と言われる理由とは?|コ…

フロセミドの作用発現は迅速で即効性があるため、急性心不全や急性肺水腫などの緊急時に適しています。分子式はC12H11ClN2O5S、分子量は330.74 g/molで、スルホンアミド基を含むフラン環構造を持ちます。この化学構造により腎臓の特定部位に選択的に作用し、強力な利尿効果を実現しています。

参考)フロセミド(ラシックス・オイテンシン) – 呼吸…

しかし短時間作用型という特性上、利尿効果が消失した後にpostdiuretic sodium retentionと呼ばれるナトリウム排泄量の低下が起こる現象が知られています。これは単回投与直後のナトリウム利尿を相殺してしまう可能性があり、全治療期間におけるナトリウムバランスの評価が重要です。

参考)Pediatric Cardiology and Cardi…

アゾセミドの薬理学的特徴

アゾセミドはフロセミドと同じくヘンレループ太い上行脚のNa-K-2Cl共輸送体を阻害する長時間作用型ループ利尿薬です。経口投与後、約3.3~3.9時間で最高血中濃度に達し、半減期は2.2~3.7時間とフロセミドより長く、効果持続時間は約6~8時間です。バイオアベイラビリティは80%以上と高く、尿中排泄率は投与量の80.7~91.0%に達します。

参考)アゾセミドの同効薬比較 – くすりすと

アゾセミドの最大の特徴は、フロセミドに比べて作用が緩やかで自然に近い利尿が得られる点です。この持続的な作用により、1日の総尿量は他のループ利尿薬とほぼ同等でありながら、内服直後の頻尿を軽減できる可能性があります。商品名はダイアートで、先発品の薬価は30mg錠で10.70円、60mg錠で15.50円です。

参考)利尿薬「ダイアート錠30mg・60mg(アゾセミド)」持続型…

アゾセミドは体内での代謝経路が複数あり、フロセミドと比較して作用時間がやや長い傾向があります。そのため1日1回の投与で済む場合が多く、服薬アドヒアランスの向上にも寄与します。

フロセミドとアゾセミドの用量換算と使い分け

臨床現場における両薬剤の用量換算の目安として、フロセミド20mg=アゾセミド30mgという関係が確立されています。この換算比は国内の多くの医療機関で使用されており、薬剤変更時の基準となります。

参考)エキスパートが現場で明かす 心不全診療の極意 page 3/…

用法・用量について、アゾセミドは30~60mgを1日1回朝食後に経口投与し、必要に応じて120mgまで増量可能です。一方フロセミドは20~40mgを1日1回朝食後に経口投与するのが標準的で、静注では20mg/回から開始し80mg/回まで増量できます。

参考)[保険診療のてびき] ループ利尿薬をどう使うべきか? 新しい…

使い分けについては、フロセミドは即効性が必要な急性期治療に、アゾセミドは慢性期の維持療法に適しています。フロセミドは広い適応を有し、心臓性浮腫、腎性浮腫、肝性浮腫、高血圧など様々な病態に使用可能で、多くの診療ガイドラインで第一選択薬として推奨されています。また薬価が安く、錠剤と注射剤の両方の剤形があり利便性に優れています。

参考)https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2008/083051/200825011B/200825011B0003.pdf

フロセミドとアゾセミドの予後改善効果の比較

慢性心不全患者における両薬剤の予後改善効果を比較したJ-MELODIC試験は、日本で実施された画期的な多施設共同臨床研究です。この研究では、ループ利尿薬が投与されている安定した慢性心不全症例(NYHA II-III)320例を、アゾセミド群とフロセミド群にランダムに割り付け、前向き無作為オープン比較試験により予後を検討しました。

参考)慢性心不全基本治療薬である利尿薬のクラス内予後改善効果の差異…

研究結果では、アゾセミド投与群がフロセミド投与群と比較して、心血管死亡および心不全による予定外受診を有意に減少させることが示されました。この効果は左室駆出率にかかわらず認められ、長時間作用型利尿薬の優位性が実証されました。具体的には、2年以内のうっ血性心不全による緊急入院または心血管イベントによる死亡の複合エンドポイントがアゾセミド群で有意に低下しました。

参考)【EBMの学び】慢性心不全と利尿薬 – Jour…

動物実験においても、Dahl食塩感受性高血圧ラットを用いた心不全モデルで、短時間作用型のフロセミドは予後を改善しなかったのに対し、長時間作用型のアゾセミドは心臓交感神経活性を低下させるとともに予後を改善することが報告されています。ただしJ-MELODIC試験のフォローアップ期間は最低2年間と短く、長期的な予後や総死亡率のみでの比較では有意差が出ていない点には注意が必要です。


J-MELODIC研究の詳細な研究プロトコールと結果については、厚生労働科学研究成果データベースで参照できます

フロセミドとアゾセミドの副作用と神経体液性因子への影響

両薬剤に共通する主要な副作用として、低カリウム血症、低ナトリウム血症、脱水、血圧低下、高尿酸血症、高血糖症、脂質異常症などが挙げられます。特に低カリウム血症は、過剰のカリウム放出により発現し、筋力低下や痙攣などの症状を引き起こす可能性があります。また低カリウム血症はジギタリスの薬理作用を増強し、ジギタリス中毒の発現に寄与するため注意が必要です。

参考)医療用医薬品 : アゾセミド (アゾセミド錠30mg「JG」…

ループ利尿薬の投与は、交感神経系やレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)、アルギニンバソプレシン(AVP)などの心不全を増悪させる神経体液性因子を亢進させ、心不全の予後を悪化させる可能性が指摘されています。これは利尿薬が体液量を減少させるため、過剰に使用すれば神経体液性因子を興奮させ、心不全の病態を悪化させるためです。

参考)急性心不全におけるループ利尿薬の使い方 (呼吸と循環 62巻…

しかしアゾセミドはフロセミドに比べて神経体液性因子の活性化が少ないことが複数の研究で示されています。フロセミドとアゾセミドを比較した研究では、アゾセミド群がフロセミド群に比べ有意に心イベントが少なく、この差異は神経体液性因子の活性化の程度の違いによるものと考えられています。したがって慢性心不全の維持療法においては、神経体液性因子への影響を最小限に抑えるアゾセミドの使用が推奨される場合があります。

参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/shinzo/51/2/51_254/_pdf


低カリウム血症の予防と管理については、PMDAの医薬品安全性情報を参照してください

フロセミドとアゾセミドの臨床における特殊な使用法

臨床現場では、フロセミドとアゾセミドの併用や、さらにトラセミドを加えた3剤併用を行うケースが見られます。このような併用の目的は、異なる作用時間を持つループ利尿薬を組み合わせることで、より持続的かつ効果的な利尿作用を得ることにあります。

参考)ループ利尿薬の併用目的・用量設定・降圧効果は? – Clos…

フロセミドには経口薬と静注薬の両方の剤形が存在するため、急性期には静注で速やかに効果を発現させ、その後経口薬に切り替えるという段階的な使用が可能です。通常、静注では20mg/回から開始して80mg/回まで必要に応じて増量しますが、急性腎不全の確立した症例では1日2,000mgという大量投与により有意な利尿効果の増加と乏尿期間の短縮が報告されています。

参考)利尿薬とは?– 寿製薬株式会社–

一方アゾセミドは現在のところ経口薬のみの剤形となっており、主に外来や慢性期の管理に使用されます。心不全患者において既存のループ利尿薬をアゾセミドに切り替えることで、予後改善効果が期待できるため、慢性心不全の治療戦略として薬剤変更を検討する価値があります。

参考)https://www.suzukenzaidan.or.jp/lecture/docs/140b5c19de1ae39f7da1dad56b87af7e478d5f6a.pdf

電解質管理については、両薬剤ともカリウム排泄作用を持つため、定期的な血清カリウム値などの電解質のモニタリングが必須です。筋力低下、痙攣など低カリウム血症に関連する症状の観察を十分に行い、必要に応じてカリウム製剤の補充やカリウム保持性利尿薬の併用を検討します。

参考)https://www.pmda.go.jp/files/000205299.pdf



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