ビーフリード輸液とカロリーの基礎知識
ビーフリード輸液の成分とカロリー
ビーフリード輸液は、必須・非必須アミノ酸、ブドウ糖、電解質(カリウム、カルシウム、マグネシウム)、ビタミンB1を含み、500mLで210kcal、1000mLで420kcalのカロリー摂取が可能です。非蛋白カロリーは150kcal/500mL、300kcal/1000mLとなっており、単剤での長期カロリー補給には不向きですが、急性期や短期間のサポートに有効です。
ビーフリード輸液と他の末梢栄養輸液との違い
ビーフリードはアミノ酸含有量、ビタミンB1配合、非蛋白カロリー比でパレプラスやプラスアミノ輸液などと異なり、より縦断的に計画しやすいという特徴があります。脂質は含まれておらず、脂質エネルギーを合算する場合は必ず脂肪乳剤(イントラリポス等)を併用します。比較表や処方事例の情報は製品HPや臨床現場のNST(栄養サポートチーム)資料で確認できます。
ビーフリード輸液使用時のカロリー不足対策
パーシャルPEN施行時、点滴量増加が困難な高齢者・心不全患者では、ビーフリード輸液のみで十分なカロリーが補えません。このため、イントラリポスなど脂肪乳剤の併用や分割投与、経腸栄養剤との併用が重要になります。また、投与設計例としては400~1,130kcalセットが、ビーフリード輸液と脂肪乳剤、電解質を組み合わせて作成されています。
末梢静脈栄養セット処方の例
実地処方例 | 鶴川サナトリウム病院
ビーフリード輸液単独使用の臨床的リスク
ビーフリード輸液を単独で長期に投与すると、脂質欠乏やエネルギー不足を招きます。短期間、術前・術後や絶食時のみに使用し、できるだけ早期に経腸栄養や脂肪乳剤追加に切り替えるべきです。また、ビタミンB1欠乏予防には有効ですが、長期的なエネルギー維持には向きません。適応外使用や漫然投与は避け、必ず医師・栄養士と連携しましょう。
意外な活用法: ビーフリード輸液によるインスリン安定性への影響
あまり知られていない事実として、ビーフリード輸液はその成分により注入時のインスリン残存率や安定性に影響を及ぼすことが報告されています。混注設計時にはインスリン安定性も考慮する必要があり、投与設計や配合変化による薬剤効力への影響にも注意が必要です。詳細はJSPENなどの学術論文を参照してください。